ラムココアが沁みる、ある男のビターな人生【9月の家飲みショートフィルム】

家飲みのおともにショートフィルムはいかが? 9月のイチオシは、米国アカデミー賞も受賞した、人生のどん底にいる男とおませな少女の交流を描いた作品。ラムを効かせた香り高いココアをおともにどうぞ。

メインビジュアル:ラムココアが沁みる、ある男のビターな人生【9月の家飲みショートフィルム】
「ショートフィルム」とは、わずか15分程度の短い時間の中に作り手のメッセージや技を凝縮させた映画のこと。尺が限られている分、すべてを語り尽くさず、観る側に考えの余白を残してくれるのもショートフィルムならではの魅力の1つだと思います。

15分といえば、ちょうど1杯のドリンクをゆっくり飲むのにかかる時間。気持ちがオンからオフに切り替わる家飲みのひととき、好きなお酒を用意して、スナック感覚でショートフィルムを楽しんでみませんか?

ショートフィルムが無料で楽しめるオンライン映画館「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE(ブリリア ショートショートシアター オンライン)」では、週の真ん中の水曜日に世界のショートフィルムを1作品ずつ配信。

ここでは毎月配信される4-5作品の中から、特に家飲みにぴったりの1作品を「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」編集長の大竹悠介さんにセレクトしていただき、イエノミスタイル編集部員が実際にその作品を観ながら家飲みしてみた感想をご紹介します。
 
《9月のイチオシ!家飲み作品》

『リッチーとの一日/Curfew』(9/2配信)

『リッチーとの一日/Curfew』(9/2配信)
『リッチーとの一日/Curfew』 Shawn Christensen監督/アメリカ/ドラマ/2012
〇上映時間 :約20分
〇配信期間:9/2~12/1
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2012 (日本)、クレルモンフェラン国際短編映画祭 2012 (フランス) 観客賞、クラクフ映画祭 2012 (ポーランド)、トライベッカ映画祭 2012 (アメリカ)、第85回(2013)米国アカデミー賞短編実写部門受賞作品


【あらすじ】
自殺を図ろうと浴槽に血まみれのリッチーに、長年疎遠になっていた妹から、娘を一時預かって欲しいと電話がかかってくる。
 
BSSTO編集長・大竹悠介さん

BSSTO編集長・大竹悠介さん

今回おすすめするのは、世界の40を超える映画祭で受賞し、第85回米国アカデミー賞短編実写部門でオスカーを受賞した作品です。

荒んだ生活を送る男が、小学4年生の姪と過ごすうちに生きる希望を取り戻していくヒューマンドラマ。

この年代の女子の感じ、アメリカも日本も変わりません。大人に対しても物おじせず、堂々と振舞う。それもシニカルに。私もコテンパンにされた嫌な思い出が…(笑)。「9歳の女の子と話した時に自分よりも賢いことに気が付いたのが製作のきっかけだった」と監督も語っています。

ですが、大人になると、主人公の妹のように男性との関係で苦境に立たされることもある。社会の現実に対する批評意識も込められています。

ビターな風味と優しい希望が同居した一本。ぜひご覧ください。


\観てみました!/
最初にお伝えしておくと、この作品、主人公が浴槽で自殺を図る痛々しいシーンで始まりますので、流血映像が苦手な方は心のご準備を。

さて、そんな人生のどん底にいる男の話です。はっきり言って、この作品を最後まで観ても明るい気持ちにはなれません。それでもこの映画は、気持ちが塞いでいる時にこそ観てほしい。この作品のもつ温かさのようなものがジワジワと沁みてくると思います。

見どころはやはり、主人公リッチーと、おませなソフィアとの交流でしょうか。どんより顔のリッチーに、健康状態から恋愛関係まで、矢継ぎ早に質問を浴びせるソフィアは、まるでデキの悪い息子に接するおせっかいな母親のよう。

あと私が胸打たれたのは、ずっと疎遠だった妹が辛い状況にあるのを察し、リッチーが言葉の限りを尽くして励まそうとするシーンです(さっきまで自分だって自殺しようとしていたのに)。

よく「人は一人では生きられない」と言われますが、そんなことを改めて考えさせられた今回の作品でした。

この作品のおとも酒
ラムココア
大竹編集長の「ビターな風味と優しい希望が同居した一本」という紹介コメントから、今回はラムココアをおともにしました。

まだまだ外は暑いですが、エアコンのせいで体が冷えているのもあって、単純に温かい飲み物が恋しくなったという理由もあります。

小鍋で温めたココアをカップに注ぎ、マイヤーズのダークラムを垂らすだけ。それだけなのに、いつものココアがぐーんと香り高くなって、高級感のある味に。冷たいものばかり食べて疲れた胃をほんわり温めてくれます。

あと、大人の嗜好品であるラムと子どもの大好きなココアが出会うことで生まれるこのドリンクって、ちょっとリッチーとソフィアの関係に似ているような気も。

ラムはコーヒーや紅茶に入れても美味しいので、ぜひ家に1本常備してはいかがでしょうか。(イエノミスタイル編集部・A)

▼その他、自宅常備酒におすすめのお酒はこちら!

《その他の9月配信作品》

『旅/Journey』(9/9配信)

『旅/Journey』(9/9配信)
『旅/Journey』 Radheya Jegatheva監督/オーストラリア/SF/2016
〇上映時間 :7分40秒
〇配信期間:9/9~12/8
SSFF & ASIA 2017 (日本)、ポート短編映画祭 2016 (オーストラリア) 最優秀作品、ロウ・サイエンス映画祭 2016 (アメリカ) 最優秀作品


【あらすじ】
1人ぼっちで宇宙を漂っていた女は、ある時同じ窮地に立つ男の宇宙飛行士を見つけた。ポラロイド写真の中の地球を見た2人は、故郷の星に帰るため、宇宙を横断する旅を始める。
 

『見下ろすとそこに/Down There』(9/16配信)

『見下ろすとそこに/Down There』(9/16配信)
『見下ろすとそこに/Down There』 Zhengfan Yang監督/中国/ドラマ/2018
〇上映時間 :10分15秒
〇配信期間:9/16~12/15
SSFF & ASIA 2019 ジョージ・ルーカス アワード(グランプリ)、アジア インターナショナル部門 優秀賞(東京都知事賞)


【あらすじ】
階下からの騒音が穏やかな夜を一変させる。冷酷で無関心な住民もいれば、迷惑そうな住民もいる。人も反応は実に様々だ。
 

『ビッグシティ/Big City』(9/23配信)

『ビッグシティ/Big City』(9/23配信)
『ビッグシティ/Big City』 Jordan Bond & Lachlan Ryan監督/オーストラリア/コメディ/2016
〇上映時間 :9分
〇配信期間:9/23~12/22
SSFF & ASIA 2017 (日本)、フレッシュフリックス・スプリング 2016 (オーストラリア) 観客賞・ベストドラマ賞、トライベッカ映画祭 (アメリカ)、メルボルン国際映画祭 (オーストラリア)


【あらすじ】
メルボルンに越してきた孤独なタクシー運転手が、酔っ払いの男性客をひろった。男の親しみある態度に運転手も思わず警戒をほどき、2人は互いの「夜」がもつ煩わしさや煌きを知っていく。
 

『ハーモニー/Harmonies』(9/30配信)

『ハーモニー/Harmonies』(9/30配信)
『ハーモニー/Harmonies』 Eurydice Calméjane監督/フランス/ロマンス/2015
〇上映時間 :20分23秒
〇配信期間:9/30~12/29
FestiFrance – Belo Horizonte (Brazil) – December 2016、Tournez Court – Saint Etienne (France) – September 2016、Med Film Festival – Alexandria (Egypt) – September 2016 、Tripoli Film Festival – Tripoli (Libanon) – April 2016 – Competition、Festival du film de femmes – Créteil (France) – March 2016 - Out of competition、Courts en Champagne – Aÿ (France) – November 2015 – Competition、Grand Cru Bretagne – Douarnenez (France) – August 2015 – Competition、Festival du Film Court en Plein Air – Grenoble (France) – July 2015 – Competition、Festival du Film de l’Ouest – Betton (France) – June 2015 – Competition


【あらすじ】
声を失ったオペラ歌手ローラが出会ったのは、聾唖のコメディアンだった。手話で自分を表現するロレンツォの姿が、やがてローラに変化をもたらす。

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今回ご紹介した各作品は「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」で配信予定です。

※記事の情報は2020年9月7日時点のものです。
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