台湾発!天使ががぶ飲みするウイスキーを飲んでみた。

ウイスキーファンをうならせる台湾のあの蒸留所からお手ごろ価格の新商品が登場!

ライター:青田俊一青田俊一
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名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回は本日、9月3日に新発売となった台湾のウイスキーをご紹介します。

常識を覆す新進気鋭の蒸留所

ウイスキーファンなら誰もが一度は耳にしたことがあるだろう台湾のウイスキー「カバラン」。最も安い「カバラン コンサートマスター」でも希望小売9,000円(税別)となかなかどうしてなお値段のプレミアムウイスキーです。
カバラン クラシックシングルモルト
2008年に発売されたカバラン初のシングルモルトウイスキー「クラシック」
カバランの蒸留所は台湾の宜蘭県(ぎらんけん)にあり、初の商品であるクラシックの発売が2008年とまだ新しいブランドです。ちなみに“カバラン”という名前はこの地方の先住民に由来するそうです。ウイスキーの産地と聞いてまず連想されるのがスコッチというように、“ウイスキーは寒い地方で造られるもの”というのが一般的な認識ではないでしょうか。それに対しカバラン蒸留所のある台湾は亜熱帯、そんなまさかの気候の下で蒸留を開始したカバランは2010年にイギリスで開催のバーンズナイトにおけるウイスキーブラインドテイスティング大会での優勝を筆頭に、2015年、2016年の2年連続でワールドウイスキーアワード(WWA)でワールドベストウイスキー選出など、これまでに獲得したメダルは250以上と、亜熱帯では良質なウイスキーはできないという世界の常識を覆し、ファーストリリースからたったの10年でそのブランド地位を確固たるものにしています。

カバランが世界を魅了する理由

なぜ亜熱帯で造られるカバランが世界的に高評価を獲得することができたのでしょうか。そのヒントはカバラン蒸留所のある宜蘭県の気候にあるようです。カバラン蒸留所の気候は世界一のウイスキー生産地であるスコットランドのスペイサイドと比べると、平均して気温が15度程高いが季節による寒暖差については類似しているというのが特徴です。暑い地域でのウイスキーの熟成では風味を失いやすいというデメリットが発生しますが、この寒暖差があることで風味をしっかりと原液に残すことができます。

またこの亜熱帯の暑さにより熟成スピードが早くなるため、平均気温が宜蘭県より15度低いスコットランドと比べ熟成が3倍くらい早く進みます。たった10年の間で世界的な評価を獲得するまでに至ったのは、スコットランドの3分の1という熟成期間の短さもひとつの要因ではないでしょうか。このダイナミックな熟成がカバランの魅力のひとつなのですが、しかしながらここには弱点も潜んでいます。早い熟成による弊害は天使の分け前が増えるということです。スコットランドにおける年間平均蒸発分(天使の分け前)はだいたい2.5%程度と言われていますが、カバランでは10%~15%が蒸発してしまうそうです。天使が飲んだ分だけ美味しいとされるウイスキーですが、さすがにこんなにがぶ飲みされると長期間熟成では樽が空になってしまいますので、長期間熟成はできません。依然としてヴィンテージ至上主義の風習が残る中、長期熟成できないカバランはどうしても見劣りしてしまうことになりますが、それでも国際的に高く評価されていることはウイスキー界の革命と言っても言い過ぎではないかもしれません。ちなみにこの天使の分け前によるロス分を価格に反映せざるを得ないためプレミアムなお値段になってしまうそうです。がぶ飲みしてしまった天使をちょっと恨めしく思ったりもします。

と、カバランのすごさが分かったところでお楽しみの試飲タイムにいきたいと思います。

カバラン クラシックを飲んでみた。

カバラン クラシック
お楽しみの試飲タイムということで、早速新商品の「ディスティラリーセレクト」と思ったのですが、まずはカバランを知るということで定番品の「クラシック」から試飲していきます。

カバラン クラシックはカバランで最初に発売したシングルモルトウイスキーで、バーボン樽やシェリー樽など6種類の樽のウイスキーを絶妙な比率で調合した、いわばカバランの入門編的ウイスキーです。入門編とはいえ希望小売で11,000円(税別)とカジュアルに楽しむには少々ハードルはお高め。気になるその味わいはいかに。
カバラン クラシック
まずはストレートで。クラシックは透明瓶なのでボトルからも分かるように色合いは綺麗な琥珀色。注いだ瞬間にグラスからトロピカルな甘い香りが広がります。個人的にはかなり好みの香りです。口に含むとまろやかな口当たりで、アルコールの尖った感じもなく、フルーティーな甘みを感じます。とてもリッチな味わいで、余韻も長く華やかな香りが通り抜けます。ロックにすると香りはマイルドになってしまいますが、口当たりがさらに優しく、フルーティーな印象が際立ちます。ウイスキーはちょっと苦手でという方にぜひ飲んでいただきたい飲みやすさ、おそらくウイスキーに対する見方が変わるかと。さすが天使ががぶ飲みしてしまうウイスキーです。

カバラン ディスティラリーセレクトを飲んでみた。

カバラン ディスティラリーセレクト
それではいよいよ新商品のディスティラリーセレクトを試飲してみましょう。

ディスティラリーセレクトはカバランをよりカジュアルに楽しめるようにと、チーフブレンダーのイアン・チャン氏により誕生したシングルモルトウイスキー。こちらは希望小売4,500円(税別)とカジュアルなお値段も嬉しいところ。 気になるその味わいはいかに。
カバラン ディスティラリーセレクト
こちらもまずはストレートで。ボトルが色付きなので外観からは色合いは分かりませんが、注ぐとこちらも綺麗な琥珀色。クラシックと比べると少しだけ淡い印象です。グラスを寄せると甘いバニラの香りが印象的、バーボンのような力強い香りではなく上品で落ち着いた香りが広がります。口に含むと優しい口当たりで、クリーミーで上品な甘みを感じます。ロックにすると口当たりはよりにマイルドに。クラシックと比べリッチな味わいより、飲みやすくカジュアルな印象が強いので、ここはハイボールも試してみたいと思います。

ハイボールにも

カバラン ディスティラリーセレクト
ハイボールにすると味が薄まってしまうかと懸念したのですが、伸び伸びになることなくしっかりと特色を主張しています。普段飲んでいるハイボールとは別物の、ワンランク上の上質なハイボールに仕上がりました。ハイボールで楽しむのもありだと思います。

全体的な感想としてはクラシックと比べると軽やかな印象で非常に飲みやすく仕上がっています。とはいえ、カバラン特有のトロピカルな風味はしっかり顕在。カジュアルに楽しめるカバランの新しい入門編と言えます。これまで家飲みするには少々ハードルが高かったカバランですが、これならカジュアルに楽しむことができそうです。天使ががぶ飲みする美味しさをぜひ家飲みでお楽しみください。

※記事の情報は2018年9月3日時点のものです。
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