”サングリア”を知りたい! ~ソムリエが教える基礎知識とおいしい飲み方~

フルーティーな味わいで世界中の幅広い世代から親しまれているサングリア。近年ではレストランや居酒屋、スーパーでも見かけるようになり、日本でもすっかりお馴染みのお酒です。そんなサングリアの基礎知識からおいしい飲み方まで、ソムリエが解説します!

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サングリアとはどんなお酒?

サングリアはワインにフルーツやスパイスを漬け込んでつくるフレーバードワインの一種です。

フレーバードワインとは「ワインに薬草、果実、甘味料、エッセンスなどを加えて独特な風味を添加したもの」を指します。フランスでは「ヴェルモット」「リレ」、イタリアは「ヴェルムート」、ギリシャでは「レッチーナ」などのフレーバードワインが有名です。
サングリアをグラスに注ぐ
使うワインの種類やフルーツ、スパイスによって仕上がりはさまざまですが、サングリアはさっぱりとした甘みとフルーティーな味わいで、ワインの渋みが苦手な人でも飲みやすいものが多いのが特徴です。

今回はそんなサングリアの基礎知識からおいしい飲み方まで、幅広く解説していきます。

サングリアの発祥は? 白ワインベースのサングリアもある?

サングリアはスペインやポルトガルが発祥で、その歴史は19世紀にまでさかのぼります。

もともとは状態のあまりよくないワインをおいしく飲むために工夫を凝らしたことからサングリアが生まれました。スペイン語では“Sangría”と表記し、語源はスペイン語で「血」を意味する“Sangre”が由来と言われています。市場に出回っているサングリアは赤ワインベースのものがメジャーですが、白ワインベースのサングリアもあり「サングリアブランカ」「ホワイトサングリア」などと呼ばれています。

白ワインベースのサングリアは赤ワインベースのものに比べてさっぱりした味わいのものが多く、夏の時期には特におすすめです。
白ワインベースのサングリア

サングリアのアルコール度数はどれくらい?

サングリアのベースとなるワインは、赤ワインならアルコール度数11~15%、白ワインなら9〜13%ほどのものが一般的です。そこにフルーツなどが加わるので、サングリアはベースにしたワインよりもアルコール度数が低くなります。また炭酸やトニックウォーター、ジュースなどで割って飲むのにもサングリアは向いていて、サングリアをソフトドリンクで割って飲む場合、アルコール度数は5%前後になるのでさらに飲みやすくなります。

サングリアはどんなシーンで飲まれている? おつまみのおすすめはコレ

おつまみとサングリア
サングリアはスペインやポルトガルでは日常的に飲まれるお酒で、さまざまなシーンでカジュアルに楽しまれています。ランチやブランチに飲まれることが多いです。

甘めに仕上げたサングリアは食前酒や食後酒として飲まれることが多く、さっぱりとしたドライなサングリアの場合は食中酒としても親しまれています。生ハムやチーズをクラッカーにのせたり、ナッツやスパイスの効いたスナック、揚げ物など、パーティーシーンで好まれるようなおつまみがサングリアとは好相性です。

本場のサングリアの作り方は? 日本では酒税法違反に注意!

本場のサングリアのつくり方
サングリアをつくるときに決まった分量などはなく、使うフルーツやハーブといった材料も多様です。大きめのピッチャーやデカンタにカットしたフルーツ、ワイン、ハーブやスパイスを入れて漬け込むのが本来の作り方ですが、このつくり方を実践するには、日本国内では酒類製造免許がないといけません。

日本の酒税法の規定では、自分でつくって飲むためのお酒であっても、アルコール度数が20度以下のお酒をベースにした漬け込み酒や作り置きは禁じられています。つまり、ワインの一般的なアルコール度数は12~15%なので、ワインにフルーツを漬け込むサングリアのレシピは日本ではつくることができません。ワインにフルーツを漬け込む過程で醗酵した場合、アルコール度数が1%以上あがる可能性があり、それが「密造酒の醸造行為」とみなされてしまうためです。

ではサングリアは家飲みでは楽しめないの?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません! サングリアを家飲みで楽しむ方法を2つご紹介します。

サングリアを家飲みで楽しむ2つの方法

前述した通り、サングリアを自宅で手作りする場合は酒税法に留意しなければなりませんが、自宅でもサングリアをおいしく飲む方法が2つあります。

1つは漬け込みをせず、飲む直前にワインにフルーツやスパイスを入れてカクテルのようにして飲む方法。もう1つは市販されているサングリアを買って飲む方法です。市販のサングリアを飲む直前にフルーツを足してアレンジするものいいですね。赤ワインベース、白ワインベース、それぞれのサングリアに合うおすすめのフルーツやハーブなどは後ほどご紹介します。

サングリアはどこで買える? 選び方のポイントは?

サングリアはスーパーや酒屋など、身近なお店で買うことができます。また、通販で購入できるサイトなどもあるので手に入りやすいお酒です。市販のサングリアを買う場合は、飲むシーンに合わせて選ぶのがおすすめです。食事と一緒に楽しみたいときは、濃い味付けの料理ならコクのある赤ワインベースのサングリア、一方サラダや魚介類などの前菜と一緒に合わせるならさっぱりした白ワインベースのサングリアを選ぶと良いでしょう。またパーティーシーンで使う場合は大容量の箱型容器のものが便利です。

サングリアのおいしい飲み方は?

氷を入れたサングリア
そのままストレートで飲んでももちろんいいのですが、赤ワインべースのものも白ワインベースのものも、サングリアはを入れて冷やして飲むのが一般的です。

ほかにも炭酸やジュースで割ったり、温めてホットサングリアにしたりと、その日の気分や好みに合わせてさまざまな楽しみ方ができるので、ぜひ色々な飲み方を試してみてくださいね。

市販のサングリアがワンランクアップする方法

フルーツやハーブやスパイス
市販のサングリアはすでに味が調整されていますが、追加でフルーツやハーブなどを入れると見た目も華やかでさらに香りよく、味わい豊かに仕上がります。また、リキュールを足すと味にまとまりが出ておいしくなりますよ。

赤ワインと白ワイン、それぞれに合うフルーツ、スパイス、ハーブ、リキュールをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。もちろん、飲む直前のワインに足してサングリア風を楽しみたいときにもおすすめです。

赤ワインベースのサングリアに足すならこれがおすすめ!
<フルーツ>オレンジ、パイナップル、ミックスベリー
<スパイス・ハーブ>シナモン(スティック)、スターアニス、クローブ
<リキュール>カシスリキュール、ピーチリキュール、オレンジキュラソー
<その他>グレナデンシロップ、ブランデー

白ワインベースのサングリアに足すならこれがおすすめ!
<フルーツ>グレープフルーツ、キウイ、レモン、ライム、りんご
<スパイス・ハーブ>スペアミント、ローズマリー、レモングラス、タイム、セージ
<リキュール>ピーチリキュール、ブルーキュラソー
<その他>シロップ、ブランデー

ホットサングリアとヴァンショーの違いは?

ところで、“ヴァンショー”というホットサングリアに似たお酒をご存じですか? ヴァンショーはフランス語で「ホットワイン」を意味していて、ドイツ語では「グリューワイン」、英語では「マルドワイン」と呼ばれています。
ヴァンショー
ヴァンショーはワインにオレンジピールやスパイスなどを加えて煮詰めてつくります。ワインに香りや味わいを加えてつくるという点や、材料はサングリアとよく似ていますが、ホットサングリアには煮詰める工程がないのが違いです。

どちらも冬の寒い時期にぴったりのお酒なので、ホットサングリアがお好きな方はヴァンショーにもチャレンジするのもいいかもしれませんね。

家飲みでもサングリアを楽しもう!

アイスでもホットでも、赤ワインでも白ワインでもおいしく飲めるお酒「サングリア」。その日の気分に合わせてスパイスを足したり、炭酸で割ったりとさまざまなバリエーションが楽しめます。普段の家飲みだけでなく、華やかな見た目はホームパーティにも最適です。酒税法はしっかり守りつつ、サングリアで至福の家飲み時間をお過ごしください。

※記事の情報は2022年8月31日時点の情報です。
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