「パーカーポイント」とは何のこと? ワイン選びに役立つ基準をソムリエが解説!

ワインの評価を表す「パーカーポイント」という言葉をご存知でしょうか? パーカーポイントとは、世界的な影響力を持つワイン評論家・ロバート・パーカーJr.によるワインの採点基準のことを指します。今回は、パーカーポイントの評価基準やその他の基準など、ワイン選びの一助となる目安をソムリエが分かりやすく解説します!

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パーカーポイントとは?

「パーカーポイント」とは、世界で最も有名なワイン評論家の一人と言われているロバート・パーカーJr.が考案したワインの評価方法における得点のことです。

評価者の個人的な感想とワインの品質に基づく数値で全体的なワインの質を定量的に表し、「PP」または「RP」と略されることもあります。

このシステムは、特にフルボディの赤ワインや複雑な味わいの白ワインの評価において重要視されており、通常80点以下は平均以下、85点以上は良質、90点以上は優れた品質であると評価され、特に98点から100点は非常に稀で卓越した品質であることを意味します。

ロバート・パーカーJr.とは?

ロバート・パーカーJr.は、法律家から転身したアメリカのワイン評論家です。弁護士として11年間働き、フランスを旅したことがきっかけでワインに関する記事を書きはじめ、後の「ワインアドヴォケイト」となるワイン評価誌「ザ・ボルティモア・ワシントン・ワイン・アドヴォケイト」を出版するようになります。

その評価がワイン業界で「パーカーポイント」として知られるようになると、世界中のワイン産業に多大な影響を与え、特にボルドーやカリフォルニアワインの評価において重要な役割を果たすようになりました。彼の評価方法はワインの品質と将来性の両方を考慮に入れたものだったため、業界標準として広く受け入れられるようになったのです。

パーカーポイントの評価基準は?

ワインの評価
パーカーポイントでは、ワインの香り、味わい、色、全体の構造、将来性など多角的な視点から点数が付けられます。

100点満点方式で、点数の内訳は以下のとおりです(※すべてのワインに基礎点の50点が予め加算されます)。

■風味、後味、余韻…20点
■アロマ、ブーケ…15点
■全体の質、熟成の将来性…10点
■色調、外観…5点


評価はブラインドテイスティングに基づいて行われ、客観性と公平性が保たれるように努められています。目安として、「85点以上」だと良い評価を受けているワインとされています。

この評価システムは、消費者にとってワインの品質を判断する一つの目安となり、また一部の生産者にとっては自分たちのワインの品質向上のための目標にもなっています。

パーカーポイントで高評価を得るとどうなる?

パーカーポイントで高得点を獲得すると、市場価値が大幅に上昇してワインの価格が上がることがあります。コレクターズアイテムとしての価値も高まり、ワイン愛好家や専門家からの注目を集めた結果、元の値段よりもはるかに高値で取引されることもあります。

パーカーポイントで高評価を受けたことで、無名のワイナリーがいきなりトップワイナリーの仲間入りをする現象も度々見られます。この影響で流通価格が高騰したワインは「シンデレラワイン」と呼ばれます。

有名無名に関わらず、素晴らしいワインをつくる生産者を数多く見出した功績が評価されたロバート・パーカーJr.は、過去にフランスとイタリアの大統領から勲章を受けています。

パーカーポイントが高いワインはおいしい?

ワイン
パーカーポイントで高得点を取ったワインは一般的に複雑さや長期熟成のポテンシャルを持ち、品質も高いと評価されていますが、ワインの好みは個人的なものであり、必ずしもすべての人に合うわけではありません。パーカーポイントはあくまで目安とし、自分自身の好みを探求することも大切です。

ちなみに、かつてのパーカーポイントでは、凝縮した果実味や濃厚な味わいがあり、いわゆる”フルボディで味わいが濃いスタイル”が高い点数を取る傾向になりました。しかし、ロバート・パーカーJr.が2019年5月にワイン評論家を引退し、現在は複数のテイスターの評価を集約する合議制に移行したため、現在では一概に「パーカーポイントで高得点のワイン=濃厚なフルボディ」とは言えなくなっています。

パーカーポイント以外のワインの評価基準は?

ワインの評価基準には、パーカーポイント以外にもさまざまなものがあります。

●ワインアドヴォケイト誌(WA)
ロバート・パーカーJr.によって設立された雑誌で、パーカーポイントの発表源です。後述のワインスペクテーター誌と共に、二大ワイン専門誌として大きな影響力を持つメディアで、ワインの品質、特性、生産者の評価などを網羅しています。ワインアドヴォケイト誌は広告収入に頼らず、「ワインについて公平な意見を述べることができる評価誌こそが、消費者の利益になる」という理念を掲げており、創刊から現在に至るまで、購読者の支払う資金のみで運営されています。評価基準はパーカーポイントと同じですが、ロバート・パーカーJr.が引退した現在では、「PP」に代わり「WA」と表記されることが増えています。

●ワインスペクテーター誌(WS)
ワインアドヴォケイト誌と同様に、大きな影響力を持つメディアとして知られています。ワインの品質を独自の観点から評価し、世界的な規模でワイン情報を提供しています。ワインスペクテーター誌のスコアも業界で広く認められています。

●アントニオ・ガローニ(AG)
イタリアワインの専門家として知られ、独自の視点でワインを評価しています。もともとはワインアドヴォケイト誌でロバート・パーカーとともに働いていましたが、独立し「Vinous(ヴィノス)」という有料ワインサイトを立ち上げました。特にイタリアワインに関する評価では、非常に高い信頼を得ています。

●ジェームス・サックリング(JS)
ワイン評論家のジェームス・サックリングはワインスペクテーター誌の上席編集長およびヨーロッパ局長を20年務めた後、2010年に「JamesSuckling.com」を立ち上げました。主に新世界ワインに焦点を当てており、その評価は特にアジア市場でのワインの評価に影響を与えています。SNSでの発信にも力を入れており、最も発信力のあるワイン評論家の一人とも言われています。

評価基準と自分の好みをかけ合わせて、ワインとの出会いを楽しもう!

ワインを選ぶ
ここまで、パーカーポイントの内容やそのほかのワインの評価基準についてご説明してきました。

これらの評価が高いワインは信頼性も高く、ワインの購入や試飲の際には参考になりますが、最終的には自分の好みに合ったワインを見つけることが何よりも大切です。

評価基準を一つの目安としつつ、自分自身の感覚でワインを選び、ワインの多様性と奥深さを存分に楽しみましょう!

※記事の情報は2023年11月30日時点のものです。
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