影山直美『湘南いそいそ家飲み日記』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊾》

影山直美先生の『湘南いそいそ家飲み日記』より、「厚揚げのもやしあんかけ」と「皮つき焼きれんこん」を再現! ひと手間、ひと味加えたおつまみが、日々の晩酌をグッと豊かにしてくれます。家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:影山直美『湘南いそいそ家飲み日記』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊾》

晩酌への並々ならぬ愛と気合が伝わる家飲みバイブル。

◾こんな本です

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この世に星の数ほど本はあれど、「うわ…、これ…これって、私のために書かれた本では!?」と震えてしまうほど、全てがビシィッとハマることってそうそう多くないと思うのです。ですが、運のいいことに、私はそんな一冊に出合えました。

今回ご紹介させていただく『湘南いそいそ家飲み日記』がそれでございます。

イラストレーターの影山直美先生が四季折々の家飲みを記録されたこの「日記」は、イラストも文章も、そして紹介されているアテの数々やお酒の飲み方も、すべてが、すべてが(2回言うほどに)私の好みにドンピシャでした。

「あー、もう、好きっ」と胸中で悶えたり、「わかる! そう、そうなんですよ!」とヘドバン並みに頷いたりしながら読んで読み返しての繰り返し。要するに、私もこんな家飲みがしたい! と強ーく思わされるのです。
晩酌のために何かをがんばる。
ささやかだけど これって
私の生きがいのひとつかも。

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』前書きより
そう語る影山先生は同じくお酒好きな夫さんと柴犬二匹との四人暮らし。

春には花壇で育てたフキを仕事の合間にせっせとこしらえ、夏は夫さんと共にらっきょうの塩漬けを仕込み、秋にはサバを丸ごと買って自分好みのシメサバ&塩焼きに、そして冬は野菜入りのおでんを昼から作って仕事中に味をしみこませ二晩かけて楽しむ…。

そんな風に季節ごとの味を取り入れつつ、魚肉ソーセージを「ぜいたく品」と位置付けてみたり、夫さん不在のひとり飲み会では買ってきたちくわの天ぷらを丸一本でつまみにしたり、と肩の力を抜いた飲み方も堪能されているバランスが絶妙!

そして、家飲み仲間の皆様ならきっと同意しきりだと思いますが、「何を飲むかで献立を決める」楽しさってありますよね。

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』「春」より
飲みたい酒に合わせてアテを探しに!

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』「春」より
簡単だけど、ちょっとした手間は惜しまないのが影山先生流。

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』「春」より
買ってきた惣菜を皿に盛り直す、コースターや箸置きを使う、カップ酒も少し冷やしておく。これだけで、晩酌のゴキゲン度はかなーり上がりますよね。とうもろこしを手ぬぐいにのせてサーブするのも合理的だしかわいいし、いいなぁ。来年は絶対に真似してみよう。

影山家の素敵なひと技満載の家飲みデイズの締めくくりは、年末のお正月準備。

なんと11月から飲むお酒の目星をつけ、乾物や器を徐々に買い込み、大晦日前日からはタイムスケジュールを立ててのおせち作りと、本気度が高すぎて圧倒されます。あれもこれもすべてお正月においしいお酒を楽しむため…。

渾身のご馳走が並ぶお正月の宴のイラストがまた素晴らしくて! いいな、いいな。こんなお正月サイコー!と語彙力低めに尊ぶ私でした。

本編に加えて、各章の合間に掲載されたひとコマコラムもまた酒飲み好みでして。

「酒飲みのいやしいとき」
「酒飲みの悪あがき」
「二日酔いの朝。家族にお願いしたい4つのこと」
「飲み友達っていいね」

ご自身にも思い当たること多々ではないでしょうか。

影山直美 影山直美/KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』より
へへ、あるある。

『湘南いそいそ家飲み日記』ここを再現

魅惑の家飲みおつまみてんこ盛りの中から、今回再現したのはこの2品。
おなじみの食材がちょっとの手間で変身してくれる嬉しいレシピです。
 

◾お品書き

  • 厚揚げのもやしあんかけ
  • 皮つき焼きれんこん
今回はレシピページ引用のご許可をいただいたので、作り方はそちらをご参考になさってください。

湘南いそいそ家飲み日記再現レシピ①┃厚揚げのもやしあんかけ

厚揚げのもやしあんかけ
<材料>
・厚揚げ
・もやし
・そのほか、冷蔵庫にある半端ものの野菜
・めんつゆ(※筆者注:作中に表記はありませんが、茶色いあんになっているのでおそらくこのあたりの調味料かと)
・水溶き片栗粉

<作り方>

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』「秋 豆腐 身近な食材をちょっとした工夫でおつまみらしくの巻」より
■食べてみました
「冷蔵庫にある半端ものの野菜」を使うってのがいいですよね〜。私はしなりかけた椎茸とにんじん、2ターン目の豆苗を使いました。

影山先生も書いておられるように、同じ材料で炒め物もできるけど、あんかけスタイルにするとおつまみらしさが段違いになりますね。

表面カリッで中はフワ、味付けをしていない厚揚げにちょいと甘辛い野菜あん。シャキシャキとしたもやしの食感がいいアクセントです。うん、もやしは必須だ。

お相手は、ちょいと冷やしたカップ酒で決まりっ。コースターも忘れずに。

『湘南いそいそ家飲み』日記再現レシピ②┃皮つき焼きれんこん

皮つき焼きれんこん
<材料>
・れんこん(皮つきのまま使う)
・オリーブオイル
・ベーコン(カリカリに焼く)
・自然塩
・黒コショウ
・チーズのすりおろし(私は粉チーズで代用)
・クレソン(私はバジル若芽で代用)

<作り方>

影山直美 /KADOKAWA/メディアファクトリー『湘南いそいそ家飲み日記』「秋 れんこん 手抜き料理は◯ がさつ料理は×の巻」より
■食べてみました
おおお、これはなんとも素敵な組み合わせ!

ほくほくシャキッとしたれんこんの甘みにベーコンの塩辛さとコク、チーズの乳っぽさがとってもよく合います。シンプルな素焼きれんこんは何度か作ったことがありましたが、この、もうひと味加えた仕上がりにははるか及びませんでした。「メインぶって盛りつける」のも大事なポイントだと思います。

やー、白ワイン1本いけちゃいますね。このひと皿で。

***

同じ食材で私がおつまみを作ったなら、こんなひと手間はかけなかったことでしょう。ちょっと「がんばる」だけでいつものおつまみがランクアップのであれば喜んで倣おうではありませんか。

自分の家飲みを見直す、といえば堅苦しいけれど、より豊かにする方法はいくらでもあるんだと気づくことができてとてもよかったです。

この本が出版されたのは約10年前。その間に影山先生の家飲みはさらに素敵さを増しているのではないかしら。ぜひぜひ、続編も出してほしいな〜(切望)。

※記事の情報は2023年11月7日時点のものです。
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