ポルトガルの宝石「ポートワイン」ってどんなお酒? おいしい飲み方や選び方を解説!

ポートワインは「ポルトガルの宝石」とも称され、世界三大酒精強化ワインに数えられるポルトガルを代表するワインです。今回はポートワインの基礎知識やおすすめの飲み方、選び方についてソムリエがわかりやすく解説していきます。

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ポートワインとはどんなワイン?

ポートワインは、ポルトガルのアルト・ドウロ地方で14世紀中頃からつくられており、醸造過程でアルコールを添加することによってアルコール度数を高めた、酒精強化ワインのひとつです。

発酵しきっていない段階でアルコールを添加し、糖分の分解を止めることによって、糖度の高いポートワインがつくられます。

酒精強化ワインとは?

酒精強化ワインとは、発酵途中で酒精(アルコール)を添加して度数を高めたワインの総称です。別名「フォーティファイドワイン」ともいいます。

酒精強化ワインとして有名なのは、ポルトガルの「ポートワイン」のほか、ポルトガルのマデイラ島で生まれた「マデイラ」、スペインで生まれた「シェリー」です。

これら3つを合わせて「世界三大酒精強化ワイン」と呼び、さらにイタリアの「マルサラ」という酒精強化ワインを入れると「世界四大酒精強化ワイン」と呼ばれます。

ポートワインの味わい、アルコール度数は?

夕日とワイン
ポートワインは黒ぶどうからつくられる「レッドポート」と、白ぶどうからつくられる「ホワイトポート」に大別されます。

レッドポートは濃厚でコクのあるリッチな甘口に仕上がることが多く、ホワイトポートは甘口タイプからドライな辛口のタイプまで幅広い味わいがあります。

発酵途中でアルコールを添加しているので、アルコール度数は19〜22度前後となり、ほかのワインに比べると高い傾向にあります。

ポートワインの歴史は?

ワインを船で運ぶ
ポルトガル北部にあるポルト港から英国(イングランド)に輸出されていたことから、港を表す「PORT」とかけて、英国でポートワインと呼ばれました。

当初はポルト港から船で輸送する際、長期間の貯蔵に耐えられずに風味や味が劣化してしまいました。その問題点を解消するために、ワインにブランデーを添加して品質を長持ちさせようとしたのがポートワインの始まりです。

現在では、ポルトガル北部にあるアルト・ドウロ地区で栽培されたぶどうを原料にした酒精強化ワインのみが、ポートワインとして認められる法定区域となっています。

アルト・ドウロ地区内では、テイラーズ(TAYLOR’S)やグラハムス(GRAHUM’S)、サンデマン(SANDEMAN)、ダウズ(DOW’S)、スミス ウッドハウス(SMITH WOODHOUSE)などが世界的にも有名なポートワインブランドです。なかでも日本国内では、テイラーズやグラハムス、サンデマンがよく流通しています。

ポートワインの種類、選び方は?

ポートワインイメージ
ポートワインは原料や熟成期間によってさまざまな種類があります。

黒ぶどうを原料としてつくられるのがレッドポート、一方で白ぶどうを原料としてつくられるのがホワイトポートです。

また、レッドポートはルビー・ポート、トウニー・ポートに分けられます。 これらは製法=色による違いであり、
・熟成期間が短い=淡い色調=ルビー色
・熟成期間が長い=熟成した色調=トウニー色(黄褐色)

となります。

ポートワインの種類

■ルビータイプ■
・ルビー・ポート
平均3年間の樽熟成後に瓶詰め。若いルビー色のポートワイン。

・ヴィンテージ・ポート
作柄が優れた年のみつくる最高級品。長期熟成可能で20年以上の熟成が好ましいとされている。力強い味わいが特徴。

・レイト ボトルド ヴィンテージ ポート(L.B.V)
ヴィンテージポートに次いで、作柄が優れた年のみ製造。ヴィンテージポートに比べて早い段階から飲めるのが特徴。

■トウニータイプ■
・トウニー・ポート
樽にて酸化熟成を行う。熟成によってトウニー色(黄褐色)になったもの。

・熟成年数表記ポート
長期熟成させることで黄褐色になったもの。10年、20年、30年、40年の4種類がある。

・コリェイタ
収穫年が表示されたポートワイン。7年以上の熟成を経た後瓶詰め。収穫年とともに、瓶詰めした年も表記してリリースされる。

■ホワイトタイプ■
・ホワイト・ポート
白ぶどうが原料。グレープスピリッツを添加する。比較的辛口に仕上がることが多い。最低アルコール度数は16.5%。

■ロゼタイプ■
・ロゼ・ポート
黒ぶどうが原料。アルコール度数は19%ほどで、新たに認定されたフレッシュな飲み口のポートワイン。

ポートワインの選び方

ワイン
デザートと一緒に、または食後酒にゆっくりと楽しみたい場合は「レッドポート」を、食前酒として飲んだり、甘い飲み口が苦手という方は辛口の「ホワイトポート」をおすすめします。

まだポートワインを飲んだことがないという方は、まずはルビー・ポートを試してみましょう。比較的リーズナブルなうえ、甘口で親しみやすい味わいに仕上がっているので、カジュアルに楽しめます。

「L.B.V」と表示のあるレイト ボトルド ヴィンテージ ポートやトウニータイプのポートワインは、より複雑味のあるエレガントな深みが味わえるので、特別な記念日などに開けるのもいいでしょう。

ヴィンテージ・ポートは熟成期間の長さと希少性の高さゆえ、価格も高騰していて手が出しづらいので、フルボトルで買うよりも、しっかりと管理されたワインバーなどのお店でバイザグラス(グラスで1杯ずつ)でいただくのがベターです。

ポートワインの飲み方、合う料理は?

ワインとデザート
ポートワインは、濃厚な甘口タイプが主流なので、一般的には食後酒として利用されることが多いです。甘みが強いので、冷蔵庫でしっかりと冷やしていただくのがおすすめです。

バスクチーズケーキやフォンダンショコラ、アイスクリーム、チョコレートといった甘めのデザートに合わせるとよいでしょう。

また、ポートワインが人気のイギリスでは、塩気の強いブルーチーズとのペアリングが定番。イギリス原産のブルーチーズ「ブルー・スティルトン」は、塩分やコクがありまろやかな味わいが特徴なので、ポートワインと好相性です。

辛口のホワイトポートの場合は、食前酒に軽く飲むのもおすすめです。蒸留酒ほどアルコール度数が高くなく、口当たりがいいので、食前に楽しむことで胃が活性化されて食事をより楽しむことができます。

また、食材ではありませんが、葉巻(シガー)とのペアリングも有名です。葉巻独特のフレーバーを楽しみながらヴィンテージポートを合わせるリッチな組み合わせもあるので、興味のある方はぜひお試しを。

ポートワインで贅沢気分を味わいましょう

暖炉前ワインで乾杯
ポートワインは、濃厚でコクのある豊かな味わいで食後のひとときをよりリッチにしてくれるお酒です。

また、糖度が高くアルコール度数も高めなので、保存性に優れており、通常のワインと比べると劣化しにくいのが特徴です。そのため、抜栓しても1ヶ月ほどは美味しく飲めるので、少しずつ楽しめるのも嬉しいポイント。

本を読みながら、映画を観ながらゆっくり楽しむのもよし、アイスクリームと共に優雅な時間を過ごすのもよし。ポートワインは人生の時間を豊かにしてくれる素晴らしい飲み物です。ぜひ一度試してみてくださいね。

※記事の情報は2021年11月30日時点のものです。
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