今、覚えておきたいフランスワイン「プレモン」とは?
ボルドー、ブルゴーニュ等数多あるフランスのワイン銘醸地のなかで、土着のブドウ品種の多彩さで注目されるのがフレンチ・ピレネー山麓です。「プレモン」はこの地域のワイン生産者による協同組合。2025年4月に東京で行われたセミナーの模様をお伝えします。

フレンチ・ピレネー山麓はブドウ品種の宝庫
このほか隣接するマディラン地区とパシュラン・デュ・ヴィック・ビル地区もAOCに指定され、さらに東側のガスコーニュ地区はIGP(地理的表示保護)コート・デ・ガスコーニュに指定されています。IGPはAOCよりも指定条件が緩やかですが、手頃な価格でおいしいワインを楽しめるとフランスでは人気があるようです。
ちょっと話が込み入りましたが、フランスのピレネーの麓の地域においしいワインがあることを覚えてください。
そして、この地区のもう一つの特徴は、早くからこの地区に古くから存在するぶどう品種の保護と育成に取り組んできたことです。2002年にフランスで初めて私設ブドウ品種保護施設を開設したほか、樹齢200年を超える歴史的記念物に指定されたブドウの木を守っています。この木は19世紀後半に欧州のブドウに壊滅的な打撃を与えた害虫(フィロキセラ)の被害を受けずに生き残った、とても貴重な木です。



マシンガン・テイスティングで白ワインを味わう
彼のリードですぐにテイスティングが始まりました。テーブルにはグラスが4つ並んでいたので、赤と白を2点ずつくらい試飲するのだと思っていましたが、嬉しい勘違い。なんとさまざまな地区の希少な品種のワインが17点提供され、グザビエ氏はひとつひとつにコメントしていきます。約2時間のセミナーは彼のマシンガントークとともに駆け抜けるような勢いでした。



フードとの組み合わせを試すためにブリの漬けが提供され、「小さく切って食べてみて、飲み込まないうちに白ワインを口に含んでください」とグザビエ氏がリードしました。欧米ではフードを飲み込んだ後にワインを飲み、含み飲みはしないと思っていましたが、最近は変わってきているのかもしれません。
マグロは海のビーフ、赤ワインを合わせる
ペアリングはマグロのたたきです。軽くあぶったマグロの刺身の見た目はビーフステーキ。グザビエ氏は「マグロは海のビーフです。赤ワインとよく合います」と。生臭みが立つのではないかと警戒しながら食べて見ましたが、臭みはほとんど感じることなくおいしいマリアージュを体験できました。硫黄系の化合物や鉄分が魚介類の臭みを強めますが、そうならないよう丁寧にコントロールしているのでしょう。



極甘白ワインにフォアグラ握り
その後、デザートワインが用意されました。毎年12月31日に収穫されたブドウで造る極甘のワインの生産量は限定3000本。たいへん希少なワインまで振舞われ、フォアグラの握りずしと合わせます。




プレモンの顔「ル・フェット」、日本向けのアッサンブラージュ決定
プレモンの醸造技術者が仕上げた複数のサンプルを、グザビエ氏やオリヴィエ氏らが日本の専門家の意見を聴きながら一緒にテイスティングして決めたワインは、どんな味わいに仕上がるのか、今から楽しみです。



※記事の情報は2025年5月22日時点のものです。
『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

- 1現在のページ