サワーとチューハイの違いとは? それぞれのお酒についてわかりやすく解説します!

普段何気なく飲んでいる「サワー」と「チューハイ」。どちらも炭酸で割ったお酒というイメージがありますが、2つの違いは何なのでしょうか? この記事では、知っているようで意外と知らないサワーとチューハイの意味や違いについて、わかりやすく解説します!

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サワーとチューハイの違い、知っていますか?

コンビニに並ぶRTD商品や居酒屋のメニューなどで、普段から目にする「サワー」や「チューハイ」という名前。

どちらもシュワッと炭酸の効いたお酒というイメージですが、改めて両者の違いを問われると、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、身近でありながら実はあまり知られていない「サワー」と「チューハイ」の違いについて解説します。「サワー」と「チューハイ」の意味や違いを知っていれば、お酒にちょっと詳しい人として、まわりから一目置かれるかもしれません。

サワーとはどんなお酒?

レモンサワー
サワーの語源は英語のsour(酸味のある、酸っぱい)で、もともとはバーで提供されるロングドリンクカクテルの一種として知られていました。

カクテルとしてのサワーは、ベースとなる酒に酸味(レモンジュースなど)や甘味(砂糖など)を加えて作られており、炭酸水は必須ではありません。

対して、現在居酒屋や飲食店で提供されているサワーと言うと、焼酎やウォッカといった蒸留酒に、レモンやグレープフルーツなどの柑橘系の果汁と炭酸水を加えたお酒を指すのが一般的です。

カクテルとしてのサワーと、居酒屋などで提供されるサワーが異なる理由としては、昭和30年代に東京都内の居酒屋で、常連客が好んで飲んでいた〈焼酎の炭酸割り〉のことを店主が「サワー」と名付けたことがきっかけだと言われています。これにより、「炭酸割り=サワー」という認識が広まっていきました。

※ロングドリンクカクテルとは、長い時間をかけてのんびりと飲めるカクテルのこと。大きめのグラスにジュースなどの割材を多めに入れて作られ、アルコール度数はやや低め。氷入りで保冷されているので、比較的長時間にわたって美味しく味わえるのが特長です。

チューハイとはどんなお酒?

レモン酎ハイ
チューハイとは、焼酎の「酎(チュウ)」と、ハイボールの「ハイ」を組み合わせた言葉で、焼酎を果汁やジュース、炭酸で割ったものを指します。

本来は、ベースとなるお酒に焼酎を使い、ウォッカなどのスピリッツは使わないところがサワーとの違いでしたが、現在ではほとんど同じ意味で使われています。また、ウーロンハイや緑茶ハイなど、炭酸ではないものもチューハイの仲間です。

もともとは、製法が未発達で飲みにくかった焼酎を飲みやすくするために始まった飲み方でしたが、1980年代には、自分好みに焼酎を割って楽しむこの「チューハイ」スタイルが当時の若者の間で大人気になり、第二次焼酎ブームを牽引するまでになりました。

原料の味わいが強く感じられる焼酎乙類よりも、クリアな味わいの焼酎甲類の方がチューハイ作りには向いていると言われています。

サワーとチューハイの違いとは?

上の項目でもご説明したとおり、もともとはベースとなるお酒にスピリッツを使うか否かが「サワー」と「チューハイ」の違いでした。

しかし、どちらの飲み方も炭酸水で割り、果汁やジュース、茶類を加えるという点では同じであるため、現在ではチューハイもサワーもほぼ同じ意味で使われています。

サワーとチューハイ、店によって呼び方が違うのはなぜ?

ハイサワーとタカラcanチューハイ
サワーと呼ぶかチューハイと呼ぶかに明確な決まりはないため、お店のメニューや商品名の場合は提供者の感覚によって呼び名が変わります。

しかし、関東では「サワー」、それ以外の地域では「チューハイ」と呼ばれることが多いとする説もあります。

その理由として、お酒の割り材である炭酸飲料「ハイサワー」が東京都に本社を置く博水社から発売されたことが挙げられており、その影響で関東では「炭酸で割ったお酒=サワー」という認識が広まったのではないかと見られています。

ただし、もちろんこれは諸説ある中の一つにすぎず、サワーとチューハイの呼び名に地域性はないとする説もあります。

サワーとチューハイ、RTDではどちらが多く使われている?

コンビニで見つけたRTD商品の一部
コンビニで見つけたRTD商品の一部
東京・四谷のコンビニにあるRTD商品のパッケージをチェックし、「サワー」と「チューハイ」のどちらの言葉が多く使われているか個人的に調査してみました。

結果は以下の通り。
同一シリーズのフレーバー違いの商品は省いています。

・タカラ焼酎ハイボール〈辛口チューハイ
・タカラcanチューハイ レモン
・ファミマル サントリー スーパーチューハイ レモン
・ほろよい〈白いサワー
・こだわり酒場のレモンサワー
・-196℃ ORANGE PUNCH オレンジスカッシュサワー
・こだわりレモンサワー 檸檬堂
・男梅サワー
・濃いめのレモンサワー
・麒麟特製レモンサワー

ご覧のとおり、「サワー」の割合が多い結果となりました。

また、パッケージに「チューハイ」という言葉が使われていても、ベースとなるお酒が「焼酎」ではなく「スピリッツ」である商品もありました。

これは、酒税法においても「チューハイ」という独立した品目が無いためです。居酒屋などと同様、お酒メーカーによっても、チューハイと分類してあれば(ベースのお酒が焼酎ではなくても)チューハイとなるのです。

※チューハイだけでなくサワーも酒税法の品目には無く、どちらも「その他の発泡性酒類」に分類されます。

結論:サワーとチューハイの違いは提供者の感覚によるもの

居酒屋のイメージ
本来は違いがあったものの、現在では同じものを指す言葉として使われている「サワー」と「チューハイ」。

提供者の感覚で呼び名が異なるというのは曖昧でもありますが、楽しく飲むお酒という飲み物ならではのおおらかさも感じられます。

今後は、訪れた地域や飲食店、商品によって、どちらの名前が使われているか気にしてみるもの面白いかもしれませんよ!

【参考文献】
・『焼酎語辞典』金本享吉・沢田貴幸(誠文堂新光社)
・『ゼロから始める カクテル&バー入門』渡邉一也(KADOKAWA/メディアファクトリー)
・『レモンサワーの教科書』(エイ出版社)
・『チューハイマニア』(エイ出版社)
日本洋酒酒造組合HP
博水社HP
宝酒造HP


記事の情報は2022年10月31日時点のものです。
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