10月は減税で安くなるビールを飲もう!

酒好きほぼ100人に聞く「酒飲みのミカタ」。10月から酒税率が改正され、ビールの酒税は350mlあたり7円下がり、反対に新ジャンルは10円上がります。そこで今回は酒税率が改正後にどんなビール類を選ぶかを聞きました。

メインビジュアル:10月は減税で安くなるビールを飲もう!

新ジャンルは増税前の9月中に買っておこう!

減税になるビールの話をする前に、まず10月の増税前に新ジャンルを買いだめするかを見ておきましょう。リーズナブルでおいしいと人気の新ジャンルは、今回350mlが1缶あたり10円増税されます。

ビール類ユーザー(自宅でビール類を週に1回以上飲む方)に買いだめするかどうかを聞いたところ、18%が「買いだめする」と回答し、「買いだめしない」という方と同数という結果となりました。
グラフ 増税前の新ジャンル買いだめ意向
たかだかひと缶10円の値上がりでは、慌てて買いだめする人はそれほど多くないかと思いきや、主として新ジャンルを飲んでいる人だけを見ると、「買いだめする」が33%にのぼり「買いだめしない」の25%を上回ります。発泡酒ユーザーでも「買いだめする」は21%あります。

ちょっと考えてみてください。ひと缶では10円の増税ですが1ケース24缶だと240円になります。今、新ジャンルは量販店で1ケース2400円(税抜き)くらいですから、何の説明もなしに1割の値上げです。増税ですからどの売場も240円は必ず上がります。9月中に買っておけば、10月になってから買うよりも2缶も余計に買えるのです。
店頭POP
スーパーやディスカウントストアの店頭では新ジャンルの増税告知があちこちに。ちなみにワインの増税は数円で、輸入品は為替リスクもあるので価格変更はないでしょう

新ジャンル増税額は、消費税が2%上がった時の5倍

ちなみに昨秋、消費税率が8%から10%に引き上げられた際、ビール類の買いだめをしたかを聞いたアンケートでは「買いだめした」が全体で16%、新ジャンルユーザーで21%でした。消費税率が2%上がった時、値上げ幅は約50円でしたが、今回は240円と約5倍。新ジャンルの賞味期限は数か月ありますし、普段飲んでいるならこの機会に買っておこうと考えるのは当然と言えば当然ですね。
新ジャンル
新ジャンルはケースでまとめ買いするのもよし、この機会に各社の商品をいろいろ買って飲み比べるのもよし。3年後と6年後にも新ジャンルは増税されて、最終的にビールと同じ税率になります。それでも新ジャンルが一番リーズナブルなビール類であり続けます

減税でビールが安くなったら「ビールが増える」は17%

では10月にビールの税率が引き下げられるとビールを選ぶ人が増えるのでしょうか? 今回のビールの減税額は350mlあたり7円です。ビールの350ml缶の実勢価格は量販店で約200円(税抜き)ですから、安くなると言ってもごくわずかです。
ビール
大手ビールメーカーは減税を機にビールを盛り上げようと躍起だ
それでも減税で安くなったら「ビールが増える」という人は17%にのぼりました。ですが主にビールを飲んでいる人は、減税されてもビールを増やすということはないわけですから、発泡酒や新ジャンルのユーザーの回答が重要です。

彼らの「ビールが増える」という回答は新ジャンルユーザーで27%、発泡酒ユーザーは38%もあります。新ジャンルも発泡酒もリーズナブルでおいしいのですが、ビールの価格が下がればビールがいいと思っている方が多いことがわかります。
グラフ 酒税率改正後のビール類の選択意向

ビール類の税率一本化の後、次は引き下げを求めよう

今回の酒税率の改正は、同じ性質のものには等しく課税するという観点から、6年かけてビール、発泡酒、新ジャンルの税率を一本化するというものです。ビールは3年後、6年後にも減税が予定されています。

このように税格差ができた背景には、日本ではビールの税率が他の国に比べて著しく高いこと、さらに日本酒やワインや焼酎、ウイスキーに比べても極端に高いことがあります。ビールメーカーは飲み手のニーズに応えて、少しでもリーズナブルなビールを提供しようと、税率の低い発泡酒や新ジャンルといういろいろな制限のある規格の中で、ビールの味わいを出すことに力を注いできたのです。

今回の税率改正に対して飲み手の意見も分かれます。
「そもそもビールの高い税率を下げるべき!」
「企業努力を無にする国の横暴だ!」
「庶民の味方、税率の低い新ジャンルを増税するなんてひどい」

という声がある一方で、次のような声もあります。
「税の平等性を確保するにはやむを得ない」
「ビールでおいしさを競うようにした方がすっきりする」
「法の抜け道を探すようなやり方は見直して当然」

既にビール類の税率一本化は決定事項で、粛々と進められていきますが、一本化された後はビール税の引き下げを求めていくことを忘れてはなりません。海外に比べても、他酒類のアルコール度数あたりの税率に比べても、日本のビール税は高すぎるのですから。

この秋は減税されたビールを満喫

ところでビール類から缶入りチューハイ(RTD:Ready to drink)への流出はごく限られたものになりそうです。

現在の量販店での実勢価格は缶入りチューハイが約110円(税抜)で新ジャンルは約120円(税抜)ですが、新ジャンルが10円増税されるので約130円(税抜き)になり缶入りチューハイの価格差が20円に広がります。110~130円の商品で20円の違いは決して小さくありません。それで新ジャンルから缶入りチューハイに流れると見る向きは少なくありません。

けれども前述の質問で、「新ジャンルの価格が上がったらRTD(缶入りチューハイ)が増える」と回答した方はわずか5%、新ジャンルユーザーだけで見ても13%だけです。新ジャンルから缶入りチューハイに次々に手を伸ばすようになることはなさそうです。

それよりもせっかくビールが安くなるのですから、この秋は自宅でもビールを満喫してみてはいかがでしょうか。季節限定品も色々楽しめます。
ビール
居酒屋のおいしい生ビールを自宅でも。グラスを冷やしてビールを丁寧に注いでどうぞ。季節限定品の飲み比べが楽しいです
【調査概要】
調査時期:2020/9/4~9/9
調査方法:インターネットによる自記入式アンケート
サンプル数:100人(お酒好きな人)


※記事の情報は2020年9月16日時点のものです。

 

 

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