テレビでも紹介! 北イタリアの都会で流行るお酒の習慣とは

北イタリアの都市部では「アペリティーヴォ」と呼ばれる食習慣が根づいています。どんな飲食のスタイルなのか、ご紹介します。

ライター:京藤好男京藤好男
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私が監修するNHK-Eテレの番組『旅するイタリア語』が、この10月から新シリーズを迎えます(本放送は毎週火曜日(月曜深夜)00:00~00:25, 再放送は毎週水曜日朝6:00~6:25)。今回は俳優の田辺誠一さんを旅人に招き、北イタリアの大都市ミラノとトリノを中心に、その周辺部にも足を伸ばしてもらいます。洗練された都会の流行と文化をご紹介する一方、アルプス山脈のふもとの豊かで変化に富んだ自然の様子もたっぷりお見せします。ぜひご覧ください。

さて、私たちの番組の特徴は、何と言ってもイタリアの食文化の追求です。毎回、その土地ならではの食事やおつまみ、地元産のとっておきのワインの紹介を怠りません。今回もその充実ぶりには自信を持っています。「イタリア人の食の楽しみ方、ワインの飲み方とは、どのようなものか」、それを現地で実際に体験し、試みること。その番組の精神は、この「イエノミスタイル」の哲学とも通じるものがあると思います。

そこで番組のスタートに合わせて、今回の旅の中でも紹介する北の都市部のおもしろい食習慣を、「イエノミ」の読者の方だけに、こっそりお教えしますね。

それは「アペリティーヴォ(aperitivo)」です。

え? なんだか、聞き覚えあるぞ、ですって(汗)?

実はこれ、辞書を引くと「食前酒」と出てくる単語で、イタリア料理好きの方ならレストランなどのメニューで目にしたことがあるかもしれません。

確かに、メニューに出てくるアペリティーヴォは「食前酒」のことなのですが、食習慣としてのアペリティーヴォは、ちょっと違います。

北の都市部に普及したこのアペリティーヴォとは、仕事の後、家に帰る前、タイミングとしては夕食の前に、バーに立ち寄って一杯やるというものです。それなら日本でも、と思うかもしれませんが、そのとき、飲み物を1杯頼むと、なんと、おつまみは食べ放題(お店によります)というセットメニューが用意されているのです。こんな感じのおつまみが、お好きなだけ食べられます。
おつまみ
おつまみ
お店によりビュッフェ・スタイルだったり、ウエイターさんが見つくろって盛り合わせを持ってきてくれたりします。いずれも、ドリンク1杯とおつまみのセットで、相場はおよそ8ユーロ(1000円程度)。夕食前の1時間ほど、広場に面したテラス席や運河沿いに並べたテーブル席なんかで、ほっと一息リラックスタイムを過ごすのです。

このような食習慣が流行る背景には、イタリアの夕食時間が遅いことがあります。都市部での一般的な夕食時刻は9時から10時です。日照時間が長く、夏にはサマータイムを取り入れることもあって、8時ごろまで明るい南ヨーロッパでは、日が落ちてからの食事も遅れがち。会社員であれば、5時頃には仕事を終えます。それから9時頃まで食事を待つのはつらいですよね。そこでアペリティーヴォのひとときが、何とも癒されるいい時間となるわけです。
 

アペリティーヴォで人気のカクテルはこれだ!

そんなアペリティーヴォで人気の、イタリアが世界に誇るカクテルを1品ご紹介しましょう。「スプリッツ(spriz)」です。
スプリッツ(spriz)
リキュールを白ワインとソーダ水で割った爽快なカクテルです。作り方も簡単ですので、家飲みにも最適です。
このオレンジ色は、「アペロール(aperol)」というイタリア産のハーブリキュールの色。ビターオレンジ、スイートオレンジ、各種ハーブをブレンドして作られており、甘味と苦味が同居した深い味わいが特徴です。
アペロール(aperol)
このアペロールをベースに、白ワイン、ソーダ水を混ぜ合わせればできあがり。

基本的な1杯分の分量としては
・アペロール 20ml
・白ワイン30ml
・ソーダ水 30ml

また、白ワインとソーダ水の代わりに、白辛口のスパークリング・ワインで一気に割ってしまっても美味しくいただけます。イタリアでは「プロセッコ(Prosecco)」というスパークリングで割るのが好まれていますよ。氷を入れてしっかり冷やしていただくのがイタリア流。
さらに、オリーブを入れて、時々カリカリとかじりながら、カクテルをいただけば、味わいに変化が出ますよ。

アペロールは、最近は日本の量販店でもよく見かけるようになりましたが、このアペロールを「カンパリ(Campari)」に変えても、同じ作り方でスプリッツができます。カンパリの方が日本では馴染みがありますね。まずはぜひ番組をご覧になって、それからご自宅でスプリッツを試してみてください。
 

トリノっ子を癒しているビチェリンって、どんな飲み物?

この機会にもう1つ、番組でも取り上げるおもしろい飲み物をご紹介します。これはお酒ではないのですが、トリノ発祥の人気ドリンクです。

それがこちら。「ビチェリン(Bicerin)」というチョコレート飲料です
ビチェリン(Bicerin)
グラスの中は3層になっており、底にホットチョコレート、真ん中にエスプレッソ(コーヒー)、一番上が生クリームです。このドリンクのユニークなところは、この3種類をかき混ぜてはいけないこと。その3層のまま飲みます。下のホットチョコレートとエスプレッソは熱いのですが、それがグラスを伝って、上の冷たい生クリームに触れながら口に入ってくる、その温度差の感覚が独特です。チョコもエスプレッソも苦味が主体なのに、生クリームと絡まることで淡く、まろやかな味わいになり、ちょっとくせになるコクがあります。アルコールではないのに、大人の風格のドリンク。こういう飲み物、日本にあまりないですよね。
このビチェリンも、仕事の合間や仕事終わりに、トリノっ子たちがのんびりとカフェのテラスでいただく癒しの一杯となっています。

番組の取材を通じて感じたのは、このように一杯の飲み物をうまく使いながら、オンとオフ、強と弱、交感神経と副交感神経を上手に切り替えているイタリア人の暮らしのリズムこそ、我々が取り入れるべきものではないかということです。家飲みのさらなる充実に、ぜひ活用してみてください。

※記事の情報は2018年10月16日時点のものです。
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