日本の歌詞とスコットランドの歌詞はだいぶ違う

この歌「蛍の光」の原曲が、スコットランドの民謡「Auld Lang Syne」であることはよく知られているところ。でも、その元の歌詞まではあまり馴染みがないかもしれません。

まずは、日本語の「蛍の光」の歌詞をみてみましょう。作詞されたのは明治10年代、作詞家は歌人の稲垣千穎(ちえい)であるとも、作者不詳だともいわれます。


 蛍の光 窓の雪
 書読む月日 重ねつつ
 いつしか年も すぎの戸を
 明けてぞけさは わかれゆく



つまり、一緒にがんばって勉強した私たちもそろそろお別れだよね! という、卒業や別れをテーマにした歌詞です。ちなみに、今ではあまり歌われない3番と4番は、みんな旅立ったら千島から沖縄まで日本をしっかり守ろうぜ! という内容で、思いきり戦前っぽい感じの歌詞であり、海軍兵学校の卒業式でも使われたそうです。国威発揚の目的もあって、そういう歌詞になったのでしょう

ところがスコットランドの原曲の大意は、こんな感じです。


 昔の友は忘れられていくものだろうか
 友はあの昔日のように心から消え去るのだろうか
 友よ、あの古き昔のために
 友情の盃をくみ交わそうではないか



要するに、久しぶりに友だち同士再会したんだから昔を思い出して一杯飲もうぜ! という歌なのです。この歌はスコットランドの第二国歌というぐらい親しまれ、いろいろなシーンで歌われます。で、大晦日の場合はいつ歌われるかというと、「ホグマネイ」と呼ばれる盛大なストリート・パーティーで騒いだり、知人の家に集まったりして、ウイスキーを飲んで、カウントダウンがあって、新年を迎えた瞬間に街に花火が上がって、その花火が落ち着いたころ。つまり0時10分過ぎぐらいなのです。これはスコットランドだけでなくイングランドでも同じ習慣があり、その様子は動画サイトでもいろいろ見ることができます(例えばこれ)

そういう歌なのに、あと15分で新年というところで、しかも今年もいろいろあったねさようなら、という感じで歌がはじまるので、ヘンなのです。日本人に置き換えるとイギリスにいったら大晦日に雅楽「越天楽」が鳴ってるぐらい微妙な感じです。デパートの閉店とか船の出航でも使われているのも含めてイギリス人が「違うんだよな〜」と思ってしまうのはわかります。


*「蛍の光」が日本で別れの歌として定着した背景には、アメリカ映画「哀愁」(1940)のなかで、Auld Lang Synのアレンジ版が「別れのワルツ」(日本のお店の閉店BGMはたいていこれ)として使われ、それをザ・ピーナッツが歌詞付きで歌ったことなども、要因のひとつにあるようです。
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