にごり酒をお燗せよ!

なんだとー?にごり酒をお燗するって?

メインビジュアル:にごり酒をお燗せよ!
にごり酒、おいしいですね、まったりとしたやつを冷やして飲むのが常識ですが、中にはお燗してもうまいものが存在するというウワサが……。さっそくにごり酒とお燗の関係を解明すべく、実験開始!

にごり酒をお燗にしよう!

にごり酒3種類
えっと、ちょっと何言ってるのかわからない…… という方もいらっしゃるかもしれません。にごり酒を買うとラベルには「冷やしてお召し上がりください」と書いてあったり、お店の人も「冷やしてくださいね」などとアドバイスされたり。にごり酒なら冷やして飲むのが常識中の常識。しかし、ネットでにごり酒を調べていくと、ぽつりぽつりとお燗したらすんげーうめー、という声も。気になる。いったいどうなっているのか。ここを解明すべく、タイプの異なるにごり酒を勇敢にもお燗で飲んでみることにしました。なんなら熱燗も辞さない覚悟です! 一人でこっそり試すのもつまらないので、編集部のみんなも付き合わせてしまいました。

お燗には、編集部の家電三種の神器のひとつ「酒燗器」を使用(ちなみに残りのふたつは冷蔵庫と電子レンジ)。さて、仕事もぼちぼち片付いた午後5時、にごり酒お燗くらべのはじまり、はじまり。

うすにごりタイプ

うすにごり
純米吟醸うすにごり 宮坂醸造株式会社(長野県) 繊細で甘いお酒です
にごり酒というのは、お酒を搾る時に濾過を「あまりしない」日本酒のことで、 澱 (おり)が残ってどろっとするわけです。この濾過の度合いでいろんなタイプが生まれます。「うすにごり」とは、ややにごりを残す程度に、強めに濾過したにごり酒。あまり濁っていません。だいたい、日本酒はどんなお酒でも、お燗をしてそうまずくなるような事はありませんよね(もちろん、特に燗に向く酒というのはありますが)、ということは、普通の日本酒に近ければ、お燗しても間違いなく、おいしくいただけるのでは? という予想のもと、1本目は「うすにごり」タイプです。まずは冷やでいただいてみると、うん。にごり酒らしい甘みも感じられて、酸味のバランスもいいですね。文句なくおいしいです! 

【みんなの声 冷や】
・甘味もあって酸味もあり、おいしい
・好きな味
・バランスが良い
・デザートに良い
・甘さがちょうど良い


さて、これをお燗してみます。温度は45度程度。ぬるめの熱燗といったところか。では、編集部のみんなにふるまってみましょう。

【みんなの声 燗】
・しぶくなった
・へんな匂いがしてきた
・アルコール臭がする
・まずいんじゃない?
・圧倒的に冷やのほうがうまい
・甘さがなくなった


うーん、ちっとも肯定的な意見がでてきません……。確かに冷やで飲んだときには感じられなかった、ありとあらゆる雑味が暴れ出した感じ。妙な薬っぽい匂いが感じられるし、アルコール感も強まって、しかもしぶい……。むぅ。これは失敗。もちろん、モノにもよるのでしょうが、うすにごりは燗しちゃいかんらしい……。ちょっとへこんだ気分に。蔵元さん、本当にゴメンナサイ…… もうしません!

とろーりタイプ

とろーりタイプ
越後屋にごり酒 加藤酒造(新潟) ヨーグルトみたいになめらかな味わい
さて、こんどはいわゆる普通のにごり酒。白濁して、とろっとしたタイプです。常温で飲んでみると、甘くてとてもおいしい。ヨーグルトみたいですね、にごり酒と言えばこれ! といった感じです。

【みんなの声 冷や】
・甘い
・かおりがすばらしい
・米の風味が感じられる
・どんどん飲んじゃう


中には、「カレーに合うのでは」という意見も。なるほどラッシーみたいな感覚? こんなおいしいのをお燗するのかぁ……。蔵元で貼られた瓶の封には、しっかりと「よく冷やしてお召し上がりください」の文字が。うーむ、大丈夫か……。
にごり酒の封
よく冷やして! としっかり釘をさされている
温度は1本目と同じ45度程度で。さぁ、みんな、お燗がついたよ!と努めて明るくふるまいます!

【みんなの声 燗】
・うまい!
・さらっとしてきた!
・むしろあっさりしていて好き
・苦みが出てむしろ好きな味になった
・これはむしろお燗すべき


今度は大好評です! 口に含んでみると、不思議なおいしさ。冷やの時はどろっとしていたお酒が、温まったおかげか、さらっとさっぱりした感じになっています。さらさらのにごり酒、これは新鮮な味わいです。冷やで飲んだときの甘み、酸味がそのままに、全体的にあっさりして飲みやすく、上品になっている! にごり酒のお燗効果ってこれだったんだ! 実験成功! 暖かい甘酒がお酒に変化した感じですね。編集部のひとりからは「ご飯にかけて食べたい!」というやや錯乱(?)した意見が飛び出すほどの大成功ぶりでした。試しに55度ぐらいの熱いのも試してみましたが、これも美味しかった。

シュワシュワタイプ

活性にごり酒
臥龍梅 活性にごり酒 臥龍梅(静岡) 強力な発泡でガツンとおいしい
さて、今回もっとも物議を醸し出しそうな実験がこれ。発泡タイプ、シュワシュワしたにごり酒のお燗です。実は、当方の保管や扱いがまずかったせいか、最初に買ってきたお酒がちっとも発泡していない上に、なんだかひねていて、冷やで飲もうが、燗しようが、いまいちおいしくなかったのです。ということで後日違うお酒を買い直してリベンジしました。「吹き出し注意」と描かれているほどの強発泡。活性にごり酒です。まずは、冷えたやつを飲んでみると、うまい! 酸味、甘味ともにしっかりしている。それに強炭酸がたまりません。ボトルは正真正銘のシャンパンボトル仕様であけるとポン! と音がしました。

【みんなの声 冷や】
・シュワシュワ感がすごい
・酸味も甘味も濃い
・飲みやすい
・さっぱりしていておいしい


好評のようです。さて、このシュワシュワというか、ジュワジュワしたのを酒燗器に投入して、温度は45度にセット。炭酸の飲み物を温めるのは、ちょっとドキドキします。でも考えてみれば、ホットコーラなんていうものもあるしな…… 大丈夫、大丈夫だ…… などと呟きながら不安な心を静めます。さてと、出来た……。

【みんなの声 燗】
・香りが強くなっている気がする
・ヨーグルトの匂いがしてきた
・甘酒っぽい味が出てきた
・アルコールっぽさがちょっとしてきたか?


ふーむ。まずいという意見は聞かれなかったものの、さほどの感慨はわかない模様。とろーりタイプのお燗体験が強烈すぎたのかもしれせん。実際、そんなにまずいものではありません。まあ、うまいといえばうまい。二酸化炭素の含有量は温度を高めるほど減っていくはずですが、この温度では、まだほんのりと感じられます。ただ、あえてお燗する意味があるかというと、どうか……。飲み残しちゃって炭酸が弱くなってしまったのをちょっと温めて二度楽しむ、みたいな事なら良いアイディアかも。炭酸がまったく無くなっても、燗酒としておいしくいただけると思いました。

とろーりタイプをお燗すべし!

「うすにごり」「とろーり」「シュワシュワ」と3タイプをお燗して、編集部のみんなと話し合った結論としては、とろーりとしたやつが燗に向いている! これは間違いないと思います。うすにごりタイプだと、冷やで飲んでうまみに感じられる複雑な味わいが、熱でくずれるのかおいしくはなりませんでした。もちろん、一種類しか試していないので、確かな事はいえませんが……。発泡しているものは積極的なお燗の意味が見いだせない。しっかり、どろっと、強い感じのにごり酒がお燗に向いていると思われます。

今度チャレンジするときには、さらにどろっとした濾過なしの酒、どぶろくなんてめちゃくちゃおいしくなるんじゃないか…… どぶろく熱燗を夢見ながら、実験終了。機会があれば、とろーりタイプの濁りの燗酒、お試しあれ!

※記事の情報は2019年3月8日現在のものです。
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