ガスコンロでOK!「おうち燻製」に挑戦してみました!

家にある道具や100円ショップで買える調理器具を使って、自宅キッチンでできる燻製おつまみに挑戦しました。

ライター:nonnon
メインビジュアル:ガスコンロでOK!「おうち燻製」に挑戦してみました!
お酒を飲む人は「好き」という人が多い燻製。そのスモーキーな香りは、ビールやウイスキーはもちろん、ワインにもよく合う最高のおつまみ。手間のかかりそうなイメージがありますが、素材を選べば自宅でおいしい燻製を燗単に作ることができるのです。今回は初心者でも楽しめる「おうち燻製」をご紹介します。

家で燻製できないかな…と調べていたときに見つけたのが『THE男前 燻製レシビ77』という本。初級から上級まで段階別になっていてわかりやすく、どれもおいしそう。ということで、おうち燻製を著者の岡野永佑さんに教えていただくことに。岡野さんがオーナーをつとめる水道橋のアウトドアCafe & Bar「BASE CAMP」でお話を聞きつつ、手順を教えていただきました。
ボウルと網
大小のステンレスボウルと焼き網だけで燻製ができるんです

おうち燻製に必要なものは?

おうち燻製の道具は何を使うがいいんでしょうか? フライパンでもできますか?

岡野:フライパンを使うなら中華鍋のような鉄製のものがいいと思います。ただし、テフロン加工のフライパンは熱で素材が溶けてしまうこともあってキケンです。燻製はいわゆる「空焚き」するものなので、空焚きに対応できる素材が向いています。本格的な中華鍋を持っていない方も多いと思うので、その場合は100円均一ショップの土鍋や、大きさの違うステンレス製のボウルを2個でもできますよ。燻製のワークショップをやるときにはこのステンレス製のボウルでやっています。

調理用のボウルでできるとは! 家にちょうどよさそうなのがあるので、今回はこちらの方法で。食材はどんなものがおすすめですか?

岡野:初心者ならそのまま食べてもおいしい加工食品を使うのがいいと思います。燻すことで食材を加熱調理するというよりも、煙の香りをまとわせるイメージ。燻製香によって、いつもの食材も違った味わいになります。 加工品の中で特に相性がいいのは、香りがつきやすいかまぼこやちくわなどの練り物。あとは、チーズや市販のベーコンも燻製するとさらに本格的になりますよ。意外なところは調味料を燻製するというのも面白いと思います。燻製したマヨネーズやオリーブオイルをパンや野菜につけて食べると、本当においしいですよ。

思いのほかカンタンな燻製づくり

ボウルにチップ
アルミホイルかぶせる
それではさっそく燻製づくりを…。用意するのは大きさの違うステンレスのボウル2個と 焼き網、アルミホイル、桜のチップ、そして食材。

岡野  それでは作業にかかりましょう。用意したボウル2つは大きい方を下に小さい方を上にして重ねます。間に網を置いてその上に食材を置いて燻すわけです。

大きさが違うのは密閉度を上げるため。大きさが同じだと、重ねたときにズレて上のボウルが落ちる可能性が高いので、上のボウルは少し小さいものがいいと思います。大きい方のボウルにチップをひとつかみ入れてからアルミホイルをふわっと乗せます。

アルミホイルは、食材から出る水分や脂がチップを濡らさないために敷く中皿。煙が脇から出るようにボウルとアルミホイルの間に隙間を開けてください。注意してほしいのはチップの量。容器がこの大きさならチップはひとつかみ程度で十分。チップの量は多めのほうがいいと誤解している人もいますが、多ければいいというわけではないんですよ。

網の上に食材をのせて準備OK。この大きさ(直径20cm程度)でもかまぼことブロックベーコンを同時に乗せることができました。

岡野 軽く食材の水分を拭きとってから網の上にのせます。水分が残っているとえぐみが出やすくなるので、しっかり拭きとってください。 火加減は最初は強火で。煙が出てきたら小さいほうのボウルをかぶせて、火を弱めます。隙間から煙が少し出ている程度でいいので弱火で大丈夫。目的は煙をしっかりボウルの中にためること。かと言って煙が強すぎるとえぐみが出てしまうことがあるので注意が必要です。

今回は手順をわかりやすくするために、アウトドア用のバーナーを使いましたが もちろん家庭のガスコンロやカセットコンロでもOKです。そして待つこと5分…ボウルを開けてみると…おおっ!かまぼこの表面が茶色になって立派な燻製になっています!

岡野:今回のような加工品であれば5分程度で十分です。燻製をする容器の大きさにもよるので、調整しながらやってみてください。
かまぼことベーコン
煙が出てきたらボウルをかぶせます
燻製した後
5分ほどで見事に燻製に!
煙の出方
煙はちょろちょろ出ている程度で

つづいて、マヨネーズとチーズ

岡野 マヨネーズをアルミホイルのカップに入れて燻製するだけです。マヨネーズは燻製香がつきやすいのでおすすめです。 チーズは、今回は手軽なプロセスチーズを使いましたが、カマンベールなどでもおいしくなりますよ

こちらも5分程度で完成…加熱されているので表面が少し固まって黄色っぽくなっていますが、全体をよく混ぜれば見ためはごく普通のマヨネーズ。しかし味見をすると、 まさに燻製そのもの。燻製風味のマヨネーズは初めての体験でしたがハマりそうです。 そして、チーズはテッパンのおいしさ。こんなに簡単にできるならスモークチーズを買う必要ないかも…と思ってしまいました。 かまぼことベーコン、チーズ…これだけあればいくらでもお酒が飲めそうです。
マヨネーズとチーズ
燻製した後
燻製セット
30分未満で4品の燻製が完成しました

燻製で気をつけたいことは?

岡野 まずは燻製のおいしさや楽しさを知ってほしいので、無理のないところから始めてみてください。次のステップとしては肉や魚など生の食材の燻製。燻製だけで中まで火を通すは難しいので「燻製してから焼く」「焼いてから燻製にする」など、組み合わせて調理してください。

使ったボウルはこんな感じでタールが付いていますが、洗えばかなりきれいになります。 特にふたとして使うほうはタールを落としておくのがいいそうです。タールがついたままだと次に使うときにタールが溶け出して、食材についてしまうこともあるとか。 燻製マスターの岡野さんの手順をみていると、とても簡単そうなのですが、果たして自分できるのか? 食材を選んでおうち燻製にトライしてみます。
タールのついた網
タールは使ったあとにすぐに洗うとかなりきれいになります

おうち燻製に挑戦! めざすは燻製おつまみセット

加工品がおすすめというアドバイスを参考に初燻製に選んだ食材は、ちくわにチーズをつめた「チーちく」、外せない「ベーコン」、半調理してあるのでいけそうかなという理由で「ししゃも」「うずらの卵」。「ポテトチップス」は岡野さんが「食べるとみんな驚く」と言っていたのでやってみたいと思いました。スモークチップはネットで650gを900円ほどで購入。正直、ちょっと量が多かった…。買い足すのは面倒かなと多めを選びましたが、ちょっと試したいなら100g入りでも十分だと思います。
材料1
チーちく、ししゃも、ブロックベーコン
材料2
めんつゆにつけたうずらの卵、こしょう味のポテトチップス
桜チップ
ネットでで購入した桜チップ

まずはチーちくとブロックベーコン

家にあったステンレス製のボウルがちょうどいい大きさだったのでそれを使用しました。網は焼き網でちょうどいい大きさが見当たらなかったので、100均ショップで見つけた、製菓用の網で代用できました。換気扇をまわしながら、キッチンのコンロでやってみます!

まずは香りがつきやすい練り物と、手ごろな価格でもごちそうになるベーコンから。教えていただいたとおり、最初は強火にして、煙が出たら蓋をして弱火に。火が弱すぎたのか5分ではいまひとつだったで、追加で3分ほど加熱し8分ほど置いたら、ちゃんと燻製になってました。ちくわにつめたチーズが少し溶け出して、いい感じです。
自宅のボウル
ちくわとベーコン

続いては、うずらの卵とポテトチップス

たまごは燻製と相性のいい素材ですが、今回は初心者でも成功しやすい「うずらの卵」で。表面積が狭いので香りがつきやすいそうです。薄めためんつゆに2時間ほどつけておきます。燻製時間は8分ほどでこの色に。燻製香をもっとつけたいときには時間を長くしてもよさそう。

そして、ポテトチップス。網の目から落ちてしまうので、アルミホイルを敷いてその上にポテトチップスを並べます。燻製香がつきやすいようにアルミホイルに少し穴をあけてみました。こちらは少し長めに10分ほど。 燻製香とこしょうの風味で絶品のおつまみに! 岡野さんが言っていた「食べると驚く」というのがよくわかりました。
うずら
網の上のアルミホイルを敷いてその上に乗せます
ポテトチップス
アルミホイルには何箇所か穴を開けました

ししゃもは焼いてから燻製に

最初に生のままやってみたら、10分火にかけても半生状態だったので、教えてもらった「焼いてから燻製する」のスタイルに変更。グリルで先に軽く焼いてから燻製に。この方法なら5分ほどで燻製香がつきました。味は間違いない、ザ・酒のつまみ。焼いて水分もなくなっているので、燻製香がつきやすくなったようです。日持ちもしそうなので、次回は多めに作って、おつまみストックにするのもいいかも。
ししゃも
先に軽く焼いてから燻製にします
ししゃも2
燻製香のおかげでしょうゆなしで十分なおいしさ

やっぱりおいしかったマヨネーズ

岡野さんのお店で作っていただいて感動したので自宅でもやってみました。 アルミホイルのカップに入れて8分ほど。できたては卵の成分が固まっているので、全体を混ぜて、少し時間を置いて食べました。 温野菜につけて食べると、これが格別なおいしさ! 多めに作ったので、ラップをして2日ほどおいてもしっかり燻製香がありました。大量に作って瓶詰めしたら常備調味料になってよさそうです。
マヨネーズ
小分けにしたほうが燻製香がつきやすいそうです
温野菜と
温野菜につけて。手軽なおつまみに最適

おうち燻製の出来栄えは?

トライしてみた感想は…「自宅にある道具でこんなに手軽にできるならまたやりたい!」と思いました。ポイントは「火加減」。強火だとパチパチ音がして不安になるので、やや弱火にしてやったため時間がかかりましたが。もう少し強火で大丈夫そうです。そして、キッチンのコンロでは火加減が自動的に調整されてしまい、目を離すと弱火になったり強火になったりするので、つきっきりで見ているのが大切だと思いました。カセットコンロならその心配がないので、火加減を調整するのが面倒という人は卓上のカセットコンロのほうが手軽かもしれません。 心配していた匂いですが、換気扇をつけながらやれば問題ないかなと思います。

個人的にはマヨネーズがヒットだったので、オリーブオイルやしょうゆにも挑戦してみたいと思います。ポテトチップスのグレードアップがすごかったので、おせんべいなどにもよさそう。大量に買ったチップもあるので、しばらくおうち燻製にはまりそうです!

この方にお聞きしました

岡野永佑(おかの えいすけ)さん

東京・水道橋のアウトドアカフェ&バー「BASE CAMP」のオーナー。アウトドアへの造詣が深く、焚き火料理や燻製などの レシピ本なども手がけている。アウトドア雑誌やWebメディアではA-sukeの名義で活躍中。

岡野さん
※記事の情報は2019年2月15日時点のものです。
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