ワインの「フルボディ」とは? 見分け方や品種についてソムリエが解説!

赤ワインのラベルなどで「フルボディ」という表現を目にしたことのある方も多いはず。「フルボディ」とは、味わい深く濃厚で、渋みや重みのあるワインのことを指します。この記事ではソムリエが「フルボディ」の特徴をわかりやすく解説! フルボディの見分け方や合わせやすい料理を知れば、これからのワイン選びがグッと楽しくなるはず。ぜひ参考にしてみてください。

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「フルボディ」とはどんなワイン?

「フルボディ」とは、味わいにコクがあり、濃厚で渋みや飲み口に重みのあるワインのことを指します。また味わいだけでなく、色調や香りが力強いワインのことも「フルボディ」と表現します。

通常は赤ワインをカテゴライズする際に使われる言葉で、白ワインの場合は「甘口」「辛口」と表記することが一般的です。ただし、白ワインのなかでもこっくりした味わいで色味が濃い場合は、ときおり「フルボディの白ワイン」と表現されることもあります。

そもそも「ボディ」とは?

「ボディ」は直訳すると「身体」という意味ですが、ワインでいうと「骨格」という方がしっくりくるかもしれません。ワインのコクや味わいの力強さ、重みや渋み、香り、色調といったワイン全体の骨格を表現するのに使われます。

「フルボディ」以外に、「ミディアムボディ」、「ライトボディ」といった表現があり、赤ワインは基本的にこの3つのいずれかにカテゴライズされます。これらには明確な基準や定義はなく、ラベルに記載する義務もありません。あくまでもワインを選定する際の「目安」として記載されています。

「フルボディ」のワインの特徴、見分け方は?

赤ワインとブドウ
フルボディと表現されるワインにはどのような特徴や見分け方があるのでしょうか。

それには、大きく分けて3つあります。「タンニンの含有量」、「アルコール度数」、「熟成期間」です。

ただし、これらのうちどれか一つが該当していればフルボディなのかというと決してそうではなく、あくまでも見分ける際の目安の一つであるということは押さえておきましょう。
 

・タンニンの含有量

タンニンはワインに含まれるポリフェノールの一種で、ワインの風味や渋み、色調などに影響を与える成分です。タンニンが多いと渋みが多く出る傾向にあるため、フルボディと表される味わいになります。

タンニンはぶどうの果皮や種子に含まれる成分で、品種によって含有量に違いがあります。タンニンが多く含まれるぶどう品種にはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、ネッビオーロといったものがあり、これらを使って長期熟成に耐えうるパワフルなワインが造られています。
 

 ・アルコール度数

アルコール度数が上がると、口に含んだときの味わいのインパクトが強まり、飲み口のしっかりしたワインになります。赤ワインのアルコール度数は一般的に11~15%程度で、フルボディのものとなると13.5~15%程度のものが多くなります。

ただし、アルコール度数がそこまで高くなくても味わいや香りが強い場合はフルボディと形容されることがあるので、アルコール度数もあくまでも一つの目安にしかすぎません。
 

 ・熟成期間

熟成期間もワインのボディに影響を与えると言われています。通常赤ワインは木樽やステンレスタンク、コンクリートタンクなどで熟成させていきますが、なかでも木製の樽で熟成させると味わいや香りに深みが増す傾向があります。また、瓶内においても熟成が進んでいくにつれて尖っていたタンニンがまろやかになり、舌触りが良い味わいに変化していきます。

長期熟成に向くワインは、アルコール度数や酸とのバランスなどさまざまな要素がありますが、「タンニンの含有量が多い」というのも一つの条件です。タンニンの含有量やアルコール度数が低いワインは熟成向きとは言えないため、必然的にライトボディ〜ミディアムボディのワインであることが多いです(ブルゴーニュのピノ・ノワールなど例外あり)。

「フルボディ」と「ミディアムボディ」の違いは?

赤ワインと食事
ミディアムボディはライトボディとフルボディの中間を指し、渋みや味わいのバランスが取れたワインです。フルボディの赤ワインは濃い紫や黒っぽい色調をしていますが、ミディアムボディの赤ワインは濃いルビー色の色調をしています。

合わせる料理も幅広く、豚肉や鶏肉を使った料理やトマトソースのパスタ、チーズを使ったピザなどにもよく合います。また、中華料理やアジアン料理といったオイリーかつスパイシーな料理との相性も良く、多国籍な料理と合わせられるという意味では汎用性の高いワインのタイプと言えます。

「フルボディ」と「ライトボディ」の違いは?

ボジョレー・ヌーヴォー
ライトボディのワインは口当たりが軽く、さらりとした飲み心地が特徴です。アルコール度数は11.5~13%ほどが多く、色味も透明感のある赤紫色で、全体的に色合いが淡くて薄いものが多くなります。

ライトボディの赤ワインのわかりやすい例としては、毎年11月の第3木曜日に解禁される「ボジョレー・ヌーヴォー」が挙げられます。渋みも少なくフルーティで飲みやすいので、合わせる料理も軽めのものがおすすめです。きのこ料理や出汁の効いたおでん、筑前煮といった香りや味わいが繊細なものと相性が良いです。

また、日本原産の土着ぶどう品種である「マスカット・ベーリーA 」もライトボディで飲みやすく、日本食にもよく合うワインとして知られています。

「フルボディ」やその他のボディに使われる品種は?

ブドウ
前述したように、フルボディのワインに必要な要素の一つとして、果皮や種子に含まれるタンニンが豊富に含まれていることが挙げられます。

産地の特性や品種の個性によって長期熟成させたり、フレッシュな味わいに仕上げたりするため一概には言えませんが、目安としては以下のように分類することができます。ワインをセレクトする際に参考にしてみてください。
 

 フルボディ

・カベルネ・ソーヴィニヨン
・メルロー
・シラー
・ジンファンデル
・ネッビオーロ
・アリアニコ
・プティ・シラー
・マルベック
 

ミディアムボディ

・ピノ・ノワール(カリフォルニア、チリ)
・サンジョベーゼ
・グルナッシュ
・カベルネ・フラン
・カリニャン
 

 ライトボディ

・ピノ・ノワール(ヨーロッパ)
・マスカット・ベーリーA
・ガメイ

「フルボディ」のワインに合うおつまみは?

赤ワインとステーキ
フルボディの赤ワインは一般的にアルコール度数が高く、渋みもしっかりしているため、繊細な味付けの料理や口当たりの軽い食材と合わせるのは難しくなります。ボディに合わせてボリューミーな料理をセレクトしましょう。

特に、赤身のビーフステーキや照り焼きポークチョップ、牛ホホ肉の赤ワイン煮などといった、こっくりとジューシーな肉料理とは好相性です。

また、タンニンが滑らかで、飲み込んだ後に少し甘みが残るようなフルボディの赤ワイン(ジンファンデルやマルベックを使ったワインに多いです)の場合、すき焼きとの組み合わせは絶品です。すき焼きをする際にはぜひ、そういった赤ワインをチョイスしてみてくださいね。

まとめ

フルボディのワインはコクがあり濃厚なので、こってりした料理やおつまみが好きな方には特に親しみやすい味わいです。

ブドウ品種やアルコール度数の特徴などを覚えておけば、ボトルのラベルに表記されていなくてもぴったりなワインをセレクトすることができます。

この記事をご参考に、これからのワイン選びをもっと楽しんでくださいね。

※記事の情報は2022年10月21日時点のものです。
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