スコットランドの伝統料理「ハギス」を食べてみた、作ってみた。

1月25日の「バーンズ・ナイト」にスコッチとともに味わいたいスコットランドの伝統料理ハギス。お店で食べて、作り方を訊いて、自宅で作ってみました。

ライター:まるまる
メインビジュアル:スコットランドの伝統料理「ハギス」を食べてみた、作ってみた。
映画「アルマゲドン」で肥満気味の掘削作業員マックスが、たしかNASAの関係者に「僕の好きな食べ物はハギス。ハギスはスコットランドの料理で・・・」と語る場面があります。それを観て、ハギスってどんな食べ物なのかなと思っていました。
最近になって調べてみたら、ハギスはスコットランドのソウルフードといえる伝統料理で、スコッチウイスキーにもピッタリだとのこと。これはぜひ試してみたいものです。

本場スコットランドのハギスをパブで食べてみた。

そこで、本物のハギスを食べてみるため、スコットランド人オーナーが経営する東京・御徒町のスコティッシュパブ「ウォーリア ケルト」におじゃましました。
「ウォーリア ケルト」で注文したハギスが、上の写真。美味しそうです。
オーナー夫人のミワさんに、このハギスの作りかたを訊いたら、こころよく教えてくれました。

「ミンチした羊の内臓と麦、玉ねぎを、羊の胃袋のなかに入れて塩コショウとウイスキーを振って、胃袋を結んで閉じて茹でます。羊の内臓は日本ではなかなかなくて、私がいま使っているのは心臓と腎臓と肝臓ですが、スコットランドでは肺とか、もっといろいろな内臓を使います。胃袋も手に入りづらいので、私はボウルに入れたまま蒸してます」(ミワさん)

でも羊の心臓と腎臓とレバーなんて日本の肉屋さんでは見かけません。ハギスを日本で手軽に作るには、どうしたらいいのでしょう。

「具は羊の内臓の代わりに豚の内臓を使ってもいいと思います。それに羊肉のミンチ、麦、玉ねぎを入れて塩コショウして蒸せば、本場のハギスと変わらない味に仕上がると思います」

スコットランドでは、皆さんハギスを自宅で手作りするんですか?

「現地でも各家庭で手作りすることはあまりないですね。だいたいお肉屋さんで既製品を買ってくるんです。ハムやソーセージをお店で買うのと同じです」

なるほど、あまり手づくりするものではないんですね。ハギスはどういう時に食べるのですか?

「スコットランドでは誕生日、送別会、お正月とか特別な日に食べます。『ハギスのセレモニー』という儀式もあって、国民的詩人のロバート・バーンズの誕生日にあたる1月25日に、バグパイプの先導でハギスを掲げながら運んできて、バーンズが作った『ハギスに捧げる詩』(Address tae the haggis)を朗読して、テーブルでハギスを切って食べるんです」

 

『ハギスに捧げる詩』(Address tae the haggis)の朗読の模様はここに動画がありました。スコットランドの人々のハギスへの特別な思いが伝わってきますね。
 

アンディさん

「ウォーリア ケルト」オーナーのアンディさん(写真)にもお話を訊いてみました。アンディさんはハギスをどのくらいの頻度で食べますか?
 

「毎日! というのは冗談としても、私は週に2回くらいは妻が作ったハギスを食べるね。ハギスはスコットランドの誇りだから」(アンディさん)

 

スコットランド人はみんなハギスが好きなんですか?

 

「それはどうかなあ。ハギスを好んで食べているスコットランド人は全体の半分くらいだと思うよ」

 

スコットランド人が誇りに思う伝統的な料理だけど、羊の内臓だけにクセが強いから、現地でも食べない人もいる、という立ち位置のようです。かつてG8の会合のためにスコットランド入りしたアメリカのブッシュ大統領(息子のほう)が記者に「目下の懸念事項は今夜ハギスが出されるのではないかということだ」というジョークを飛ばしたことも有名な話です。

実際のハギスの味わいはどうなのでしょうか。ウォーリア ケルトでいただいた同店のスコットランド仕込みの自家製ハギスは、クセが強いとか食べにくいとかいうこともなく、むしろ羊肉のステーキなんかよりも食べやすく、滋味にあふれて、スコッチのシングルモルトや英国製ビールにピッタリの素晴らしい味わいでした。ハギスにウイスキーをかけちゃってもいけるということなので、シングルモルトを少しかけて食べてみたら、ハギスの濃厚さにウイスキーの強い味わいが見事にマッチ。気分はすっかりスコットランドです(残念ながら行ったことないですが)。
 

ウォーリアケルト

取材協力:ウォーリア ケルト 住所:東京都台東区上野6-9-22 伊藤ビル 3F 電話:03-3836-8588

週末でもないのにウォーリア ケルトの店内は満員のお客さんで大盛り上がりでした。夕方のアメ横帰りにぜひ立ち寄ってみたいお店です。

自宅でハギスづくりにチャレンジしてみた。

ウォーリア ケルトでお話を聞いてから「ハギスを自分でも作ってみたい」と思いがつのります。そしてついにバーンズ・ナイトも近い一月下旬のある日、遥かなるスコットランドと「蛍の光」の原曲の作詞家ロバート・バーンズに思いを馳せつつ家飲みするため、自宅でハギス作りにチャレンジしました。

作り方がいまいち曖昧なのと、材料がどうしても手に入らないので「なんちゃってハギス」になるのは仕方ないところですが、雰囲気はけっこういい感じのものになったと思います。

ハギスの材料

これが材料。羊の内臓は精肉店で見つけることができず、肩ロース200gで代用しました。内臓は豚でもいいんだけど今回は鶏のレバー200g。それにたまねぎ中半分とオートミール50g。それだけです。ジャガイモとカブはそれぞれマッシュして付け合わせにします。
 

レバーを茹でる

鶏のレバーはあらかじめ茹でます。
 

オートミールを戻す

鶏レバーを茹でたお湯にオートミールを浸します。オートミールの量50gは多過ぎたかもしれません。
 

全体を混ぜる

羊肉と鶏レバーをフードプロセッサーでミンチにして、たまねぎのみじん切り、戻したオートミールと一緒にボウルで混ぜ塩とコショウを振ります。全体に水っぽ過ぎて不安ですが、もう後戻りできません。
 

蒸し器

何はともあれボウルにアルミホイルでふたをして、蒸し器で蒸します。待つこと約1時間半。
 

でき上がり

ハギスができあがりました! たぶん。
 

自家製ハギス

マッシュポテトと、茹でてマッシュしたカブを添えた、自宅のハギス。オートミールが多過ぎた(半分でよかったかも)のか、少し「ゆるい」感じになって食感こそ少しお店のものと違うものの、味わいはほぼ同じ。なかななかのできばえで大満足でした。作り過ぎてしまった分は翌日、ハンバーグのように丸めてフライパンで焦げ目がつくまで焼いて食べたら、それも美味しかったですよ。皆さんもぜひ挑戦してみてください!



※記事の情報は2019年1月24日時点のものです。

 

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