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ウイスキー界の新しい波。カバラン(KAVALAN)の基礎知識

2008年のリリース開始からわずか10年。いま国際コンペティションを席巻する台湾発のシングルモルトウイスキー、カバラン。イエノミスタイル編集部はこのたび、カバラン蒸留所への独自取材を敢行しました!

Photo by Takashi Yasui

ライター:青田俊一青田俊一
メインビジュアル:ウイスキー界の新しい波。カバラン(KAVALAN)の基礎知識

トンネルを抜けるとウイスキーの新たな聖地があった。

カバラン蒸留所がある台湾の宜蘭(ぎらん)県は、首都台北から車で1時間強。そう書くと近いという印象がありますが、台北から宜蘭県が「近く」なったのはごく最近のこと。
 
カバラン蒸留所がある台湾の宜蘭県は、首都台北から車で1時間強。
台湾海峡側の台北から太平洋側の宜蘭までは、標高3000メートル超の雪山山脈を貫く長いトンネルが完成する2004年まで、海沿いの険しい道のりを辿る必要があり、宜蘭は長いあいだ近くて遠い陸の孤島のような場所だったそうです。
 
トンネルが完成する以前は長いあいだ近くて遠い陸の孤島のような場所だったそうです。
いまでも、トンネルを抜けて宜蘭県に入ると、風景は近代的な大都会である台北から一変し、タイムスリップしたかのようにのどかな田園地帯が広がります。

宜蘭平野の一角に生産拠点を構えていた台湾の飲料大手「金車グループ」がこの地に蒸留所を竣工したのが2005年。翌2006年にウイスキーの蒸留が開始されました。雪山山脈の深い森林と清廉で豊富な水、田園地帯の澄んだ空気というウイスキーづくりに最適な環境のなかで試行錯誤を繰り返した末、かつて宜蘭一帯に住んでいたカバラン族(噶瑪蘭族)*1の名をブランド名に冠した最初の商品をリリースしたのが2008年のことでした。それから10年、カバランは瞬く間に世界的な評価を集め、プレミアムウイスキーとしての地位を確固たるものにしました。宜蘭はウイスキーの新たな聖地となり、年間100万人を超える見学者が訪れるまでになります。
 

最新の設備と高度な蒸留技術。

最新の設備と高度な蒸留技術。
カバラン蒸留所でまず驚かされるのは、その広大な敷地と最先端の蒸留設備です。蒸留の要となるポットスチルは20機を有しており、生産量は年間1000万本と製造能力としては世界で10本の指に入る規模です。日本ではお目にかかることのできない規模の蒸留所です。

ポットスチルはすべてスコットランドのフォーサイス社製。チーフブレンダーであるイアン・チャン氏が設計の段階から携わり、カバランならではのフレーバーが抽出できるよう緻密に計算されています。求めるフレーバーに応じて、釜の形状やネックの角度や太さに至るまで試行錯誤の末に完成させた形状なのだそうです。
 
ドイツ製の連続式蒸留器
蒸留所内にはドイツ製の連続式蒸留器(グレンウイスキーを製造する蒸留器)も配置されていますが、これらはウイスキー製造用には使用しておらず、もっぱらジンなどの製造に使用しているとのこと。つまり「カバラン」ブランドのウイスキーは、すべてが大麦を原料として蒸留所内のポットスチルで蒸留される「シングルモルトウイスキー」なのです。
 
選りすぐりの部分だけを贅沢に使用することで、雑味のないクリアな原酒を抽出します
カバランの蒸留のこだわりはもう1点。それは原酒となるミドルカットをごくわずかな部分しか使わないこと。選りすぐりの部分だけを贅沢に使用することで、雑味のないクリアな原酒を抽出します。こうして高温多湿な場所での熟成を念頭に置いた原酒が完成するわけです。

ちなみにこのカバランでの蒸留技術の確立によって、インドなどこれまでウイスキー造りに不向きとされていたエリアでもシングルモルトウイスキーの製造が試みられるようになり、フォーサイス社製のポットスチルは引く手あまたとなっているそうです。このように最先端の蒸留設備と技術がカバランの味を支えているわけです。
 

亜熱帯でのダイナミックな樽熟成。

カバラン蒸留所の1番の特徴はその気候でしょう。ウイスキーの産地と聞いてまず連想するのがスコットランドやアイルランドというように、今までは「ウイスキーは寒い地方で造られるもの」というのが一般的な認識でした。それに対しカバラン蒸留所のある台湾は亜熱帯*2、そんな気候の下で造られたウイスキーが世界に評価されるに至ったのにはどんな秘密があるのでしょうか。
 
カバラン蒸留所のある宜蘭県の気候は、寒暖差があることで風味をしっかりと原液に残すことができます。
そのヒントのひとつはカバラン蒸留所のある宜蘭県の気候にあるようです。カバラン蒸留所の気候はスコットランドの代表的なウイスキー生産地であるスペイサイドと比べ、平均して気温が15度高いものの、季節による寒暖差は類似しているというのが特徴です。暑い地域でのウイスキーの熟成は風味を失いやすいという傾向がありますが、この寒暖差があることで風味をしっかりと原液に残すことができます。また平均気温が高いことで、熟成スピードも寒冷地の3〜5倍と速くなるため、寒冷地よりもダイナミックに熟成していきます。カバラン特有のトロピカルなフレーバーはこのダイナミックな熟成から得られるものではないでしょうか。

熟成スピードが速い反面、蒸発による失われるアルコール分、いわゆる「天使の分け前」は非常に多く、寒冷地で年間1〜3%が消失すると言われるのに対し、カバランでは年間10%以上ものアルコールが「取り分」として失われてしまいます。商品となる部分が、他のメーカーよりもかなり少ないのです。
 
熟成に使う樽はウイスキーの樽として定番のバーボンやシェリー、スコッチのリフィル樽をはじめ、世界各地から厳選。
熟成に使う樽はウイスキーの樽として定番のバーボンやシェリー、スコッチのリフィル樽をはじめ、ワイン、ブランデー、ポート、ラムなどの樽をチーフブレンダー、イアン・チャン氏自らが世界各地から厳選。シェリー樽は甘口のモスカテルやPX(ペドロヒメネス)から辛口のオロロソ、アモンティリャード、マンサニージャ、フィノと実にバリエーション豊かで、それぞれの個性豊かな味わいを楽しむことができるのもカバランならではです。樽の製造(再生)やチャーリング(焼き入れ)も蒸留所内で専門の職人が行う徹底ぶり。ワイン樽はチャーリング(焼き入れ)を行って使用するとのことでした。
 
原酒の詰められた樽は1つずつバーコードで管理
原酒の詰められた樽は1つずつバーコードで管理され、最低4年の歳月を経て瓶詰めのときを待ちます。クラシックやコンサートマスターなど定番商品は何種類かの原酒を緻密な計算のもとでバッティング。ソリストシリーズではブレンドや加水は一切せずに樽からそのまま贅沢に詰められ1本ずつラベルに樽固有のナンバーが記載されます。樽は5階建ての貯蔵庫で熟成。夏場は1階と5階では10度ほどの温度差があるため、熟成の進みかたも異なってきます。日本同様に地震の多い台湾ならではの事情で、地震で崩れないよう樽を縦置きで熟成させているのが印象的でした(シェリー樽だけは大きくて安定感があるので横置きだそう)。貯蔵庫は、電波が原酒に悪影響を及ぼすのを避けるため、一切の通信機器の持ち込みは禁止。正直ここまでの厳密な管理をしているとは思っていませんでした。

亜熱帯ならではのダイナミックな熟成、豊富な樽のバリエーション、それをブレンドする技術が融合し、ここにしかない芸術的なウイスキーが完成するわけです。
 
ここにしかない芸術的なウイスキーが完成

*1 カバラン族(クバラン族、噶瑪蘭族)。かつて宜蘭県の平原一帯に住んでいた人々。18世紀に漢人がこの地に入り同化が進んだものの、一部の人々は南の花蓮平原に移って現在でも独自の言語を保ち暮らしているそうです。

*2 実は「亜熱帯」というのは慣例的に使われている呼称で、かのケッペンの気候区分(中学校の地理の授業でおなじみ!)には亜熱帯という区分はありません。同区分によると台湾本島は温暖湿潤気候(Cfa)で、これは日本の本州南部やアメリカのケンタッキー州と同じ。緯度も、宜蘭県は日本の石垣島よりも北に位置します。実際、10月の宜蘭の夜は肌寒く、真冬になると厚手のコートが必須なのだそうです。
 

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