本格焼酎&泡盛のカクテルに注目!「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティッション」が開催

さる2月15日に本格焼酎と泡盛を使ったカクテルコンテスト「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティッション」が東京で開催されました。昨年に続いて2回目の開催です。今回はなぜ今、カクテルコンテストなのかを解説します。

メインビジュアル:本格焼酎&泡盛のカクテルに注目!「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティッション」が開催

優勝カクテルは麦焼酎を使った「白月」

「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティッション」は、清酒と本格焼酎・泡盛のメーカーでつくる日本酒造組合中央会が日本ホテルバーメンズ協会の協力を得て開催したものです。全国のホテルバーで活躍するバーテンダーたちが、ベースに焼酎を使ったカクテルを創作し、その味わい、ネーミング、外観、そしてカクテルづくりの力量を競います。

今回優勝したのは「白月(ハクゲツ)~光り輝く雪の大地~」。香ばしい甘い香りの麦焼酎『兼八』とクリームを合わせた、甘く香るショートカクテルです。
グランプリを受賞した「白月」
グランプリを受賞した「白月」
創作したのは坂本朋也さん。博多の大名にあるカクテルバーの名店「バー倉吉」に勤務するバーテンダーです。店のオーナーでバーテンダーの師匠にあたる倉吉浩二さんも、かつて胡麻焼酎『紅乙女』を使ったカクテルを創作して、別のコンテストで入賞したことがあるそうで、これからも本格焼酎・泡盛を使ったカクテルをサービスしていきたいと、優勝インタビューでコメントしました。

準優勝は「梵(ソヨギ)」。ベースは泡盛の『残波』を使ったカクテルで、創作したのは北海道小樽のオーセントホテル小樽のバーマン、片山将志さんです。メロンリキュールの『MIDORI』を加えた、きれいなグリーンのカクテルです。
準優勝の「梵」
準優勝の「梵」
そして3位の「Neo Artisan~世界への挑戦~」は花やハーブのような華やかな香りの芋焼酎『蔵の師魂 The Green』ベースに『本家松浦酒造ににごり柚子酒』『パッソア』などでさわやかな味わいです。
第3位の「Neo Artisan」
第3位の「Neo Artisan」
これら上位に入賞したカクテル作品は、いずれも焼酎の持ち味を生かして、別のおいしさに仕上げていました。酒そのものでおいしいのですから、カクテルに使うということは、それとは別のおいしさを出せなければカクテルにする意味がありません。

なぜ今、本格焼酎・泡盛でカクテル?

ところでなぜ今、本格焼酎・泡盛でカクテルなのでしょうか。これには東京オリンピック・パラリンピックが関係しています。

日本を訪れる外国人観光客は年々増加して、オリンピックを機にさらに増加が見込まれています。彼らはホテルに泊まり、そこのバーで飲む人もいますね。中には「何かおすすめを」とバーテンダーに尋ねる方もいるでしょう。
本格焼酎&泡盛のカクテルコンテストの入賞者が集合
本格焼酎&泡盛のカクテルコンテストの入賞者が集合
会場には「泡盛の女王」と「ミス薩摩焼酎・奄美黒糖焼酎」も
会場には「泡盛の女王」と「ミス薩摩焼酎・奄美黒糖焼酎」も
この時、バーテンダーは何をすすめるでしょうか。まずは世界的な人気を誇るジャパニーズ・ウイスキーや、今はやりのクラフトジンかもしれません。そして、さらに飲み進むと、本格焼酎・泡盛や、それをベースにしたカクテルに話が進むこともあるわけです。メーカーからすると洋酒のプロフェッショナルであるバーテンダーにも日本の伝統酒である本格焼酎・泡盛について知っておいて欲しいのですね。

「食事にワイン」の壁を超えたい本格焼酎・泡盛

日本で人気のチューハイは焼酎やスピリッツをソーダなどで割ったカジュアルなミックスドリンクです。ウイスキーハイボールもその仲間。居酒屋では焼鳥や唐揚げを食べながらみな普通にチューハイを飲んでいますが、これは日本独自のスタイルのようです。

欧米では食事の時のドリンクは圧倒的にワインです。特にレストランでコース料理をいただくときにほかの酒を飲むのは稀です。日本ではフレンチのコースでもビールやハイボールを飲む人がいますから、このあたりの感覚はわかりにくいかもしれません。ビールはカジュアルなドリンクで、パブやテラスでフィッシュ&チップスをつまみながら飲む。ウイスキーやジンは食後にゆっくり味わう。食事にはワイン。欧米での飲食にはこんな文化、癖みたいなものですけれど、があります。

本格焼酎・泡盛のメーカーはこれまで海外でも普及させようと、さまざまなプロモーションを展開してきました。展示会に出展したり、試飲会をおこなったり、ソムリエやシェフ向けのセミナーを開催したりしてきました。

けれども本格焼酎・泡盛のような蒸溜酒を、水やソーダで割って食事中に飲むスタイルはなかなか受け入れてもらえなかったのです。「食事にはワイン」の壁に跳ね返され続けてきたのです。

だから本格焼酎・泡盛のカクテル

そこで考えたのがカクテルベースとしての提案です。 本格焼酎・泡盛はアルコール度数25度が主流です。カクテルベースとして使うにはアルコール度数が低いのですが、ミックスする相手を選べば、上手にカクテルにすることはできます。たとえばソーダで割る代わりにスパークリングワインを使って、アルコール度数が下がりすぎないようにするとか、ジュースを控えめにしてリキュールでフルーツ感を出すなどです。
宮崎県が開催した本格焼酎のカクテルイベント
宮崎県が開催した本格焼酎のカクテルイベント
1月に宮崎県が東京で開催した「SHOCHU Mix Up 2020~みやざき焼酎の未来」では、同県内の焼酎メーカーとバーテンダーがタッグを組んでオリジナルカクテルを考案、来場者に提供しました。それぞれの焼酎の個性を失うことなく、いかにおいしく、新しい味わいに組み立てるかを競い合って、焼酎の愛好家に試してもらいました。
バーテンダーと焼酎メーカーのコラボレートはこれまでほとんどなかった
バーテンダーと焼酎メーカーのコラボレートはこれまでほとんどなかった
この催しでは焼酎メーカーが登壇してパネルディスカッションも開催されました。語られたのは蒸溜酒という大きな枠組みの中で、本格焼酎のオリジナリティをどのように見せていくかです。カクテルベースとしてのアプローチはその一つで、酒のプロであるバーテンダーを本格焼酎・泡盛のアンバサダーとして育成し、そこから海外に広げていこうとしています。


※記事の情報は2020年2月22日時点のものです。

   

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