これからは芋の品種で選ぶ時代? 芋焼酎の新たな香りの世界へようこそ

芋の品種の違いは、香りの特徴に大きく表れます


―そもそも芋焼酎に使用されている芋は、何品種くらいあるのですか?

SSI 長田:国内で流通している芋焼酎で見ると、原料芋の種類は40以上あると言われています。いまも芋焼酎の90%は「黄金千貫」で作られていますが、ここ10年くらいで新品種のさつま芋を使った焼酎造りにチャレンジする蔵元は着実に増えてきているんです。

―芋焼酎の香りに、芋の違いがそんなに影響するのですか?

SSI 長田:芋焼酎の香りを特徴づけるのは、麹原料や麹菌、さつま芋の品種、蒸留方法など様々な要因が組み合わさった結果なのですが、それでもほかの焼酎に比べると芋焼酎は、原料芋による香りへの影響がかなり大きく出るほうだと言っていいと思います。さつま芋の品種は、外皮の色や果肉の色によって、大きく4つに分類されます。

【白芋系】


外皮も果肉も白っぽいさつま芋。「黄金千貫」が代表。焼酎用またはデンプン用として使用されることが多い。白芋系のなかでも特殊な「ジョイホワイト」は焼酎醸造用の品種として開発された芋で、甘い柑橘や洋ナシの香気をもたらすリナロールという成分を含んでいるため、フルーティな香りをもつ芋焼酎に仕上がることが多い。

【紅芋系】

外皮が赤い色で、果肉は黄白色のさつま芋。日本で生産されるさつま芋の4割以上を占め、加熱調理後もしっかりとした甘さがあることから、食用、製菓用としての人気が高い。焼酎にすると、「黄金千貫」に似たふくよかな甘さはあるが、それよりも優しい香りや味に仕上がる。品種としては「紅さつま」「紅はるか」が有名どころ。

【紫芋系】

果肉が紫色のさつま芋。アントシアニン色素を多く含む。紫芋を原料とした焼酎は「ヨーグルトの香り」「赤ワインの香り」と表現されることが多く、この香りはジアセチルに起因する。一般的に、原料のアントシアニン含量が多いほど、焼酎のジアセチル濃度が高くなると言われている。「頴娃紫」「アヤムラサキ」「むらさきまさり」などの品種がある。

【オレンジ芋系】

果肉がオレンジ色をしたさつま芋。果肉がオレンジ色なのは、B-カロテンを多く含むため。甘く濃厚な味が特徴。なかでも種子島のみで栽培が認められている「安納芋」は、生の状態でも糖度16%、じっくり時間をかけて焼くことにより糖度40%前後にもなることから、焼き芋として人気の高い品種。

-芋の色によって、こんなにも焼酎の香りに個性が生まれるのですね。どんな芋を使っているのかを知ることで、芋焼酎の面白さがぐんと広がりそうです。

SSI 長田:そうなんです。原料の芋に注目すると、品種だけでなく、ワインのようにテロワール(風土)やヴィンテージ(収穫年)の違いも楽しめるようになり、芋焼酎の世界がさらに広がっていきます。芋焼酎はそういった意味でも、新しい楽しみ方や面白さをまだまだ秘めたお酒だと思います。

―なんだか芋焼酎のこれからが楽しみになりました。まずは芋の品種違いで色々と焼酎を飲み比べてみます。長田さん、今日は芋焼酎の面白いお話し、ありがとうございました!


今回お話しを伺った長田さんも講師を務める、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)主催の「焼酎唎酒師」講習会は、焼酎への理解を深めてもらうことを目的とした認定資格講座。焼酎の個性をとらえる効果的な分類を学んだり、テイスティングや料理との相性体験を通して焼酎の食中酒としての魅力を学べるカリキュラムを実施しています。

焼酎の奥深い世界をもっと詳しく知りたくなった方は、ぜひ日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)の公式サイトをチェックしてみてください。
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この方に教えていただきました!

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)研究室長
長田 卓さん

酒類全般のテキスト及び各種ツールの開発を担当し、特に日本の酒と、テイスティングに関する開発に力を入れる。またプロフェッショナルテイスターの育成をモットーにし、同会の主催する「唎酒師」「焼酎唎酒師」認定講習会では、テイスティングセミナーの専任講師を担当。年間で2000アイテム近い酒類のテイスティングを自ら行う。

長田 卓さん

※記事の情報は2019年4月14日時点のものです。
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