蒸留酒「ジュネヴァ」、ベルギーの産地訪問記
オランダ産のイメージが強いジンのルーツ「ジュネヴァ」ですが、同じネーデルラントのベルギーでも盛んにつくられ、第2の都市ハッセルトにはジュネヴァ博物館があります。今回はこの博物館とフィラーズ蒸留所のレポートです。
![メインビジュアル:蒸留酒「ジュネヴァ」、ベルギーの産地訪問記](/sites/default/files/common_mainimg/trend230406_00.jpg)
ベルギーのジュネヴァ主産地ハッセルト
![ベルギー地図](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_01.jpg)
旧市街地にある国立ジュネヴァ博物館を訪ねました。古いレンガ造りの蒸留所をハッセルト市が買い取り、改修工事を経て1987年に開館したものです。建物は元々修道院農場で、1階のチケット販売所は牛舎だったそう。その奥では昔ながらの製法で、現在もジュネヴァを製造しています。この博物館の展示から、ベルギー及びオランダ南部でのジュネヴァの歴史について紹介しましょう。
![ハッセルトのジュネヴァ博物館](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_02.jpg)
![博物館の建屋は農家が蒸留所を併設したスタイル](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_03.jpg)
![左奥の細長い蒸留器でジュニパーベリー・スピリッツを蒸留し、右端の胴の太い蒸留器でモルトワイン(穀物原料のスピリッツ)を得る](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_04.jpg)
![原料の穀物を準備する博物館の職員](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_05.jpg)
![有名なペストマスク](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_06.jpg)
![ジュニパーベリーのポスター](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_07.jpg)
![ジュニパーベリーそのものを展示。松のように刺々した葉がたくさん](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_08.jpg)
![農産物を加工しジュネヴァを造り、残滓は飼料となって循環する](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_09.jpg)
![農業の近代化のために蒸留所を併設するよう勧めるポスター](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_10.jpg)
こうした歴史からでしょうか、ハッセルトのジュネヴァ博物館の展示では、アルコール問題や適正飲酒の啓蒙に多くのスペースが割かれていました。
![19世紀に禁酒思想が勢いを増し、蒸留酒は厳しく制限されるようになる。ジュネヴァには受難の時代](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_11_1.jpg)
![酩酊して家庭が崩壊するさまを描いた絵画](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_11_2.jpg)
![ジュネヴァに使用されるボタニカルの展示](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_11_3.jpg)
ジュネヴァから総合蒸留所へ フィラーズ(Filliers)
![フィラーズ社の経営をリードするCEOクヌゥデさん](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_12_1.jpg)
![フィラーズ社の工場](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_12_2.jpg)
1967年にスタートしたジュネヴァの樽熟成は、すでに50年以上経過しており、この原酒を使えることは大きな財産です。1970年には卵のリキュール「アドヴォカート」をヒットさせ、1986年には初のフルーツフレーバーのジュネヴァをラインナップしました。さらに2007年にはスコットランドからポットスチルを導入してモルトウイスキーの製造を開始し、総合蒸留酒メーカーとしての地位を確立します。現在は最上級のジュネヴァやベルギージン、シングルモルトウイスキーなどで構成する「プレミアム・スピリッツ」と、フルーツ・ジュネヴァやスタンダードなジュネヴァをラインナップする「ファン・スピリッツ」を自社ブランドで展開するほか、国内外からOEMを請け負ったり原酒を供給したりしています。
会社の成り立ちの説明の後、工場を案内してもらいました。レンガ造りの工場の前に建つ四本の巨大なサイロには、原料のモルト、コーン、小麦、ライ麦が蓄えられています。一度、農業を止めて酒造業に専念しましたが、近年は原料の自社栽培を再開、農家との契約栽培も拡大しているそうです。工程順に見学し、大きな縦型発酵タンクでは、発酵中の醪を試飲させてもらいました。
![屋外には4つの大きなサイロ](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_13.jpg)
![大型発酵タンクから発酵液を抜き取るブルゴ工場長](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_14.jpg)
![発酵初日と2日目の醪を飲み比べる](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_15.jpg)
EUの規定でジュネヴァは、単式蒸留器でつくられるモルトワインの割合によって、大きく三つに分けられています。オウド(古い)ジュネヴァはモルトワインを15%以上含むもの、ヤング(新しい)ジュネヴァはモルトワインが15%未満のもの、そしてグレーン・ジュネヴァは穀物だけを原料に連続式蒸留器で蒸留したものです。
![高さ10mを超える連続式蒸留器](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_16.jpg)
![ジュネヴァ用の単式蒸留器は2基ありモルトワインを得る](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_17.jpg)
![ジン用の蒸留器](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_18.jpg)
![フォーサイス社製のポットスチルを導入](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_19.jpg)
![バーボン樽で長期熟成したジュネヴァを汲みだすブルゴ工場長](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_20.jpg)
![6段式の貯蔵ラックにたくさんの樽が積まれていた](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_21.jpg)
![モルトウイスキーはシェリー樽で熟成。昔ながらの積み方だ](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_22.jpg)
![フィラーズ社のプレミアムジン「Filliers Dry Gin28」](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_23.jpg)
![熟成年数の異なるジュネヴァ](/sites/default/files/styles/news_contents_img1/public/article_img1/trend230406_24.jpg)
※記事の情報は2023年4月6日時点のものです。
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