みりんの蔵を訪ねて知った「みりんは飲みもの。飲まなきゃソン!」

ライター:まるまる

本物のみりんの美味しさを知ったら、飲まずにはいられません。

なんでも自分でやってしまう角谷社長。職人肌とも厳しい経営者ともどこか違う、  大学の研究所の教授のような雰囲気をお持ちの素敵な人です。
なんでも自分でやってしまう角谷社長。職人肌とも厳しい経営者ともどこか違う、 大学の研究所の教授のような雰囲気をお持ちの素敵な人です。
この伝統製法で作られたみりんが、こんなに美味しく飲めることを、我々があまりにも知らないのがとても残念ですね。

「子育てママの集まりで聞いてみたら、みなさん、みりんが甘いということは知っていました。そこで、その甘さは何の甘さでしょうか? というクイズを出してみたんです。1.米、2.小麦、3.砂糖のうちどれでしょう……本当に知らないんです。どうしても家庭で料理をする機会自体が減っていますし、中でも和食だけを家で食べる人がなかなかいません。和食だけの調味料と考えると使う機会が減る。でも醤油を砂糖を量って使うより、醤油とみりんを一対一で合わせるだけで美味しい照焼きができます。いろんな料理に使えるとわかればきっと使ってくれるので、PR活動に力を入れています」(文子さん)
 
蒸したもち米に米麹と焼酎を合わせ仕込みタンクへ。3カ月じっくりと糖化熟成させます。
蒸したもち米に米麹と焼酎を合わせ仕込みタンクへ。3カ月じっくりと糖化熟成させます。
「料理に上品でまろやかな甘さを添える。照り、つやを出す。こく・うまみを引き出す、煮崩れを防ぐ。作り立ての美味しさをラッピングして長持ちさせてくれる。でも、みりんの効果はどうしても表に味として出てこない。『みりん味』の食べものというのはないでしょう。だから何に使ったらいいか知らない。それで砂糖とお酒でもいいよ、となってしまう。でも、みりんの甘さは、ブドウ糖の他に、二糖類、三糖類、オリゴ糖、デキストリンに至るまで九種類の多様な糖の組み合わせです。これが料理の表面を包んでテリツヤを出し、と味わいを深めます。砂糖はショ糖一種類ですので、甘味が重く瞬間的にきます。これに対してみりんは、糖の多様な組み合せで、じわっと後をひいてくるような甘さ。果物にも似た上品な甘さに米の複雑なうまみなんです」(角谷社長)
 
社長自ら撹拌。「櫂入れ」と呼ばれる重労働です。
社長自ら撹拌。「櫂入れ」と呼ばれる重労働です。
「飲んでも美味しいみりんですから、バーテンダーさんにご相談してカクテルを開発していただいたりしています。多くのバーテンダーさんがみりんはラム酒に似ているとおっしゃって、美味しいモヒートを作ってくれますし、実際にリッツカールトンのバーでも季節のカクテルとして採用していただきました。また、煮詰めてシロップにすればアイスクリームにかけてもおいしいので、お菓子の用途にも使っていただいています」(文子さん)
 
仕込みの終わったみりんを搾ります。みりんはこの後、熟成用のタンクへ。  残ったみりん粕は、守口大根の漬物などに利用されます。
仕込みの終わったみりんを搾ります。みりんはこの後、熟成用のタンクへ。 残ったみりん粕は、守口大根の漬物などに利用されます。
「みりんという名前がついていますが、これは酒の分類でいうとリキュールです。『リキュール』といえば、フランス料理でもお菓子でも、使うイメージがわいてくるでしょう。三州三河みりんは海外のオーガニックマーケットで30年以上前から販売していますが、イギリスの料理の先生に、どんな使い方してるんですかと聞いたら、紅茶に入れたり、ドライフルーツを戻すのに使っているとのことでした。フランスでも、チーズと一緒にデザートに飲んだり、食前酒として飲む提案をしています。日本でも昔からカステラやどら焼きの材料として使われています。これからも伝統的な製法で確かなみりんを造り続けながら、みりんの素晴らしさ、その使い方を広くみなさんに知っていただく活動をしたいと思っています」(角谷社長)
 
1年以上の熟成を経て美しい琥珀色に仕上がったみりん。一本一本、検品します。
1年以上の熟成を経て美しい琥珀色に仕上がったみりん。一本一本、検品します。
はじめからおわりまで、丁寧に親切に説明いただいた角谷社長、文子さん、そして蔵の皆さん、本当にありがとうございました。飲んでも美味しい、料理も美味しくなる。日本が世界に誇るこの飲みもの&調味料について何も知らなかったことを日本人として深く反省しながら、我々もみりんの魅力を少しでも多くの人に伝えようと決意して、碧南の地を後にしたのでした。
 
  • 1
  • 2現在のページ
  • 3