おでんのカロリー、栄養は? 賢い具材の選び方を、管理栄養士が解説!

寒い季節になると恋しくなる「おでん」。味の染みたあつあつの具材と、お酒とのマリアージュはたまりませんよね。そんな「おでん」に含まれる栄養や、お酒を飲む人が積極的に摂るべき具材などについて、管理栄養士の森由香子さんに教えていただきました!

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あつあつがたまらない、冬の国民食「おでん」

寒くなってくると「おでん」が食べたくなる、という方も多いのではないでしょうか。

コンビニエンスストアのレジ近くで立ちのぼる、あの魅力的なだしの香りが鼻孔に入り込んだ途端、どうにもおでんが食べたくなってしまう…。おでんには、そんな魔力があるように感じます。

もはや、冬の国民食ともいえる「おでん」。2007年より2月22日は、ふーふーふーと読めることから「おでんの日」になりました。お酒と味の染みたあつあつの大根やこんにゃく、牛スジとのマリアージュはたまりませんね。心も体もほっこり暖まります。
おでんのつゆ
もともと「おでん」は「煮込み田楽」の略省で、大根、こんにゃく、練り製品などの具材を串に刺して、たっぷりの汁でじっくり煮込んだ料理が原点とされているようです。

おでんは、具材の味や歯触りはもちろんのこと、具材すべての栄養が溶け込んでいるつゆまで余すことなく楽しめるのが魅力です。 また、おでんを食べ終わったあとのつゆは切り干し大根などで煮物を作るのに使ったり、野菜スープのベースとして使用することもできます。

ちなみに、よくできている状態のつゆは、しばらく時間をおいても油と水が分離せず、きれいに乳化しています。ぜひご確認くださいね。

おでん一人前に含まれるカロリー、栄養は?

こちらは、よくみられるオーソドックスなおでんのレシピ1人分に含まれるカロリーと栄養素です。
 
食品名 重量(g) カロリー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g) 炭水化物(g) 食物繊維(g) 食塩相当量(g)
醤油 3 2 0.2 (0) (0.3) (Tr) 0.4
さつま揚げ 30 41 (3.8) 0.9 (4.7) (0) 0.6
昆布 2 3 0.1 0 (0.2) 0.6 0.1
焼きちくわ 40 48 (4.5) 0.7 (6.2) (0) 0.8
ゆで卵 50 67 5.6 4.5 (1.1) 0 0.2
練がらし 2 6 (0.1) (0.3) (0.9) - 0.1
本みりん 3 7 0 (0) (1.4) - 0
板こんにゃく 50 3 (0.1) (0) (0.1) 1.1 0
大根 100 15 0.4 Tr 2.7 1.4 0
生揚げ 30 43 3.1 (3.2) 0.4 0.2 0
食塩 2 0 (0) (0) (0) (0) 2
かつお・昆布だし 100 2 (0.2) (0) (0.4) - 0.1
合計 412 237 18.1 9.6 18.4 3.3 4.3

・Trは最小記載量の1/10以上かつ5/10未満の微量、(0)は文献等により含まれていないと推計される値、ーは未測定値を表し、栄養計算上はすべて0で計算しています。
・(数値)は推測値を表し、栄養計算上はカッコを外した値で計算しています。

それでは次の項目から、管理栄養士の視点から見た、目的別のおすすめ具材を紹介します。

おでんの栄養①|おつまみにおすすめの具材は?

おでんと熱燗
まず、お酒を飲まれる方が積極的に摂りたいのは、アルコール代謝に必要な栄養素のビタミンCやビタミンB1が含まれる具材。ビタミンCは、じゃがいも、大根、ロールキャベツやソーセージなどに。ビタミンB1は、豚肉が使われている具材に含まれています。

とはいえ、これらの具材にもビタミンCやビタミンB1がたっぷり含まれているわけではありませんので、おでんと一緒にもう1~2品、サイドメニューがあるとさらに良いです。

例えば、小松菜やほうれん草、豆苗のお浸し、人参ラペ、ブロッコリーや水菜、芽キャベツ、コーン、枝豆などのサラダ、焼き海苔、エノキやマイタケのソテーといった料理などを組み合わせるとよいでしょう。

あるいは食後に、ビタミンCたっぷりの柑橘類を食べることも良いですね。うんしゅうみかん・はるみ・バレンシアオレンジなら、100g中のビタミンC量が33~40mg、ビタミンB1量が0.09~0.11mgと、ビタミンCもビタミンB1も比較的多く含まれているのでおすすめです。

おでんの栄養②|塩分の少ない具材は?

血圧測定
次に、塩分を控えたい方や血圧を気にされている方が気を付けるべきことをお伝えします。

血圧が高めの方は、具材そのものに塩分が含まれているさつま揚げ・焼きちくわ・つみれ・はんぺんなどの練り製品、ソーセージなどの肉加工品は控えめに。食べるとしても2個程度に留めておきましょう。食べ過ぎは禁物です。

上記の表からもわかるとおり、具材そのものに塩分が入っているものが少なくありません。

満腹を感じるまで食べないほうが良いかもしれませんね。食べれば食べるほど塩分量が増えていきそうです。ご自宅での調理の際は、薄味が良いでしょう。

サイドメニューには、体外へナトリウムの排泄を促すカリウムや食物繊維が含まれる食材がおすすめです。

例えば、ほうれん草・春菊・枝豆・じゃがいも・バナナ・リンゴ・キウイフルーツなど。もちろん、つゆを味わうことはやめておきましょう。締めにはカリウムの多い牛乳を飲むことをおすすめします。

おでんの栄養③|低カロリーでダイエット中におすすめなのは?

体重計測
ダイエット中の方には、エネルギー量が低い昆布巻き・こんにゃく・白滝・大根・ツブ貝・タコがおすすめです。

あるいは、上記の表に載っている具材(さつま揚げ、昆布、焼きちくわ、ゆで卵、板こんにゃく、大根、生あげ)を選んだとしても220Kcalなので、適量であればエネルギー量が低くて済みそうです。

おでんは、具を大きめにカットしているのでダイエット向きの料理と言えます。昆布、こんにゃく、白滝を30回ぐらいしっかり噛んで、満足感を得るようにしてください。大根をはじめ、おでんの具材にはたくさんの水分が染み込んでいるので、満腹感も感じやすいでしょう。

そして、あつあつの具材にからしをたっぷりつけて食べるのもポイント。血行が良くなり、代謝アップが期待できます。

おでんの栄養④|カロリー&たんぱく質をしっかり補給したいときは?

筋トレ
一方、カロリーやたんぱく質をしっかり摂りたい方におすすめなのは、下記の具材です。

カロリー補給ならば、ちくわぶ・餅入り巾着・じゃがいも・厚揚げなど。メーカーによってカロリーは異なるため、あくまでも目安ではありますが、おおよそちくわぶは100Kcal、餅入り巾着は140Kcal、じゃがいもは80Kcal、厚揚げは120Kcalになります。

たんぱく質補給ならば、たまご・つみれ・つくね・ソーセージ・ロールキャベツ・焼き豆腐・さつま揚げ・焼きちくわ・生あげがおすすめです。

表からも読み取れるように、おでんはカロリー産生栄養素の炭水化物、脂質、たんぱく質が摂れる、栄養豊かな料理なのです。

魅力いっぱいの「おでん」で、かしこく栄養補給を!

日本地図
「おでん」は、具材や味など、地域によって異なるスタイルが見られるのもおもしろいところです。

生まれ育った地域ではおなじみだったあの具材が、住む場所が変わってみたらまったく入っていなかったり、あるいは「なぜこれがおでんに?」といった初めての具材に遭遇したり…。おでんをきっかけにして異なる文化に触れることがあります。

例えば北海道では白子やフキ、金沢ではズワイガニやセリ、関東ではちくわぶ(生麩の一種で、強力小麦粉を練り、ちくわの型に入れて蒸しあげたもので「ちくわ麩」ともいう)、静岡では黒はんぺん、沖縄は豚足を入れたりしますね。味付けでいうと、名古屋は味噌味、関西では「関東炊き」と呼ばれる薄味が特徴とされています。全国をまわってご当地おでんを食べてみたくなりますね。

「おでん」は、その時々の状況に合わせて具材を選べば、体調管理にも役立てることができます。

さまざまな種類の具材を使って調理できる自由度の高い料理ですので、健康維持を考えて独自の具材を入れ、アレンジしてオリジナルおでんをつくるのも良いですね。

寒い日が続きます。あつあつのおでんとおいしいお酒で、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。
 
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※記事の情報は2022年2月14日時点のものです。
 
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