スペイン産スパークリングワイン「カヴァ」の魅力とは?

人気のスペイン産スパークリングワイン「カヴァ」を飲んだことはありますか? コスパの高さから家飲みワインの定番となりつつありますが、そもそもどんなワインなのか?飲みやすく美味しいカヴァはどれなのか?試飲レビューもまじえカヴァの魅力をお伝えします。

ライター:青田俊一青田俊一
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いまや家飲みスパークリングワインの定番となりつつある「カヴァ」ですが、どんなワインなのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

今回はこれからのパーティーシーズンを前に、今さら聞けない「カヴァ」の基礎知識についておさらいしてみようと思います。

スペインのワイン「カヴァ」とは?

スペインのワイン「カヴァ」
そもそも「カヴァ」とは、スペインの特定の地域(主にカタルーニャ州)で指定の製法で生産されるスパークリングワインのことを指します。

フランスで生産されるスパークリングワインを何でもかんでもシャンパーニュと呼べないのと同様に、スペインで生産されるスパークリングワインがすべてカヴァというわけではありません。

ちなみにスペインではスパークリングワイン全般は「エスプモーソ」と呼ばれています。

カヴァの歴史

カヴァの起源は19世紀末、カタルーニャ地方の醸造家がシャンパーニュ地方にて製法を学んだのち、スペイン固有のぶどう品種を使ってスパークリングワインをつくり始めたところからになります。

地下の暗いセラーで長時間熟成させるため、“カヴァ=洞窟”という名前がつけられました。

カヴァが大きく発展するきっかけになったのが、19世紀後半にフランスで大量発生したフィロキセラ(害虫)でした。フランスで大量発生したフィロキセラは徐々に南下しスペインでも壊滅的な被害が発生しました。カタルーニャ地方でも赤ワイン用の品種が壊滅的な被害を受けました。そこで、カタルーニャ地方の生産者はカヴァ用の白ブドウの生産にシフトします。その結果、カヴァは大きく発展を遂げることになりました。

それから時は流れ、1972年にスパークリングワイン統制委員会が設立され、この地のスパークリングワイン産業を法的に保護する制度が整えられます。これによって特定の地域で指定の製法で生産されたものだけが「カヴァ」と規定されました。

カヴァの製法

白ワインの製造工程
1972年に制度が制定される前は、カヴァの製造方法に決まりごとはありませんでしたが、制度の制定によってトラディショナル方式での製造が規定されました。

トラディショナル方式とは、スティルワインに糖分と酵母を加えて瓶に詰め、その瓶の中で2次発酵を起こさせる、いわゆる瓶内2次発酵と呼ばれる製法です。発酵後も熟成、澱引きなどが必要で、手間もコストもかかる分、高級品として扱われます。

シャンパーニュがこの製法でつくられることからシャンパン方式とも呼ばれています。

カヴァとシャンパンの違い

先述のとおりカヴァはシャンパーニュと同じ製法でつくられますが、もちろん味わいは異なってきます。その大きな違いの要因はブドウ品種とそのテロワールです。

シャンパーニュで使用できる品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種類に対し、カヴァで使用できる品種はスペインの固有品種7種にシャルドネ、ピノ・ノワールを加えた計9種類。

スペインの固有品種は酸味が穏やかで果実味が豊かなので、シャンパーニュと比べると飲みやすいものが多いのが特徴です。

また冷涼なシャンパーニュ地方に比べ、カタルーニャの気候は温暖でブドウの成熟度が高くなるので、瓶内2次発酵の際に添加する糖分の量を減らすことができます。全く補糖を行わない“ブリュット・ナチューレ”が多いのも特徴のひとつです。

カヴァのブドウ品種

ブドウ品種
カヴァで使用できるブドウ品種は先述したとおり9種。

白ブドウが5種(チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ、シャルドネ、スビラ・パレン)、黒ブドウが4種(ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワール)です。

中でも白ブドウのチャレッロ、マカベオ、パレリャーダの3種類が主要な品種として使われていますが、2008年にピノ・ノワール100%からブラン・ド・ノワールのカヴァの製造が認められるなど、シャンパーニュに使われるシャルドネ、ピノ・ノワールのような外来品種も注目されてきています。

おすすめのカヴァを試飲レビューでご紹介

カヴァは1,000円ださなくても品質の高いものに出会えるというのが魅力ですが、今回はもう少しだけ背伸びして1,500円程度のカヴァをおすすめしたいと思います。

今回おすすめするのは、ヴァルフォルモサというワイナリーが手がけるMVSA(ムッサと呼ぶそうです)というシリーズ。

ヴァルフォルモサは、1865年創業の歴史ある家族経営のワイナリー。80ヶ国以上に輸出する世界的にも人気のワイナリーです。

ムッサのシリーズはいくつかバリエーションがありますが、パーティーシーズン前ということで、お酒を普段嗜まない方にも楽しんでいただける、あえてのセミ・セコ(やや甘口の意)を選びました。
ヴァルフォルモッサ カヴァ・ムッサ・セミ・セコ
このセミ・セコに使われる品種は、カヴァを象徴する固有品種のマカベオ、チャレッロ、バレリャーダ。

固有品種ならではの果実味とアロマに期待しつつ、お楽しみの試飲タイムです。
ヴァルフォルモッサ カヴァ・ムッサ・セミ・セコ
色合いは淡いゴールド。細かな泡が長く続く繊細な泡立ち。りんごのような甘い香りに、ほんのり優しいロースト香があります。

味わいはほのかな酸味に果実のしっかりとした旨み。セミ・セコなのでもっと甘いかと思いましたが、上品な甘さでバランスのよい仕上がりです。

とても飲みやすい口当たりなので、普段お酒を嗜まない方にもおすすめ。乾杯にはもちろん、ピザのようなパーティーメニューにも合わせやすいと思います。
 
ヴァルフォルモッサ カヴァ・ムッサ
左からブリュット、ブリュット・ナチューレ、ロゼ
ムッサのシリーズは他に定番のブリュット、補糖しない製法のブリュット・ナチューレ、ガルナッチャとモナストレルを使ったロゼとバリエーション豊富です。いずれもコンテストで金賞を受賞したことのある折り紙つきのカヴァです。

さすがに千円札1枚では買えませんが、どれもお値段以上のクオリティ。1,000円未満のお手軽カヴァもいいですが、これからのパーティーシーズンにちょっといいカヴァはいかがでしょうか。
 

ヴァルフォルモッサ カヴァ・ムッサ・セミ・セコ【商品概要】

  • 産地:スペイン
  • 原材料:マカベオ、チャレッロ、バレリャーダ
  • アルコール度数:11.5%
  • 容器・容量:750ml瓶
  • 参考小売価格:1,480円(税抜)
  • 輸入元:マルカイコーポレーション

※記事の情報は2019年12月2日時点のものです。
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