「ひやおろし」の季節到来! ついに来ました大好きな秋

「ひやおろし」をはじめとして、ひと夏ねかせた秋のお酒が出回る季節になりました。楽しみにしていた方も多いのでは? 日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する日本酒ラヴァー、簗塲友何里(やなば ゆかり)さんによる、秋のお酒にぴったりな食材選びをお教えします。

ライター:簗塲友何里簗塲友何里
メインビジュアル:「ひやおろし」の季節到来! ついに来ました大好きな秋

ひと夏熟成の日本酒 ひやおろし

ひやおろしのラベル
どの季節が好き?と聞かれたら、私は「秋」と答えます。なぜなら好みの味に仕上がった日本酒が出荷される時期だからです。日本酒は早く飲んだ方が良いと考える方が大半かと思いますが、秋に出荷される日本酒は別です。

7月1日に切り替わる「酒造年度」を超えて、夏の終わりに出荷される日本酒は、「ひやおろし」や「月見酒」、あるいは「秋」と名がつく銘柄です。ひやおろしは、通常2回する火入れという加熱殺菌を、1度だけにして、ひんやりとした蔵の中で保管し、夏を越して出荷した日本酒です。

ひやおろしとうたってないものは、火入れについては違う方法ですが、春先にできた日本酒をひと夏熟成させて秋に販売するのは共通しています。そのため、味わいはどれも、少し熟成してなんとも奥行きがある、まろやかな味わいになっています。

ひやおろしは「まろやかさ」が持ち味

ひやおろしをはじめとした秋の日本酒は、熟成していると言っても半年ほど。そのため何年も熟成した日本酒とは違い、味わいは意外と優し目です。最近は、秋の日本酒が出荷される時期も早くなり、お盆明けには酒屋さんに陳列されることもあります。そのため、味わいは熟成した古酒の「出汁」のような旨味というより、ちょっと口当たりがまろやかだな、といった感じです。

さっぱりとした夏酒を冷やして飲むのも暑い時期には良いですが、涼しくなりはじめた頃には、少し温めて、ぬる燗や熱燗でゆるりと飲むのもリラックスできますね。

ひやおろしに合う食材とは?

さて、秋と言えば、美味しい食材が市場には出回ります。せっかく美味しくなった日本酒のアテには、何を合わせようか……。幸せな悩みを持ちながら、早く飲みたいし買い物に行く前に教えてほしい! でしょ? ということで、いくつかおすすめを挙げてみます。

私が経営するフランス料理と日本酒のマリアージュのレストラン「SAKE Scene〼福」でも、当然この時期は秋の味覚と秋の日本酒中心に日本酒ペアリングを考えます。フランス料理のプロとして、2年間以上日本酒と向き合った当店のシェフに「秋のお酒に合わせるなら、何の食材が良い?」と単刀直入に聞いてみました。

ひやおろしには栗!

くりごはん
まず合うのは、栗! 優しい甘さが良いですね。できたら栗ご飯にしたら、すごく合いそうです。ぜひ、ひやおろしをはじめとした秋の日本酒を、ぬる燗で。

淡泊なお肉にクリームソース

グリルしたチキンとホワイトソース
肉は、白身の鶏や豚。けっして赤身の牛ではありません。ソースはこってりし過ぎていないクリームソースがおすすめです。

キジ肉があれば最高!

そして、最もおすすめなのが、ジビエの中でも、淡白なキジ! なかなか家飲みでは登場し辛い食材ですが……。とにかくキジから取れる出汁が美味しく、深みのある味わいは秋の日本酒によく合います。できれば、お酒は開栓してから少し寝かせると良いでしょう。キジもクリーム系のソースにぴったりです。

ひやおろしに合わせる魚は淡泊なものを

当店シェフによると、秋の日本酒に魚を合わせるなら、脂が乗り過ぎていないものが良いということでした。鮭も良く合います。

旬の里芋もおすすめ

里芋煮
その他、秋に最盛期をむかえる里芋も、秋の日本酒と一緒に味わうとほっこりできます。

秋の日本酒を更に満喫しましょう!

ひやおろしなどの秋の日本酒は、もともと「熟成に向いている」酒質で出荷されている可能性が高いです。同じ銘柄を、2本、3本購入し、自家熟成させてみてもおもしろいと思いますよ。熟成による味の変化が楽しめます。当店でも、何年か前の秋の日本酒を更に寝かせて熟成させています。

まろやかな秋の日本酒。ゆっくりと深く堪能してみてくださいね。

ここでちょっと宣伝です。SAKE Scene 〼福では、秋の日本酒とジビエ、秋の味覚のマリアージュディナーをやることになりました。大好きな秋を楽しみ、美味しさを皆さまと共有できたらと思います。ぜひご来店ください。

「SAKE Scene〼福」ホームページ

※記事の情報は2019年9月11日時点のものです。
  • 1現在のページ