国のブランド保護制度で指定! 伊豆諸島の島焼酎「東京島酒」が今熱い

今年3月に「東京島酒」が国税庁によって地理的表示(GI)指定され、国内外での知名度が急上昇しそうな伊豆諸島の島焼酎。東京都の地酒でもあり、他の産地にない魅力的なバックボーンがある島焼酎をご紹介します。

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東京島酒GIとは?

スパークリングワインの「シャンパーニュ」やブランデーの「コニャック」のように、産地名を名乗るためのルールをつくり、他の産地と一線を画して産地ブランドを保護する仕組みが「地理的表示(GI)」です。日本酒では「GI山形」を皮切りに「灘五郷」「長野」「佐賀」など次々に誕生し12地域を数えます。

本格焼酎・泡盛では「壱岐(麦焼酎)」「球磨(米焼酎)」「琉球(泡盛)」「薩摩(芋焼酎)」の4地域が指定されていましたが、今回、「東京島酒」が加わり5つになりました。
東京島酒GIの伝達式は3月29日に東京国税局で開催された
東京島酒GIの伝達式は3月29日に東京国税局で開催された
「東京島酒GI」のルールは次のとおりです。

①地域範囲 
・伊豆諸島(東京都大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅島村、御蔵島村、八丈島村、青ヶ島村)

②種類  
・蒸留酒

③原材料 
・芋類に国内で収穫されたさつまいものみを用いたものであること
・麹に麦のみを用いたものであること
・地域の島内で採水した水のみを用いたものであること

④製法
・地域内で発酵、蒸留及び貯蔵が行われていること
・原酒及び製品の貯蔵は常温で行うこと
・麦又は芋類、麹及び水を原料として発酵させたもろみを、 単式蒸留機をもって蒸留したもの及びそれらを混和したものであること
・伊豆諸島の島内で容器詰めすること

ちょっとわかりにくいですが、要は「麹は麦麹だけ」で、「国産のさつまいも・麦」と「伊豆諸島内の水」を使って、最初から最後まで地域内で製造した焼酎ということです。

ただし、伊豆諸島でつくられたものでも、規定以外の原料を使うなどした焼酎は、「東京島酒」を名乗れないことに注意してください。現在、伊豆諸島には焼酎メーカーが9社ありますが、さまざまな焼酎がつくられており、「東京島酒」に該当しないものもあります。

なぜ、今、東京島酒GIなの?

ところで伊豆諸島の焼酎蔵は、なぜ、「東京島酒」のGI指定に乗り出したのでしょうか? 伝達式では、将来を見据えて島外・海外に出ていかなければ発展はないという造り手の危機感が滲んでいました。

東京島酒は、2000年頃までは大部分が島内で消費されていましたが、島外から他の酒類が流入したり、島内の人口が減少したりして製造量は減少してきました。今後も人口の大幅な増加は見込めず、また、原料や資材の多くを島外から調達し、製品は船か飛行機で出荷するしかないため、コスト競争力はありません。

伊豆諸島の文化・歴史的な背景や自然環境の良さを生かし、魅力的なブランドに育てて付加価値の高い焼酎を目指すのは、有力な選択肢です。
伊豆大島の「裏砂漠
伊豆大島の三原山に広がる「裏砂漠」。三原山の東側一帯は地表を黒い火山岩が覆い、日本ではほとんど見られない景色が広がる
常春の八丈島
常春の八丈島。流刑地として独特の文化が形成された。人情が厚く、島を離れる時、皆、涙を流したことから情け島とも言われる

東京島酒中心に14種類を飲み比べ

2月25日、「東京島酒」がGI指定される直前にLIFULL Table(東京)で「東京 ISLANDS SPRITS試飲体験交流会2024」が開催。伊豆諸島の焼酎メーカーがブースを構え、伊豆諸島らしいおつまみとともに飲み比べをすることができました。
東京ISLANDS SPRITS試飲体験交流会2024
オープニングは乾杯から。来場できない焼酎蔵の商品は協力酒販店ブースで提供
オープニングは乾杯から。来場できない焼酎蔵の商品は協力酒販店ブースで提供

東京島酒をプラカップに満たして全員で乾杯した後は、来場した焼酎蔵が順番に挨拶しました。
トップバッターは農業法人利島ふぁーむ
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伊豆諸島の肴と楽しむ

ひととおり蔵の紹介が終わっていよいよ試飲タイムです。

おつまみは、クサヤのほぐし身、八丈島のうみかぜ椎茸の焼き浸し、島唐辛子を効かせたスモークベーコン、明日葉バターなど伊豆諸島の特産品や郷土料理をアレンジしたものです。

ブースには蔵元が立ち、ソーダ割り、お湯割り、ストレートなど好みの飲み方で提供してくれました。寒い日だったこともあってお湯割りがうれしかったです。
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この秋には都内で「東京島酒」の試飲イベントを開催予定だそうです。お出かけになってみてはいかがでしょうか。

※記事の情報は2024年4月4日時点のものです。

  

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