味も香りも多彩なベルギービールはいかが?

世界無形文化遺産にもなったベルギービール文化。ベルギーで作られるビールは、ドイツ、イギリス、チェコなどビールづくりが盛んな国の中でも、その多様さで際立っています。今回はそんなベルギービールをご案内します。

メインビジュアル:味も香りも多彩なベルギービールはいかが?

ベルギービールは色とりどりで味もさまざま

ベルギーには世界中で飲まれている金色で透明のピルスナーラガータイプから、白く濁った白ビール、自然発酵の強い酸味のランビック、桃やベリーを加えたフルーツビール、豊かな香りと濃厚な味わいのトラピストビールなど、さまざまなスタイルのビールがあります。グラスに注いで並べてみると、色だけ見てもこんなにバリエーション豊かなんです。
ベルギービール

日本でも開催されるベルギービールウィークエンド

毎年、秋にベルギーの首都ブリュッセルで開催されるパーティイベントがベルギービールウィークエンドです。

ベルギーは九州くらいの面積の国ですが、350近いビール醸造所があり、1,500種類以上のビールがつくられているといわれます。その数の多さとユニークなビアスタイル、暮らしに深く根差した「ベルギービール文化」は、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

ベルギービールウィークエンドには、各地のビール醸造所がブリュッセルにある世界遺産グランプラスにやってきます。50以上ものブースが並び、皆、グラスを片手にいろいろなビールを楽しむのです。
ベルギーウィークエンド1
(c) Milo Profi copyright always obligatory
ベルギーウィークエンド2
(c) Milo Profi copyright always obligatory
グランプラスで大勢のビールファンが集い、思い思いに好みのビールを味わう
実はこのベルギービールウィークエンドは、日本でも開催されています。というよりもベルギー以外で開催されているのは日本だけです。毎年、5月の連休に名古屋から始まり、横浜や大阪を巡って、秋に東京でのべ50日ほど開催されます。

今年は軒並み中止となってしまい残念でしたが、11月上旬にようやく東京・豊洲で10日間開催されました。そして、なんともうれしいことに12月8日~12日に東京・新宿で緊急、追加開催が決まりました。騒ぎすぎず居心地のいいイベントなので、ぜひ出かけてみてください。詳細は本稿の最後に記載します。
日本でのベルギービールウィークエンドは今年で11回目
日本でのベルギービールウィークエンドは今年で11回目
ブースでビールを選んで専用グラスに注いでもらうスタイル
ブースでビールを選んで専用グラスに注いでもらうスタイル

ベルギービールでまず試すべきは白ビール

では、ベルギービールは何から飲むとよいのでしょうか? 

私が初めてベルギービールを飲むという方におすすめしたいのは白ビールです。苦みが少なくオレンジやミントのような香りが立ち、口当たりはマイルド、ビールの苦みが苦手な方でもおいしく楽しめるビールです。

ベルギービールではもっともポピュラーなスタイルで、『ヒューガルデンホワイト』や『ヴェデット』は日本でも少し大きなスーパーマーケットで見かけることもあります。
『ヴェデット』は爽やかで甘い香りと軽快さが特徴の白ビール
『ヴェデット』は爽やかで甘い香りと軽快さが特徴の白ビール

桃の香りと甘みを感じるリンデマンス・ペシェリーゼ

お酒はあまり強くないという方におすすめしたいのはフルーツビールの『リンデマンス』です。フルーツを加えたビールでピーチ、カシス、リンゴ、フランボワーズなど数種類が輸入されています。もっとも癖のないペシェリーゼ(ピーチ)からお試しください。

アルコール度数は2.5%と普通のビールの半分ほど、缶チューハイの『ほろ酔い』よりも少ないくらいです。自然な桃の香りとさっぱりした甘みがやさしいビールは、お酒があまり飲めない方も楽しんでいただけます。
自然発酵のランビックとピーチでつくる『リンデマンスペシェリーゼ』
自然発酵のランビックとピーチでつくる『リンデマンスペシェリーゼ』

ベルギービールと言えばトラピストビール

その昔、修道院で生まれ、今も修道院でつくり続けられているトラピストビール。現在、世界に11あるトラピストビールのうち6つはベルギーにあり、ベルギービールを特徴づける存在です。

日本で入手しやすいのは『シメイ』でしょう。長く「赤」「青」「白」の3種類が輸入されていましたが、数年前に「金」が、今年は「緑」が加わって5種類になりました。ハーブやスパイスをたっぷり使った深い味わいで、アルコール度数は7~10%と通常のビールのおよそ2倍です。
『シメイ青』のスペシャルエディションはゴージャスな味わい
『シメイ青』のスペシャルエディションはゴージャスな味わい
比較的容易に入手できる『シメイ』の青と白
比較的容易に入手できる『シメイ』の青と白。青はもともとクリスマス用に開発された

世界一魔性を秘めたビール『デュベル』

トラピストビールと飲み比べたいのはゴールデンエールというスタイルの『デュベル』です。見た目は透明で金色に輝くピルスナーラガーによく似ていますが、複雑な香りと重厚な味わいは全く別ものです。アルコール度数は8.5%。ゆっくりじっくり味わいたいビールです。
『デュベル』は「世界一魔性を秘めたビール」と言われる
『デュベル』は「世界一魔性を秘めたビール」と言われる

ワインのような『ドゥシャス デ ブルゴーニュ』

最後にベルギービールの中でも異彩を放つ『ドゥシャス デ ブルゴーニュ』をご紹介しましょう。

醸造酢のニュアンスのあるフルーツの複雑な香りは強い酸味を想像させます。色は赤みがかった濃い茶色です。オーク樽で長く熟成させ、酸味と甘みが調和した味わいは、これがビールなの?と思わせます。

名前もワインの銘醸地フランスのブルゴーニュですから、初めて飲んだ時はワインを目指してつくったビールなのではと思いましたが、醸造所のあるブリュージュからブルゴーニュに嫁いだ姫に因んで名づけられたそうです。

このビールをおいしいと思うようになったら、あなたは立派なベルギービール通です。
『デゥシャス デ ブルゴーニュ』は王女のラベルが印象的
『デゥシャス デ ブルゴーニュ』は王女のラベルが印象的

おつまみはフライドポテト&ムール貝

ベルギービールにおすすめのおつまみはなんと言ってもフリッツ(フライドポテト)です。ベルギーの街角では、たっぷりマヨネーズをかけたフリッツを頬張る人をよく見かけます。

もう一つはムール貝。ビアパブでは蒸したムール貝がバケツに山盛りにされて売られています。パクパク食べて殻をポイっと捨てる様子は、なんとなく枝豆に似ています。
 
ベルギーでビールのおつまみと言えばフリッツ
ベルギーでビールのおつまみと言えばフリッツ
ムール貝は安くておいしい定番おつまみ
ムール貝は安くておいしい定番おつまみ

凝った料理がお好みなら牛肉のビール煮でしょう。毎年、ベルギービールウィークエンドでは『シメイ』を使った牛肉の煮込みが提供されますが、これに『シメイブルー』を合わせるのは絶品です。

ビールが苦手な方でも飲みやすいものから異彩を放つ1杯まで、個性豊かなベルギービールを、ぜひ一度お試しください。

ベルギービールウィークエンド・クリスマス
日時:2021年12月8日~12日 (平日16:00~21:00 土日11:00~21:00)
会場:新宿住友ビル 三角広場

※記事の情報は2021年11月18日時点のものです。

  

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