秋の味覚「きのこ」のカロリー、栄養は? ダイエット中のおつまみにおすすめできる?

秋においしい「きのこ」。低カロリーでダイエット中でも安心して食べられるイメージをお持ちの方もいるかと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか? きのこのカロリーや栄養、おすすめのおつまみなどについて、管理栄養士の森由香子先生が解説します。

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食欲の秋が到来です。旬を迎える食材はたくさんありますが、その中のひとつに自然の野山で収穫できる「きのこ」があります。毎年、きのこ狩りを楽しまれる方もいらっしゃるでしょう。

日本では、まつたけ、フランスでは、黒トリュフ、イタリアでは、白トリュフやポルチーニ茸が珍重されていますね。

きのこのカロリーは?

えのき茸
きのこにはカロリーがほとんどないので、いくら食べても大丈夫!と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、改める必要があるかもしれません。

2020年12月、文部科学省より5年ぶりに発表された『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』のデータを見てみましょう。

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きのこに含まれる栄養素

食品名 重量(g) エネルギー(kcal) 食物繊維総量(g) ビタミンA(μg) ビタミンD(μg) α-トコフェロール(mg) ビタミンB1(mg) ビタミンB2(mg) ビタミンB12(μg) ビタミンC(mg)
えのきだけ 生 100 34 3.9 (0) 0.9 0.0 0.24 0.17 (0.0) 0
しいたけ 生しいたけ 原木栽培 生 100 34 5.5 (0) 0.4 (0.0) 0.13 0.22 (0.0) 0
なめこ 株採り 生 100 21 3.4 (0) 0.0 0.0 0.07 0.12 Tr 0
(しめじ類)ぶなしめじ 生 100 26 3.0 (0) 0.5 0.0 0.15 0.17 0.1 0
まいたけ 生 100 22 3.5 (0) 4.9 (0.0) 0.09 0.19 (0.0) 0
マッシュルーム 生 100 15 2.0 (0) 0.3 0.0 0.06 0.29 (0.0) 0
まつたけ 生 100 32 4.7 (0) 0.6 (0.0) 0.10 0.10 (0.0) 0
(ひらたけ類)エリンギ 生 100 31 3.4 (0) 1.2 0.0 0.11 0.22 (0.0) 0
※Trは最小記載量の1/10以上かつ5/10未満の微量、(0)は文献等により含まれていないと推計される値を表し、栄養計算上はすべて0で計算しています。
※(数値)は推測値を表し、栄養計算上はカッコを外した値で計算しています。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
実は、分析方法が変更されたことにより、前回のデータよりもカロリーが増えているのです。

全体的に低カロリーではありますが、それでもカロリーがないわけではありませんので、食べれば食べるほど摂取カロリーが増えていくことは頭の片隅に入れておきましょう。

きのこは、ダイエット中のおつまみにおすすめできる?

ときどき、「ダイエット中におつまみにするならどのきのこがおすすめですか?」と質問されることがあります。きのこの種類というよりも、どうやって食べるかなど調理法に気を付けることが先決でしょう。

カロリーが少ないからときのこを過信し、オリーブオイルは体にいいからとアヒージョやマリネなどにして、油をたっぷり使う料理でいただくことは、ダイエット中はNGとなるでしょう。

きのこに含まれる栄養は?

きのこいろいろ
次に、きのこの栄養についてです。

きのこに含まれる代表的な栄養素といえば、食物繊維が挙げられますね。食物繊維には腸内環境を改善してお腹の調子を整えたり、肥満や便秘を予防したりする働きがあります。

また、骨や筋肉の健康維持に欠かせない、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含有されています。ビタミンDが多い食材として、よく「しいたけ」が挙げられることが多いのですが、実は旬のきのこの中でダントツで多いのは「まいたけ」です。上記の表からもわかるように、しいたけは100g(9個ほど)食べてようやく0.4μgのビタミンDを摂ることができますが、それに対してまいたけは、同じ100gで4.9μgものビタミンDを摂ることができます。

さらにきのこには、エネルギー代謝に関わるビタミンB1、ビタミンB2も含まれています。

反対に、きのこ類にまったく含まれていないのはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。これらの栄養素を補うために、野菜や肉、魚、卵などを組み合わせていただくとよいでしょう。

きのこの健康効果は?

舞茸
きのこには、さまざまな健康効果が示唆されています。

たとえば、きのこの細胞壁にある食物繊維の一種であるβ-グルカンは、がん抑制に効果があると言われています。特にまいたけには、β-グルカンのなかでも化学構造が異なるMDフラクションという特有の成分があり、腫瘍の増殖を抑制する働きが注目され免疫療法にも利用されています。

また、しめじには肝臓の代謝を高めるといわれるオルニチン、えのきだけには副交感神経の働きにかかわるGABAやがん抑制効果があるとされるEA6、しいたけにはコレステロール値を下げる可能性があるというエリタデニンが含まれています。

さらに、まつたけに含まれる独特の香り成分のマツタケオールや桂皮酸メチルは食欲を増進させたり、消化酵素の分泌を活発にさせたりする効果があり、トリュフには糖質の分解を助ける消化酵素のアミラーゼが含まれています。

きのこを使ったおすすめのおつまみは?

きのこを使ったおつまみを食べるなら、ホイル焼きやソテー、鍋など、色々な種類のきのこをミックスさせたものがおすすめです。鍋料理の締めにスープごと食べるのもいいですね。きのこによって含まれている栄養素が違うので、さまざまなきのこを少量ずつ使って、バランスよくいただきましょう。

実りの秋、食物繊維たっぷりなきのこを食べて、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。

※記事の情報は2022年10月10日時点のものです。
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