【ベトナム】ビール大国の家飲みは、期待以上のおつまみ天国だった!

日本で暮らす外国人家庭のリアルな食卓を通して、世界各国のお酒と食文化に迫る「家飲みオリンピック」。今回は「333」ビールで知られるベトナムの、奥深き家飲みの様子をご紹介します。  

メインビジュアル:【ベトナム】ビール大国の家飲みは、期待以上のおつまみ天国だった!
「ベトナムのリアル家飲みを見せてください!」というお願いに快く応じてくれたのは、千葉県松戸市でベトナム食料品店を営むズンさん一家。同じ北ベトナム出身の奥様のフェンさん、3人のお子さんとお住まいです。
キッチンに立つズンさん
この日はズンさんのお友達で、北ベトナム出身のロンさん&マイさん一家、南ベトナム出身のクンさん&タマさん夫妻も遊びに来ていて、子どもたちの元気な声が響き渡っていました。

聞けば、ほぼ毎週末ズンさんのお家に集まって料理を作っては、賑やかに飲んだり食べたりするのが恒例になっているとのこと。

そんな彼らのベトナム流家飲みとは一体どんなものなんでしょうか?

ビールといえば北部の「333」、南部の「ビア・サイゴン」

「ベトナム人は基本ビールを飲みます。ハノイがある北部のほうは『333』や『ハノイビール』を飲むんですけど、南部のホーチミンでは『ビア・サイゴン』が主流。といっても、実は『333』と『ビア・サイゴン』は同じメーカーが作ってるんですけどね(笑)」と教えてくれたのは、自身もお酒を良く飲むほうだというロンさん。
北ベトナムで人気の「333」と「ハノイビール」
北ベトナムで人気の「333」と「ハノイビール」
実はベトナムの国別ビール消費量は、中国、日本に次ぐアジア第3位、しかも年々増加傾向にあります。地域によって飲むビールの銘柄は異なるものの、やはりビール大好きな国民性であることは確かなようです。

ちなみにベトナムは暑い国なので、ビールに氷を入れて飲むのが当たり前。日本ではそうした飲み方はなんとなくタブーとされていますが、ロンさんからすれば「日本人はなぜ氷を入れて飲まないのか不思議」なんだそう。うーむ、所変われば常識も変わるんですね。

1杯30円! ベトナムの超大衆生ビール「ビアホイ」とは?

もう1つ日本とベトナムのビール観でギャップを感じたのが、缶ビールと瓶ビールの立ち位置。

日本では、お祝いの席では缶ビールよりも瓶ビールを用意するのが一般的ですが、ベトナムでは瓶よりも缶のほうが高級なイメージがあって、結婚式などの宴の席では缶ビールを並べることが一種のステータスになっているらしいのです。

「缶ビールが一番高級で、次が瓶ビール、一番チープなのがビアホイ。ベトナムでは懐具合に応じて飲むビールが決まります」とベトナムの食文化に詳しいタマさん。

「ビアホイ」とはベトナムの生ビールの一種。屋台や食堂にビアホイのタンクが置かれていて、とにかく安く飲めるのが魅力。瓶ビールの1/3くらいの値段で、だいたい1杯5000ドン(30円)が相場なんだそうです。
ビアホイのタンクを運ぶ人々
ビアホイのタンクを運ぶ人々
「昔は近所の雑貨店にもビアホイのタンクが置かれていて、家からペットボトルを持参して量り売りしてもらうのがふつうでした。僕も家で飲む父親のために、よくおつかいに行かされていました。今も農村部に行けばそういう風習が残っていますよ」とロンさんも懐かしそうに話してくれました。
ビアホイの量り売り
ビアホイの量り売り
ビールの量り売りとは、なんて羨ましいシステムでしょう! 近所にあったら通いたい。

味はビールというよりもちょっとだけアルコールの入った炭酸水のような感じで、夏季は水代わりに飲む人も多いそう。なにしろ1杯30円ですから。

それにしても、ビールひとつとっても日本とこんなに違いがあるとは。ベトナムの酒文化、なかなか奥深しです。

ビールがすすむベトナムおつまみ、秘訣は調味料にあり!

ビールを愛する国民性ということは、当然ベトナムにはビールに合うおつまみも充実しています。

この日、フェンさんとマイさんが腕によりをかけて用意してくれた現地のおつまみがこちらです。
ベトナムのおつまみがズラリ
品数の多さに圧倒されていると「ベトナムの一般家庭ではふつうです。お客さんが来るときはたくさん料理を用意するんですよ」とズンさんがさらりと言います。

ベトナム料理と聞いてまず思い浮かぶ生春巻きに、実は現地では生春巻きよりもポピュラーだという揚げ春巻き「ネムザン」。
生春巻き
揚げ春巻き

パイナップルと海鮮のサラダ、一羽丸ごと焼いた鴨のロースト。
パイナップルサラダ
鴨のロースト

なかには、見た目からは味の想像がつかない料理も。

「これはお酒好きの大好物ネムチュア。豚の生肉や皮、にんにく、米粉なんかを混ぜてバナナなどの葉っぱに包んで発酵させたものです。お正月にもよく食べます」
ネムチュアはプリッ、コリッとした歯ごたえで、発酵食品らしい独特の甘酸っぱさがある。刻み唐辛子も入っているので結構スパイシー
ネムチュアはプリッ、コリッとした歯ごたえで、発酵食品らしい独特の甘酸っぱさがある。刻み唐辛子も入っているので結構スパイシー

「そしてこれはロンロンと呼ばれる豚の内臓の盛り合わせ。必ずマムトムというエビの調味料に付けて食べます」
写真奥にあるソーセージ状のものは豚の血や肉、内臓をミックスさせて作ったものらしい
写真奥にあるソーセージ状のものは豚の血や肉、内臓をミックスさせて作ったものらしい

ズンさんの解説によればベトナム料理には欠かせない調味料がいくつかあって、「マムトム」もその1つ。
マムトム
マムトムはエビを発酵させた調味料で塩辛く独特のクセがあり、ベトナム人の間でも好き嫌いが分かれるらしいのですが(ロンさんも実は苦手とのこと)、豚の内臓の盛り合わせのようにこの調味料なしでは成立しない料理があるといいます。

他にも、あらゆる料理に使うというベトナムの魚醤「ヌクマム」に、料理に辛さをプラスする「チリソース」、発酵させたイワシのタレ「ナムネム」など。
左からチリソース、マムトム、マムネム、ヌクマム
左からチリソース、マムトム、マムネム、ヌクマム
今回作ってくれたおつまみにも色々な調味料やタレが小皿で添えられていて、ベトナムのおつまみは発酵調味料や辛味調味料に支えられているんだなーと感じました。

ベトナム語で“乾杯”は、「モッ!ハイ!バー!ヨー!」

さて、乾杯の時間です。ベトナムのビール「333」も、しっかり氷入りでスタンバイ。
氷で冷やされた「333」

各自グラスが行きわたったら…。「モッ!ハイ!バー!ヨー!」。
ベトナム語で乾杯!の掛け声は、「モッ!ハイ!バー!ヨー!」
ベトナム語で乾杯!の掛け声は、「モッ!ハイ!バー!ヨー!」。「1、2、3、(お酒を)入れるぞー!」という意味で、飲む気満々な感じが良い

ヌクマムのタレにつけて食べるパリパリの揚げ春巻も、酸味とにんにくが効いたネムチュアも箸が進む!ビールが進む!
ビールが進む揚げ春巻き

そして、どのおつまみにも野菜やハーブがどっさり添えられていて、このさっぱりヘルシーな感じがさらに食欲を増進させるのです。
食卓にはパクチーやレモングラス、ミントなどのハーブがどっさり
食卓にはパクチーやレモングラス、ミントなどのハーブがどっさり

さて、ビールをひとしきり飲んだ後、ズンさんが「ネップカム」という濃い色のお酒をそれぞれグラスに注いでくれました。なんでも赤もち米を発酵させて作ったベトナムの蒸留酒で、アルコールは29度。ベトナムの男性たちはこれをストレートで飲むんだとか。
ネップカムはどこか紹興酒に似た酸味とコクのある味わい
ネップカムはどこか紹興酒に似た酸味とコクのある味わい
「ベトナム南部メコンデルタの農村部では、夕方、仕事を終えた男性たちは自家製のネップカムやネップモイ(もち米の蒸留酒)を飲んで一日の疲れを癒します。ベトナムでは酒税法がそこまで厳しくないので、自分でお酒を作る家庭もあるんです」とタマさん。

そんな蒸留酒のお供としてよく食べられているのが、青いマンゴーやスターフルーツといった果物。
スライスした青いマンゴーとスターフルーツ。唐辛子塩をつけるとやみつきの味に
スライスした青いマンゴーとスターフルーツ。唐辛子塩をつけるとやみつきの味に
日本では熟れてない状態のマンゴーを口にすることはなかなかありませんが、食べてみると少し青っぽい爽やかな酸味が口の中をさっぱりさせてくれて、これはこれでなかなか美味。

マンゴーに限らず、現地では桃やパパイヤなどの果物をあえて未熟な状態で食べることを好む人も多いんだとか。さすがフルーツの国ベトナム、いろんな楽しみ方を知っているんですね。

酔いまで「平等」に分かち合うのがベトナム流!

ところで30度近くの蒸留酒をストレートで飲むとは、ベトナムの方たちはアルコールに強い体質なのでしょうか?

「基本的に男性はお酒に強いと思います。というのもベトナムでは人と飲むときは、互いのグラスを見合いながら、飲むスピードを合わせないといけない、という意識があるんですよ。

たとえば飲み会でも、あとから遅れて到着した人は、先に来た人が飲んだ分のお酒を飲んで追いつかないといけないんです。乾杯だって、日本は最初だけですよね? でもベトナムでは、グラスにお酒を注ぐたびに乾杯する。だから自然とお酒に強くなるんでしょうね」とズンさん。
ズンさんとフェンさんと子どもたち。ちなみにベトナムでは、結婚した女性がお酒を飲むことはあまりないらしく、この日も女性たちは野菜ジュースやソフトドリンクを飲んでいた
ズンさんとフェンさんと子どもたち。ちなみにベトナムでは、結婚した女性がお酒を飲むことはあまりないらしく、この日も女性たちは野菜ジュースやソフトドリンクを飲んでいた
さらに、こうした習慣のもととなっているベトナム人の価値観についても教えてくれました。

「酔い方にしろなんにしろ、とにかく私たちにとって『平等』であることが何より大切なんです。ベトナム人同士のつながりにおいては、『なんでも話せる』『なんでも分かち合える』ことが最優先されます。だからベトナムを離れた今でも、こうして故郷を共にする人たちと集りたくなるんでしょうね」

最後にフェンさんとマイさんがお酒の〆にと本場・北ベトナムのチキンフォーを作ってくれました。
〆のチキンフォー
具は、鶏肉。トッピングされているハーブは刻んだパクチーとライムの葉っぱのみ。具沢山の南ベトナムのフォーに対して、ダシを味わうこのシンプルスタイルが北部流なんだそう。さっぱりとした鶏のスープが、飲んだ後の胃に優しく染み渡りました。

 ▼ベトナムのおつまみとチキンフォーレシピはこちら!

今回ご紹介したベトナムのお酒やおつまみの材料は、ズンさんが営むベトナム食料品店でも取り扱っているそうなので、ぜひみなさまもベトナムの家飲みにチャレンジしてみてください!

ズンさん一家とお仲間のみなさん、ありがとうございました。
ズンさん一家とお仲間たち

■お店情報
お店外観
お店内観
Quan Dung Huyen
住所:千葉県松戸市新松戸1-420ハイツ新松戸102
TEL:047-881-9994
営業:9:00~23:00
年中無休
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※記事の情報は2020年3月31日時点のものです。
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