世界初!? 「〇〇美人」日本酒コンテストに行ってみた!

お酒とはまったく関係のない、とある企業が開催した「美人酒コンテスト」。その現場に潜入! 栄えある「No.1美人酒」に輝いたのはどの銘柄? コンテスト開催に至った経緯とは…? 思わず「こんな会社で働きたい!」と言いたくなること請け合いです。

メインビジュアル:世界初!? 「〇〇美人」日本酒コンテストに行ってみた!

美人酒コンテストの開催地は、かなり意外な場所だった

「東洋美人」に「南部美人」、「都美人」…。銘柄名に「美人」を含む日本酒だけを集めたユニークな飲み比べコンテストが開催される…と聞きつけて、イエノミスタイル編集部員が行ってきました!

向かった先は、国会議事堂が見下ろせる永田町のビル最上階のラウンジ。今回のイベントはこのビルに本社を置く情報セキュリティ会社「株式会社ラック」が、社内の新規ビジネス提案制度の一環として企画したものだそう。会場には、日本酒好き、楽しいこと好きの社員のみなさんが30名ほど集まっていました。

「情報セキュリティ会社で、日本酒コンテスト」?? いまいち脳内で結びつきませんが、とりあえず面白そうなのでウォッチさせてもらうことにしました。

全13銘柄!全国の美人酒たちが勢ぞろい

全国から集められた日本酒○○美人
会場のキッチン付きカウンターテーブルには、東北から九州まで全国から集められた「〇〇美人」という名の日本酒がずらり。純米吟醸が9銘柄、純米大吟醸が2銘柄、大吟醸と純米がそれぞれ1銘柄の合計13本がエントリーしていました。
 

全国美人酒コンテスト エントリー一覧

  • 岩手「南部美人」(純米吟醸)
  • 兵庫「都美人」(純米)
  • 広島「福美人」(純米吟醸)
  • 山口「東洋美人」(純米吟醸)
  • 福岡「菊美人」(純米吟醸)
  • 茨城「紬美人」(純米吟醸)
  • 千葉「見返り美人」(大吟醸)
  • 愛媛「梅美人」(純米吟醸)
  • 長崎「長崎美人」(純米大吟醸)
  • 和歌山「紀州美人」(純米吟醸)
  • 兵庫「島美人」(純米大吟醸)
  • 鳥取「美人長」(純米吟醸)
  • 大分「智恵美人」(純米吟醸)

飲み比べに入る前に、今回のイベントのスペシャルアドバイザーとして企画から日本酒選びまで携わった、海外の日本大使館で勤務した経験もある国際唎酒師の中條一夫氏が登壇。
中條一夫氏
テーマを「美人酒」にした理由について、中條氏は「全国に『美人』という名前が付いた日本酒は結構たくさんあり、蔵によって名前の由来も様々で面白い。また、美人酒だけを集めたコンテストはこれまで聞いたことがなかったので、大勢が集まって飲み比べするこの機会にぴったりのテーマだと思いました」と話していました。

シンプルに好きか嫌いかをジャッジ!

ブラインド方式で並べた日本酒
飲み比べは、ラベルによる先入観を排除するためにブラインド方式で行われましたが、このコンテストの目的は銘柄当てではなく、参加者が自分のストライクゾーンの日本酒を見つけること。なので、シンプルにその日本酒を好きか、嫌いか、主観で判断してOK!

手渡された評価シートには、味・香り別に、強すぎ(苦手)、強め(好き)、ちょうど良い(大好き)、弱め(好き)、弱すぎ(苦手)の5段階でチェックをつけるようになっています。

さらに各自が気に入った銘柄の中から投票により「No.1美人酒」を決定します。
評価表
香り・味別に、自分の好みかどうかを5段階で評価する

ルールを理解したところで、いざ飲み比べスタート!
飲み比べ審査
みなさん、唎酒師のような真剣な面持ちで13本の美人酒を次々にテイスティングしていきます。
飲み比べ審査で評価を書きこむ

せっかくなので筆者も飲み比べを体験させていただきましたが、1本を除いて純米・純米吟醸・純米大吟醸と同じ「純米酒」で揃えられているにも関わらず、こんなに自分の中で「これは好き!」「これは少し苦手」と分かれるものなんだなー、と結構驚きでした。こういった違いを楽しめるのも、「〇〇美人」をお題にしたコンテストの面白さだと思います。

No.1に輝いたのはどの「美人」?

みんなが「好き!」と推す美人酒の中から、最も投票数の多かったNo.1が決定。結果、岩手県の純米吟醸「南部美人」がグランプリを獲得しました!
グランプリ表彰状と南部美人
ちなみにこの「南部美人」は1951年に誕生した日本酒で、当時は雑味の多い甘い酒が主流の中で、綺麗で美しい酒を造りたいという思いから命名されたそう。

2位は大分県の「智恵美人」、3位は兵庫県「都美人」がランクイン。
智恵美人
都美人
実は今回の美人酒コンテストには裏テーマがあって、それは「個人個人のあいまいな味覚や嗜好を見える化する」というもの。

飲み比べで各自が使用した評価シートを分析し、参加者には「あなたの味覚傾向はこのようになっています」とフィードバック、いくつかの蔵元には「消費者はこのような味覚をもち、こういった評価をしています」とレポートするんだそう。単なるイベントとして終わらないところもユニークです。

「おいしい」とか「いい香り」といったごく主観的な感覚を可視化することができたら、自分好みのお酒を探すときの良いヒントにもなりそうです。

お酒で人と人をつなぐ

ところで気になるのは、そもそもなぜ情報セキュリティ会社が美人酒コンテストを開催することになったのか、ということ。イベントの企画・運営メンバーのお一人で、新規事業開発部の高橋亮さんにお話しを聞きました。
高橋亮さん
新規事業開発部の高橋亮さん
「弊社には新規事業開発部が運営している『ラックチャレンジ』という社内新規ビジネス提案制度があり、これは社員が、これまでの会社の事業内容や収益性にとらわれずに自由な発想で新規事業のアイデアを発案していこうというものです。

今回のイベントはそんなラックチャレンジへのネタ探しの場として開いたもので、『日本酒』というテーマにしたのは、以前社員から『日本酒だったらアイデアが出るのになー』という声があったから(笑)。実は『個人の味覚を見える化する』という試みも過去に出たアイデアの1つで、今回のイベントはその実験も場でもあったんです。

また、提案制度以外にも、弊社ではお酒を飲みながら社員同士の人的ネットワークの構築やビジネスの『種』を見つけるためのイベントを定期的に開催しています。

事業部や組織の垣根を越えて、お酒を一緒に飲んで、共通の課題について話をしていくうちに、『あーこういう考え方もあるんだ』って分かって、協力相手としての興味も深まる。結果、発想力や課題認識の質も高まります。『人と人をつなぐツール』、『アイデアの発案エンジン』としてお酒を利用しているんです」(高橋亮さん)
飲み比べ終了後の談笑
飲み比べ終了後もイチオシ銘柄の話題で大盛り上がり。なかには「自宅の冷蔵庫の野菜室が日本酒のボトルで埋まっている」という強者も
運営メンバーが腕をふるったおつまみ
運営メンバーが自ら腕をふるったおつまみは、参加者たちに大好評!
参加者にも話を聞いてみたところ、「普段顔を合わせない人とも知り合える良い機会」「社員の発案で好きなことに挑戦できる、この会社のオープンな環境が好き」といった感想がたくさん。

「情報セキュリティ」という重大な任務を担っているラックの皆さんは、きっと日々強い緊張感を伴いながらお仕事されているんだろうなと推察しますが、今日ここにお集りの方々は一様に穏やかな表情で楽しげです。

それにしても、お酒を介して社員同士のつながりや仕事の質も向上させていくとは、うらやましすぎる新規事業開発!

お酒を飲みながらちょっと肩の力を抜いて、好きなことを話したり、相手の声に耳を傾けたり。会社ではありますが、このリラックスした雰囲気はある種の「家飲み」と言えるかも? そんな「場」を作り出せるお酒って、やっぱりいいなー、と改めて思いました。

株式会社ラックの社員のみなさん、今日は素敵なイベントを見せていただきありがとうございました!
「美人酒コンテスト」の企画運営に携わった方々。
「美人酒コンテスト」の企画運営に携わった方々。左から安藤 理美さん、志水 千亜紀さん、鍋島 佳代さん、高橋 亮さん、八木 順子さん、清水 正之さん

※記事の情報は、2019年8月31日時点のものです。
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