11/16ボジョレー・ヌーヴォー解禁! 各国の新酒にも注目!

毎年、11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。今年は11月16日がその日にあたります。ボジョレー・ヌーヴォーとはどんなワインなのか、そしてボジョレー以外にもある各国の新酒ワインは?  解禁日を前にして、新酒を楽しむための豆知識をちょっとご紹介します。

ライター:まるまる
メインビジュアル:11/16ボジョレー・ヌーヴォー解禁! 各国の新酒にも注目!

フルーティーでフレッシュな果実香の新酒

ボジョレー・ヌーヴォーは、フランスのブルゴーニュ地域の南端に隣接する地区、ボジョレーで産出する新酒です。ボジョレーでは新酒のほとんどは赤ワイン(ほんの少しロゼもあるけど白はありません)。フルーティーでフレッシュな果実香にあふれた、さわやかな酸味のワインです。

昔からボジョレー地区は、丈夫で実をたくさんつけるブドウの品種「ガメイ」をメインに作付けし、大消費地であるリヨン向けに、庶民のテーブルワインとして早飲みタイプのワインを供給していました。扱いにくい品種のピノ・ノワールを栽培するブルゴーニュとは対照的です。早飲みワインは新しいほど価値が高いとされていたため、各生産地は競って出荷を早めたそうです。

普通、ワインは収穫から出荷まで約1年かかるといわれますが、現在では新酒は収穫の年の秋に素早く出荷します。新酒が現在のように収穫年の秋に飲めるようになったのは、1935年に発明された新しい技術が大きく貢献しています。タンクに炭酸ガスを注入することで無酸素密閉状態にして、果汁を素早くワインにする技術「マセラシオン・カルボニック法」です。この技術は、有名な科学者パスツールの1872年の発見がベースになっているそうです。ボジョレー地区は、このマセラシオン・カルボニック法を導入することで新酒ワインの生産に注力していったのです。ちなみに、ボジョレー地区は、新酒以外にも優れたワインをたくさん生産しています。

毎年味わい深い、ボジョレー発のキャッチコピー

ボジョレー・ヌーヴォーは、毎年の出来栄えを伝えるキャッチコピーでも話題になりますね。このキャッチコピー、その創意工夫あふれる表現から、ネットの掲示板でも定番の”コピペ”になったりしています。これは毎年、ボジョレーワイン委員会が発表しているものなのだそうです。21世紀に入ってからのコピーを見てみましょう。

2000年 出来は上々で申し分の無い仕上がり
2001年 ここ10年で最高
2002年 過去10年で最高と言われた2001年を上回る出来栄え
2003年 100年に一度の出来
2004年 香りが良くなかなかの出来栄え
2005年 ここ数年で最高
2006年 昨年同様良い出来栄え
2007年 柔らかく果実味が豊かで上質な味わい
2008年 豊かな果実味と程良い酸味が調和した味
2009年 50年に一度の出来栄え
2010年 1950年以降最高の出来と言われた2009年と同等の出来
2011年 近年の当たり年である2009年に匹敵する出来
2012年 史上最悪の不作だが品質は良く健全。糖度と酸度のバランスが良く軽やか
2013年 ブドウの収穫量は少ないが、みずみずしさが感じられる素晴らしい品質
2014年 近年の当たり年である2009年と肩を並べるクオリティ
2015年 我がワイン人生最良のヌーヴォー
2016年 エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい

今をさかのぼること50年前の1967年、ボジョレー・ヌーヴォーが大消費地パリで打ったキャンペーンのキャッチコピーが、Le Beaujolais Nouveau estarrive!(新しいボジョレーが到着しました!)だったそうです。この広告コピーがウケて、ボジョレー・ヌーヴォーはフランス中に浸透していったとか。歴史的にボジョレー・ヌーヴォーは、キャッチコピーと切っても切れない関係にあるのです。

毎年のキャッチコピーを見比べて、じゃあいったい、いつが最高だったんだよ! などと、無粋なことは言わないで、今年はいったい何と表現してくるのか、ワインと一緒にこのコピーも一緒に楽しんでしまうのが、ボジョレー・ヌーヴォーの正しい味わいかたなのかもしれません。

ボジョレー以外にもたくさんある各国の新酒

新酒はボジョレー・ヌーヴォーだけではありません。各国・各地で生産されていて、それぞれの国で品質保持のために解禁日が設けられています。解禁日はたいてい、キリスト教のお祝いの日である「聖マルティヌスの日」(11月1日)かその前後。この日は農民が一年を締めくくる「収穫祭」の日として位置づけられており、豚やガチョウなどのご馳走を食べる日です。そこに新しいワインがあればより一層おめでたいということで、各国で新酒の解禁日に設定されていったのでしょう。

ボジョレー・ヌーヴォー以外の各国の新酒には、次のようなものがあります。

フランス:ヴァン・ヌーヴォー Vin Nouveau
フランスでは、ボジョレー以外の地域でも、新酒が出荷されています。ロワール、ラングドック、ブルゴーニュなど、ボジョレー以外の地区で作られる新酒はヴァン・ヌーヴォーと呼ばれます。

イタリア:ヴィーノ・ノヴェッロ Vino Novello
イタリアはワインの生産量で毎年フランスと1位、2位を激しく争っている国。新酒の解禁日は10月30日と定められています(2012年、それまでの11月6日からこの日に変更)。フランスのように地域限定ではなく、イタリア全土で生産されます。ブドウの品種もさまざまで赤、白、ロゼといろいろな新酒があります。

スペイン:ピノ・ヌエヴォ Vino Nuevo
スペインはワインの生産量第3位。ブドウの作付面積では世界一というデータもあります。スペインの新酒「ビノ・ヌエヴォ」の解禁日は11月11日です。解禁日には各地で新酒祭りが開かれ、新酒ワインが飲み放題になったり、タパスが食べ放題になったりと、祭りはたいへんに盛り上がるようです。

ドイツ:デア・ノイエ  Der Neue
毎年11月11日に解禁。ほのかな甘さがある優しい味わいの白ワインが中心です。

オーストリア:ホリイゲ  Heurige
解禁日は聖マルティヌスの日、11月11日。ホリイゲ(Heurige)は、今年収穫したブドウで作ったワインという意味のほかに、新酒と料理を供する農村の居酒屋という意味もあるそうです。

日本:山梨ヌーヴォー
日本の山梨ヌーヴォーは、白の甲州と赤のマスカットベーリーAという品種で醸されるワインで、11月3日を解禁日としています。その他にも、山形や新潟、栃木などさまざまな地域で新酒が出荷されています。11月は各地で新酒のワイン祭りも行われるので、今年はぜひ、新酒を味わいに出かけてみましょう。

渋味や苦味がほとんどなく、フルーティーな新酒ワインは、生ハムや鶏肉、クセのないチーズなどとの相性が抜群。また、その優しい味わいは和食の味も引き立ててくれます。各国の様々な新酒は10月末から解禁日が続きます。真打ちともいえるボジョレー・ヌーヴォーは11月16日午前0時に解禁。今年はどんな新酒と出会えるのか、楽しみな季節がいよいよやってきます!

「ボジョレー・ヌーヴォー」の表記は?

ところで。Beaujolais nouveauの日本語での表記ですが、商品名でもメディア各社の記事でも、ボジョレー・ヌーヴォー、ボージョレー・ヌーボーなど、思い思いに表現していて迷ってしまいます。ちょっと見渡しただけで、前半部はボジョレー、ボージョレ、ボージョレー、ボジョレ、後半部はヌーヴォー、ヌーボー。調べてみるとみんな日本語表記のゆれで、どれが正しくて間違いということはないようです。でも少し気になったので「Forvo」でフランス人の皆さんの発音を聞いてみました。

ボジョレ・ヌヴォ」 でした(・・)。

どこにも「ー」(音引き)らしきものはありません。とはいえ、ネイティブに忠実に発音するなら「ボジョレ・ヌヴォ」なのかもしれませんが、それだとあまりにも見慣れないので、イエノミスタイルでは、とりあえずいちばん多数派の「ボジョレー・ヌーヴォー」と表記することにします。
参考文献 : 勝鬨美樹 著
一時間でわかるボージョレーとヌーボーの歴史


※記事の情報は2017年10月26日時点のものです。

▼ワンランク上のボジョレー・ヌーヴォーをセレクトしました▼
ボジョレー・ヌーボー解禁
 
  • 1現在のページ