家飲み文化部③ 読んでから飲む! 家飲み漫画ミシュラン〈後編〉珠玉の15作品

「家飲み文化部③」では、読んだら飲まずにはいられなくなるような、魅力的な「家飲み漫画」を紹介します。この〈後編〉はいよいよ、家飲みスタイル編集部が独自に評価した家飲み漫画の作品リスト「珠玉の15作品・星取り評価つき」の発表です。家飲み漫画を選ぶときのご参考に、ぜひご利用ください!

ライター:まるまる
メインビジュアル:家飲み文化部③ 読んでから飲む! 家飲み漫画ミシュラン〈後編〉珠玉の15作品

作品の評価について

各作品は、①読んだら家飲みしたくなるか  ②オリジナリティ  ③絵とストーリー ④ レシピや蘊蓄の実用度  ⑤家飲み場面の頻度 ※  ⑥感動するか 等の各項目について評価し、本家の「レストラン・ホテルガイド」をちょっと参考にして、特にすぐれていると思われる作品にをつけました。は3個が最高。がついていない作品でも、ここに紹介するのはすべて魅力的でぜひ読んでみたい作品ばかりなことにご注意ください!

※「家飲み」とは、自宅だけでなく、他の人の家や野外なども含めて「バーやレストランなど、お店以外の場所で飲むこと」という範囲で考えました。


(星の数のだいたいの意味はこんな感じです)
■ すぐれている、読んでソンはない家飲み漫画(星はナシ)
■ 1つ星  特にすぐれた、読むべき家飲み漫画
■ 2つ星 ** 極めてすぐれており、ぜひ購入したい家飲み漫画
■ 3つ星 *** 探しまわる価値がある、卓越した家飲み漫画

それでは、珠玉の15作品を発表します。

すぐれている、読んでソンはない家飲み漫画(6作品)

●パパと親父のウチ呑み (豊田悠)
人気シリーズになっている自炊系グルメ漫画「パパと親父のウチご飯」のスピンオフ版。漫画編集者と整体師、それぞれの子と一緒にルームシェアしている二人の若いシングルファーザーが、子育てに奮闘する合間に、自分たちの酒のつまみを自炊して飲む。
二人が、蘊蓄(うんちく)の披露とか知ったかぶりをまったくしないのが、この作品の良いところ。若くして子育て生活に入ったので、外食している暇などなく、食に関する経験も乏しいのだ。自分で作る豚の角煮や手羽先焼き、アサリの酒蒸しといったごく普通の料理を食べるたびにいちいち感動する。飲み物も、飲み慣れているのはビールぐらい。誰かが持参したワインを飲んだりウイスキーを舐めたりすると、その新しい体験を心から喜ぶ。その様子が見ていてとても気持ちいいのである。


 

●宅飲み残念乙女ズ (コナリミサト)
自宅で食べることが多い自炊系の漫画は、その家に住む家族たちが登場人物だからみんな似通ってくる。それでは個性がないらと、同棲カップル、一人暮らし、男やもめ同士の二人暮らし、遠い親戚との二人暮らし、ゲイのカップルなどさまざまなバリエーションが採用されて、最近ではシェアハウスの仲間という時代を象徴する編成など、各作品が工夫を凝らしている。2013年連載開始の「宅飲み残念乙女ズ」は、家飲み漫画に若い女性3人組を登場させた、その先駆け的な作品。
キャリア志向のデザイナー、恋愛至上主義の販売部員、料理が得意なフリーターという友人同士の三人組が毎週末に集まって家飲みで痛飲する。ギャグ漫画の体裁でいながら、ゆれる女心を細かく描写していて、決して軽いだけの内容ではない。コンビニ弁当のおかずをぜんぶ刻んで炒飯にするとか、カラオケボックスの唐揚げを持ち帰って親子丼に再生するとか、フリーターのてつ子が作る酒飲みのためのお気軽な料理も、笑っちゃうけど、とても美味しそう。

 

●風流つまみ道場  (ラズウェル細木)
「酒のほそ道」の作者ラズウェル細木による、家飲みがメインの酒飲み漫画。酒のつまみ作りが得意な錦之助が、隣人の未亡人やそのダーリン、料理ぎらいな居酒屋のママのために、みごとな手際でつまみを作る。捨ててしまうような魚のカブト、割れてしまった卵、スーパーの甘すぎるうなぎ、魚の缶詰めなど安価な材料を、ひと手間かけて高級料理のように変身させてしまう。
そのレシピは実用としても価値十分。そしてこの作者らしく、料理の描写がシンプルなくせにとても美味しそうなのが特徴。それに、食べたり飲んだりしている人々の表情がいい。読者を家飲みに誘う、家飲み漫画の要素をすべて備えている作品だ。

 

●湘南 いそいそ家飲み日記 (影山直美)
神奈川県の湘南地域に住む夫婦が、食材の入手、調理、酒の選択そして食器にもこだわっていかに毎日の家飲みを楽しんでいるか、そのノウハウを記した実話エッセイ。家飲みのハウツー本としてとても優れているし、実際に湘南に住んでいる人にとっては、いい食材はどこで入手できるかまで解説してくれる、貴重なガイドブックとなっている。
正確にいうとコマ割りされたいわゆる漫画ではなく、イラストエッセイ。その優しい画風がとても楽しくて美味しそうだ。あまたある自炊系グルメ漫画とちがい「酒のアテ」だけをこれでもかと紹介してくれる。出てくる料理は「3工程未満」というシンプルなもののみ。「がさつは×だけど手抜きは○」というのが作者のモットーで、誕生日などは料理したくないから全部買ってきたもので楽しく飲む、というエピソードもある。つまみを料理するというより「工面する」という感じだ。酒飲みにとっての実用度が高く、読む人を家飲みに誘うパワーが強力。

 

●はらペコとスパイス たまこキッチンへようこそ (五郎丸えみ)
料理のバラエティという点で、この作品は非常に魅力的な設定を編み出した。世界中を旅してまわった経験のある女性が、隣人の女性のために世界の料理を作って振るまうという内容だ。
たとえば、中国南部の鍋料理ピェンローや、アメリカ南部のスープ料理ガンボ。その地域ではごくフツーの料理だから、どこかで聞いたことがあるような、ないような。でも食べたことまではない。そういう料理の作り方と、どんな味がするのか、どんな酒があうのか、楽しく教えてくれる。主人公たまこの料理は、世界中の人々とつながるための扉。「はらペコとスパイス・・・」、ありそうでなかった漫画だ。

 

●うわばみ彼女 (後藤羽矢子)
同棲している若いカップルの「彼女」はとんでもない酒豪。休肝日にはビールだけで我慢するが、いつもはビール、焼酎、ワイン、ウイスキーなど何でも次から次へと飲んでしまう。そして飲んでも表情一つ変えず、カワイイ。一方彼氏のナツ君はどちらかというと下戸。これはその二人の毎日を描く4コマギャグ作品。
彼女の好きな漫画は「夏子の酒」と「レモン・ハート」と「神の雫」。キュウリは苦手だが「もろきゅう」は好き。インディ・ジョーンズでカレン・アレンが演じたマリオンのように、危機一髪の飲み比べをやったとしても、この彼女なら勝つだろう。こんなに飲めるぐらい健康で美人なガールフレンドがいたら、彼女の健康を心配しつつも、楽しいだろうなあと思う。  
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