パリのソムリエたちが選んだ日本酒とは ~Kura Master2017初開催

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さけ通信

パリで初めての日本酒コンテスト「Kura Master」

何年か先に日本酒の海外での普及を振り返った時に、あれがエポックだったと必ず言及されるのが、今年6月に初めてパリで開催された日本酒のコンテスト「Kura Master」でしょう。これはフランスで活躍する現役のフランス人ソムリエやワインジャーナリストが審査するコンテストで、2017年は550点の日本酒が出品されました。
審査は一般的なワインのコンテストと同様に5~6人の審査チームを組み、1フライトごとにどれを決勝に進めるかを協議していきます。一定のルールに則して審査酒10点前後をひとまとめにしたのが1フライトです。最近は日本でもクラフトビールのお店では、いろいろなビールを飲み比べるセットを「○○フライト」と呼んでいますが、同じ使い方ですね。テイスティングする器はワイングラスで、リーデル社のリースリング用のグラスでおこなわれました。
審査風景
審査委員会委員長のグザビエ・チェイザさん
審査員集合
審査委員会委員長のグザビエ・チェイザさん。名門ホテル「クリヨン」のシェフソムリエだ。
フランス国内で現役で活躍する32名のソムリエやワインジャーナリストが審査員を務めた。

TOP10はこのお酒

入賞した酒を見るとTOP10(純米大吟醸部門と純米部門の上位5点ずつ)は西日本の酒が多くランクインしました。海外では香りの高い酒が好まれる傾向があると言われますが、このコンテストでは加えて甘みと酸味が強い濃醇な酒が高く評価されたようです。
ただ、プラチナ賞と金賞の入賞数を県別に見てみると、一概に西日本に偏っているとも言えません。東北、新潟、関東の酒もかなり上位に名を連ねています。繊細な味わいが特徴のこれらの地域のお酒もしっかり評価されていることがわかります。
集合写真
ずらっとならぶ日本酒
入賞数一覧
TOP10

コンテストは絶好の教育機会

海外でコンディションのいい日本酒を数百点揃えることは、たいへんな手間暇とお金がかかります。ですがコンテストの開催はこの課題をクリアし、しかも試飲する人たちを真剣に日本酒に向き合わせます。日本酒の魅力を伝え、理解を深めてもらうために、とても有効な教育機会ということができます。  
また、今回、審査員をつとめたソムリエたちは、日本酒の歴史や文化的な背景を学ぶ半日間の研修プログラムを事前に受講しました。日本酒とワインのテイスティングの違いも体験してもらい、日本酒の基礎知識を身につけてから審査に臨みました。100点を超えるに日本酒を真剣にテイスティングしたことで、彼らの日本酒の経験値は飛躍的に向上したはずです。  みなさんも入賞したお酒をぜひ飲み比べてみてください。  
「Kura Master」は2018年も開催が決定しています。次はどんなお酒が評価されるかご注目ください。5月末に審査し、結果は6月に発表されます。
事前研修
事前研修
※記事の情報は2017年12月29日時点のものです。
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