高血圧は食事で改善! 管理栄養士が教える血圧を下げる食べ方

お酒好きの方が健康診断で指摘されがちな「高血圧症」。美味しいお酒に欠かせない食事やおつまみから、塩分を摂り過ぎていませんか? 末永く健康的に家飲みを楽しむためにも、今こそ塩分摂取量を減らす食べ方を習慣づけましょう。

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日本人成人の2人に1人が高血圧!

晩酌のお供に、美味しいおつまみ。美味しいものって、なぜか塩分たっぷりの味が濃いものが多いですね。

食塩の摂りすぎで心配になってくるのは、高血圧。日本人の高血圧の主な原因は、塩分の摂りすぎです。他にアルコールの多飲、肥満、運動不足があります。

実は、日本人20歳以上の2人に1人が高血圧。喫煙と並んで最大の生活習慣病のリスク要因となっています。

高血圧は、特別な症状が出ないことが多いためサイレントキラーとも呼ばれています。高血圧になると、いつも心臓や血管に負担がかかった状態にありますので、放っておくと心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞・クモ膜下出血などを引き起こすリスクを高めることになります。

血圧が高いといわれたら、自覚症状がなくても食事の見直しをはじめるのが先決です。そこで、今回は、血圧が高めの方へ食生活のアドバイスをさせていただきたいと思います。

そもそも高血圧の基準は?

血圧は、心臓が収縮し血液を送りだす時の血圧が最も高く、収縮期血圧あるいは上の血圧といい、心臓が拡張して血液の流れが緩やかな時の最も低い血圧を拡張期血圧あるいは下の血圧といいます。

正常値は収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg 未満かつ、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg未満。このどちらか、または両方の数値が慢性的に超える場合に高血圧と診断されます。

また、収縮期血圧130~139 mmHg、または拡張期血圧85~89 mmHgは、正常高値血圧とされ高血圧へと移行してしまう可能性が高いので注意が必要です。しかし、生活の改善をすれば、正常血圧に戻りやすい段階にありますので、放置せずに生活習慣をただちに見直しましょう。

あの食べ物にはどれくらいの塩分が含まれている?

あの食べ物にはどれくらいの塩分が含まれている?
前述したとおり、高血圧の主な原因は食塩の摂りすぎにありますから、塩分を極力控えることが先決です。

高血圧症の方の1日の減塩目標は、1日6g未満、小さじ1杯程度です。

食塩6gをはかってみると結構な量がありますが、食品に元々含まれている塩分含有量も合わせての合算値ですので、意識して節塩しないとあっという間に超えてしまいます。

例えば、うどんや食パンなど塩分を摂るつもりがなくても素材自体に含まれていて、知らない間に摂っていることがあります。

外食した場合も、どれくらい塩分を摂っているか、ご自身で把握できない状況にあります。1食で1日の目標量を超えてしまう料理もありますのでメニューの選択には気を付けたいですね。

また、味が濃くて美味しい物は、それなりに塩分量が多いことがわかります。晩酌のお供にチーズを楽しまれている方、朝食でいつも梅干しや魚の干物を食べている方はご注意ください。
 

■食品1人分あたりの食塩含有量

  • うどん(乾麺)4.3g
  • 食パン(6枚切り)0.8g
  • うどん(ゆで)0.7g
  • ラーメン7g
  • 和風の麺類4g
  • カレーライス4.4g
  • 牛丼5.3g
  • チャーハン3.4g
  • 塩鮭(甘塩)1切れ2.6g
  • アジの開き1枚1.7g
  • 梅干し1個2.2g
  • たらこ1/2腹1.8g
  • フランクフルトソーセージ1本1.0g
  • ひじきの煮物1.6g
  • プロセスチーズ1個0.6g
  • ブルーチーズ1切れ(25g)1g

身近な調味料の塩分量もチェック

もちろん、塩は醤油、みそ、ドレッシング、インスタントダシなど調味料にも含まれています。

日本人の塩分摂取量のうち、約90%は醤油やみそなどの調味料とそれらを含む加工食品からといわれています。インスタントダシも時間のない時にとても便利ですが、塩分が多いので使用量に注意が必要です。

 

■塩分1gに相当する調味料の分量

  • こいくち醤油小さじ1杯強
  • みそ(淡色辛口)小さじ1と1/3
  • ノンオイル和風ドレッシング1.3g
  • フレンチドレッシング0.5g
  • コンソメ2.2g
  • 固形ブイヨン2.3g
  • おでん用ダシ(顆粒)1.8g
  • 中華ダシ(顆粒)2.0g
  • 和風ダシ(顆粒)2.5g
1日6g未満を目標にすると、調味料もあまりたくさん使えないことがわかりますね。

では、塩分摂取量を減らすには具体的にどういう食べ方をすれば良いのでしょうか。

高血圧症の食事アドバイス①|塩分を減らす食べ方

塩分を減らす食べ方 イメージ
✓調味料は少しだけつける
醤油やドレッシングは、「かける」のではなく「ほんの少しだけつける」ようにすると節塩できます。揚げ物を食べるときも、ソースや塩を上からかけるのではなく、小皿に入れて、少しだけつけて食べるようにするとよいです。

味付けされた料理であれば、まず味見をして味の濃さを確認するようにしましょう。食べる前から、食卓塩を無造作に振ったり、醤油をグルグル回しかけたりしている方は気を付けましょう。

また、醤油をダシ汁で割ることもおすすめです。うま味も加わりますし、塩分を減らすこともできます。

食卓に、塩、醤油、ソースなどの調味料を置かないようにし、その代わりに、コショウ、酢、レモン果汁、七味唐辛子を置きましょう。

✓汁ものは1日1杯
スープやみそ汁のように、みそ、塩などを使って味付けされるものは塩分量が高いので、毎食飲んでいる方、お代わりする方は、飲む回数を今よりも減らしましょう。みそ汁1杯には塩分が約1.5g含まれていますので、理想は、1日1杯です。

スープやみそ汁に野菜やキノコなど具をたくさん使えば汁の量を減らせます。また素材のうまみで美味しくいただけます。

✓ラーメンのスープは残す
ラーメンやうどんの汁は残しましょう。ラーメンのスープは全部飲むと塩分7gになりますが、スープを残すと3.5gと半分減ります。

✓野菜をたっぷり食べる
野菜には、体内の余分な塩分を外に出す働きがある成分が2つ含まれています。その成分とは、「カリウム」と「食物繊維」です。

カリウムは、塩分(ナトリウム)の尿中への排泄を促進することで血圧の上昇を抑制したりしています。

プチトマト、キュウリなど、すぐに食べられる野菜を常備しておくと便利です。旬の新鮮な野菜を食べることで、調味料を少なめにして素材の持ち味を楽しむのもよいですね。

ただし、腎臓に病気のある方は、カリウムを控える必要がありますのでご注意ください。

食物繊維は、腸内で塩分(ナトリウム)が過剰に吸収されるのを防いでくれます。ある報告によると、食物繊維を必要量摂取することでインスリンの過剰分泌を抑制し、これにより血圧の上昇を抑制するということがわかったそうです。

特に、水溶性食物繊維がナトリウムの排泄を促進します。野菜には比率は異なるものの、水溶性食物繊維が含まれていますので積極的にとりいれましょう。

高血圧症の食事アドバイス②|料理をするときの一工夫

料理をするときの一工夫 イメージ
料理すべてを薄味にすると物足りなくなるので、1品だけしっかり味つけすると他の料理が薄味でも満足感を得やすいです。

✓柑橘類、酢、野菜、ナッツのうまみを利用する
酢、ワインビネガー、レモン、ゆず、スダチ、グレープフルーツの酸味や風味を利用すれば薄味でも味が引き立ちおいしくなります。

また、わさび、赤唐辛子、コショウ、カレー粉などの香辛料を利用して味付けを行えば、物足りなさを感じにくくなります。

汁物を作る場合、ダシのうまみを効かせると塩分控えめでも満足度が高まります。できれば昆布、干ししいたけ、削りガツオを利用してご自身でダシ汁をつくりましょう。ダシ汁に、にんにく、トマト、たまねぎなどを入れると、うま味が増します。

市販のダシは、塩分が多いものもありますので、確認してから利用しましょう。 しょうが、みょうが、みつば、大葉、ねぎ、パセリなど香味野菜で風味づけしたり、ごま、ピーナッツ、くるみなど濃厚なうま味や香りをもつ種実類を利用したりすることもおすすめです。

✓煮物は周りに味を付ける
煮物を作るとき、ダシ汁だけで煮て、ダシ汁が少なくなったところに醤油を入れて煮ると表面に濃い味付けができメリハリがつきます。

焼き物、照り焼きをするときも、下味はつけないで仕上げにタレ、塩を使いましょう。

舌は食材の表面についた味を感じるため、中が薄味でも表面に味がついていれば美味しいと感じることができます。

✓ダシを濃くとる
ご存知の方も多いと思いますが、ダシのうまみを効かせると調味料が少なくても美味しくいただけます。昆布、干ししいたけ、削りカツオなど濃い目にダシをとりましょう。

また、みそ汁に豆乳や牛乳を加えコクをプラスしても意外に美味しいです。

イモ類を煮る時は、オレンジジュースで煮ると塩分を減らしてもコクのある味付けになります。

高血圧症の食事アドバイス③|外食・中食をするときの一工夫

外食・中食をするときの一工夫 イメージ
忙しいとラーメン、牛丼、お弁当などで手軽に済ませがちですが、食べ方を工夫すれば減塩は可能です。

✓漬物、佃煮、練り製品、加工品など塩蔵品は残す
外食すると塩分をどれくらい摂っているかわからないことが多いですね。

外食での減塩のコツは、お弁当についているソースやたれは全部使わない、汁物・麺類は具だけ食べ汁は残す、漬物・佃煮は残すようにします。

お弁当を買った時は、食品表示を必ずみて食塩相当量を確認しましょう。1食あたり2g程度が理想です。

練り製品、加工品も塩分量が多いので食べる量を控えましょう。

✓野菜料理を食べる
食べ方の一工夫のところで前述したとおり、野菜には体内の余分な塩分を外に排出する働きがあるカリウムと食物繊維が含まれていますので、必ず食べるようにしましょう。

✓調味料を無意識に使わない
こちらも前述したとおり、味の濃さは調理しているところによって様々です。味付けのしてある料理でも、食べる前から調味料をいつものような感覚で使わないようにしましょう。

トンカツを食べるときにソースを使いますが、トンカツの上からかけると塩分量は0.9g、小皿にソースを入れて付けながらいただくと塩分量は0.5gに抑えることができるというデータもあります。

味見をしてちょっと薄いなと感じたら、お酢、レモン汁があればかけて味を調整してみましょう。 

* * * *
管理栄養士という仕事柄、献立を作成することがありますが、和食で塩分を1日6g未満に抑えるのは結構大変なことです。減塩の醤油、みそなど特殊食品を利用するのも一案です。

ちなみに塩分カットのみそや醤油の塩分量は、通常のものよりも半分ぐらい少ないものが多いです。とはいえ、塩分カットの調味料も使い過ぎてしまえば、節塩にはなりませんが。

栄養指導に来た患者さんが「薄味に慣れるまで時間はかかるけど、慣れると美味しいと感じられるし、これまでずいぶん塩辛いものを食べていたんだなぁ、体調も良くなった気がする」と話してくれたことを思い出します。節塩は、薄味に慣れることが一番でしょうか。

最後に高血圧の原因は、塩分の摂りすぎのほかに、お酒の飲みすぎもありますので思いあたる方は節塩に加えて節酒もお願いします。

「高血圧治療ガイドライン2019」では、アルコール量(エタノール換算)を男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/日以下に節酒することが推奨されています。

▼アルコール量の計算方法はこちら
日頃から大量飲酒をしている方は、アルコール制限をすると一時的に血圧が上昇することがあるようですが、アルコール制限を継続すると数日後には血圧が低下することがわかっています。ぜひ、この機会に節酒をおすすめいたします。

いろいろと書き連ねましたが、継続できそうなところからやってみてはいかがでしょうか。健やかな家飲みライフをお過ごしください。

※記事の情報は2020年11月17日時点のものです。
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