ワンランク上のチリワイン《コスパワインのススメ⑨》

デイリーに楽しめる安旨コスパワインを紹介する企画、今回はチリワインをご紹介。コスパの良さで定評のあるチリワインですが、その中にもレセルバというワンランク上のワインが存在します。巷のチリワインとは一線を画すその味わいは?

ライター:青田俊一青田俊一
メインビジュアル:ワンランク上のチリワイン《コスパワインのススメ⑨》
ソムリエの資格を持つ名古屋の酒類卸イズミックの青田が、コスパで選んだ安旨ワインをご紹介。今回はワンランク上のチリワインをご紹介します。

ワンランク上のチリワイン「エル・ハワード レセルバ」

チリワインは、ワイン好きなら誰もが知る安くて美味しいワイン。コスパ抜群のワインとしてその不動の地位を確立していると言っても過言ではないでしょう。

そんなチリのワインですが、意外にもこのコスパワインのコラムで紹介するのは初めて。チリワインなんだからそりゃコスパが良いに決まってるじゃないですか、と言われかねないと思い、正直に言うと今までちょっと避けてたというのがその理由です。

とはいえ、いつまでも避けてるわけにはいきませんので、今回、満を持してのご紹介となります。で、ご紹介するのは「エル・ハワード レセルバ」というワイン。
エル・ハワード レセルバ
このワイン、ポイントとなるのは“レセルバ”の表記です。チリワインの規定において、レセルバとは“アルコール度数が法定最低アルコール度数より少なくとも0.5%以上高く、独自の味香がある場合”にラベルに表記してもよい、ということになっています。“独自の味香”という分かりにくい表現ですが、樽熟成などによる味わいの変化がこの“独自の味香”に該当し、多くの場合が樽熟成したものにレセルバの表記を用いているように思います。

もうひとつ注目したいのがラベルです。日本に輸入されているチリワインは、なぜかラベルに動物が描かれていることが多いのですが、このワインも例に漏れずペンギンが描かれたラベルになっています。実は私、かなりのペンギンラバーでして、このラベルを見過ごすわけにはいきません。これが今回のワイン選定の最大のポイントだったりします。味云々は後付なのです。

ちなみにこのラベルに描かれているペンギンはマカロニペンギンという種類で、日本では7ヶ所の水族館でお目にかかれます。私も以前、新江ノ島水族館で拝見いたしました。

と、関係のない話はこれくらいにしておいて、実際のところ巷のチリワインと味わいがどう違うのか、お楽しみの試飲タイムで検証といきましょう。

「エル・ハワード レセルバ」を飲んでみた

今回試飲するのは4種類。白はシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、赤はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローという、4本ともに超メジャーな国際品種です。

まずはシャルドネからです。
エル・ハワード レセルバ シャルドネ
色は淡いイエローゴールド。レセルバなのでもう少し濃い色合いを想像していましたがそれほどではないです。桃のような甘くフルーティな香り。まろやかな口当たりに、やわらかな酸味。熟した果実味のあとにほんのり焼いたパンのような香ばしい香りが鼻に抜けます。チリのシャルドネはトロピカルな印象のものが多いですが、こちらはオールドワールドのような熟成感のある上品な仕上がりになっていると思います。チーズと合わせて、ゆっくり楽しみたい味わいです。

続いてソーヴィニヨン・ブランです。
エル・ハワード レセルバ ソーヴィニヨン・ブラン
色合いは少し緑がかった淡いイエロー。一般的なチリのソーヴィニヨン・ブランのイメージからすると少し色調は濃いように思います。ソーヴィニヨン・ブラン特有の青草のような香りは控えめ、グレープフルーツのような柑橘の香りが優しく漂います。味わいは最初に爽やかな酸味、そのあとにミネラルに富んだ果実味が口の中に広がります。余韻にはほんのり香ばしさを感じます。ソーヴィニヨン・ブランは爽やかで軽いイメージが強いのですが、こちらは割と果実味がしっかりとしたタイプのように思います。酸味のあるトマト料理と合わせて飲みたいです。

次は赤、カベルネ・ソーヴィニヨンです。
エル・ハワード レゼルバ カベルネ ソーヴィニヨン
チリのカベルネ・ソーヴィニヨンといえば濃厚な果実味が特徴で、その味わいにはファンも多く“チリカベ”と略して呼ばれるほどに親しまれています。こちらはどうでしょうか。

色合いはやや黒みがかったルビーレッド。香りはスパイシーでほんのり鉄っぽい香りがします。口当たりはまろやかでやさしい果実味。アフターにやわらかいタンニン。樽香が余韻に残ります。一般的なチリカベと比べると果実味はおとなしく、かなり上品な印象を受けます。どちらかというとフランスのワインっぽさを感じます。ハンバーグや炭火の焼鳥など香ばしい肉料理に合わせて楽しみたいワインです。

最後はメルローです。
エル・ハワード レセルバ メルロー
色合いはきれいなルビーレッド。チェリーのような果実の香り。なめらかな口当たり甘い果実のようなふくらみのある味わい。タンニンは控えめです。一般的なチリのメルローと比べると、やはりどこか落ち着いた印象を感じます。肉じゃがのような和食との相性が良さそうです。

今回ご紹介したレセルバは一般的なチリワインと比べ、少し繊細なイメージになりますので、チリワインの濃厚な果実味がお好きという方にはあまりおすすめはできませんが、フランスワインのような奥行きのある味わいがお好きな方ならきっと気に入っていただけるのではないかと思います。そしてなによりペンギンが素敵なので、ペンギンラバーの皆様にもぜひおすすめしたいワインです。

お手頃価格なのに巷のチリワインとは一線を画す味わいで、ワンランク上の家飲みが楽しめるチリのレセルバ、ぜひお試しください。
 

エル・ハワード レセルバ シャルドネ【商品概要】

  • 産地:チリ
  • 原料品種:シャルドネ
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:700円(税抜)
  • 輸入元:ドウシシャ

エル・ハワード レセルバ ソーヴィニヨン ブラン【商品概要】

  • 産地:チリ
  • 原料品種:ソーヴィニヨンブラン
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:700円(税抜)
  • 輸入元:ドウシシャ

エル・ハワード レセルバ カベルネ ソーヴィニヨン【商品概要】

  • 産地:チリ
  • 原料品種:カベルネソーヴィニヨン
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:700円(税抜)
  • 輸入元:ドウシシャ

エル・ハワード レセルバ メルロー【商品概要】

  • 産地:チリ
  • 原料品種:メルロー90%、カベルネ・ソーヴィニヨン 10%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:700円(税抜)
  • 輸入元:ドウシシャ

※記事の情報は2020年7月20日時点のものです。
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