飲まず嫌いはもったいない! 紹興酒は大人に似合うお酒だった

世界三大美酒ともいわれる紹興酒の魅力を紹介します。

ライター:nonnon
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紹興酒は中国の地酒

中華料理店にあるとつい注文したくなる「紹興酒」。独特の味わいや香りが 苦手…という人もいますが、大人になるほどその美味しさが分かってくるお酒でもあります。今回はそんな紹興酒について、中国酒専門の通販サイト「酒中旨仙(うません)」を運営する門倉郷史(かどくらさとし)さんにお話しをうかがいました。
 
中国酒

中国酒=紹興酒ではない!

門倉 中国酒は原料や製法によっていくつかの種類があります。穀物を原料にした蒸留酒である「白酒」(パイチュウ)や同じく穀物を原料にした醸造酒である黄酒(ホワンチュウ)などは日本でも比較的よく飲まれているお酒です。紹興酒はもち米を原料にした醸造酒なので黄酒(ホワンチュウ)の一種になります。日本では中国酒=紹興酒というイメージもありますが、実は紹興酒は中国全土でつくられているわけではありません。 上海の南に位置する浙江省(せっこうしょう)の「紹興」という地区で作られる「原産地呼称」のお酒です。 シャンパンなどと同じように限られた地域で、一定の基準をクリアしたものだけが紹興酒と名乗ることができます。浙江省紹興市の鑒湖(カンコ)の水を使い、3年以上熟成させたものと定められています。「台湾紹興酒」というものもありますが、本来でいえば台湾黄酒、台湾老酒という名称の方が正しいです。
中国三大黄酒
作られる地域によって味の特徴も違うそうです
紹興酒は日本酒と同じ「並行複発酵」(糖化と発酵を同時にバランスよく進め高いアルコールを生みだす仕組み)で作られるお酒。同じ醸造酒であることから日本酒と似ている部分もあるそうです。

門倉 日本酒は中国の黄酒から麹酒文の技術が伝わったことによってできたお酒とも言われています。製造工程は似ていますが、原料がもち米であること麦麹を使うことなどの違いもあります。もっとも違うのは紹興酒は原酒を熟成させた後、数種類をブレンドして味を調整していること。たとえば10年熟成のものは、3年熟成3分:8年熟成3分:12年熟成4分など年代ごとの割合を合わせた平均によって10年熟成となります。ブレンドには国家規定に基づく算出法があり、それぞれの酒蔵で独自の調合技術を持っています。このブレンドの技術が紹興酒の味を決めるといってもいいと思います。
紹興酒認定マーク
国の基準を満たしている紹興酒にはこのマークがついているそうです
日本酒などは精米歩合によって、純米や純米吟醸などのランクが分かれますが 紹興酒は原料であるもち米をほとんど磨かないで作るそうです。

 門倉 日本酒のようにどれだけ磨くによって味が変わるという種類のお酒ではないので、原料のもち米はほぼ磨いていないところが多いですね。その分アミノ酸が豊富で旨味がたっぷりあります。紹興酒独特の琥珀色もアミノ酸の量が多いことが関係しています。アミノ酸と糖が貯蔵中に化学反応を起こしメラノイジンという褐色物質を生成するため、あのような色合いになります。また。熟成するときの甕から溶け出した鉄分によって、さらに色が濃くなるそうです。ただ、濃い色を出すには熟成に時間がかかるため、カラメルで着色しているところも多いようです。
紹興酒

砂糖を入れるのは日本だけ?

砂糖を入れて飲むという人もいるそうですが、この飲み方は日本独特のスタイルだとか。なぜ、こうした飲み方が定着したのでしょうか?

門倉 日本で紹興酒が飲まれるようになった頃は品質にばらつきがあり、出来のよくないものもあったため強い酸味を中和するために砂糖やザラメを入れたようですね。本場では砂糖を入れて飲むことはなく、常温・ストレートが一般的。個人的にもお酒本来の味が楽しめる、常温・ストレートをおすすめしています。香りや風味が広がる「お燗」もいいと思います。温めすぎると酸味が強くなってしまうので、36~38℃の人肌程度がおすすめです。酸味や渋みが苦手という方はロックやソーダ割りなどが飲みやすくていいかもしれませんね。

紹興酒は熟成年数が高いほど飲みやすいと聞きますが、その分お値段も高め。手頃な値段で買える、初心者にもおすすめの銘柄とは?

門倉 いろいろな銘柄を取り揃えているという酒屋さんはまだ少ないので 自分に合うものを探すなら通販を利用するのが便利だと思います。年数が浅いほど紹興酒独特の酸味や渋みがあるので、ツウの人は5年ものなどを好みますが、初心者の方なら8年とか12年とかのほうが飲みやすいと思います。
ただ、年数だけでなく、製造法などによっても味わいは変わってくるので銘柄で選ぶのもいいと思いますよ。紹興酒はつくられる地域によっても特徴があります。私が運営しているサイト「酒中旨仙」で取り扱っている中から初心者の方でも飲みやすい 銘柄をいくつかご紹介したいと思います。

紹興酒ビギナーにおすすめの銘柄は?

「東湖12年(ドンフー)」
製造している「浙江東方紹興酒有限公司」は1979年設立で紹興酒を作るメーカーの中では新しい会社ですが、個性的な紹興酒を作ることで注目されています。東湖は紹興の東に位置する湖で、レジャースポットとして有名な場所。湖の水がキレイなことで知られています。そんな豊かな風土で、こだわりの手作り製法で作られている紹興酒はまろやかでやさしい味わい。初心者はもちろん、上級者にもファンが多い銘柄です。
東湖12年(ドンフー)
まろやかで飲みやすく、香りも穏やかです
「女児紅」(ニューアルホン)10年」
東路における最大の紹興酒蔵。六大紹興酒に数えられた老舗ブランドです。女児紅は多くの中華料理店で見かけることができ、なじみのある紹興酒のひとつだと思います。丸いボトルで5年ものが多いのですが、こちらの10年ものは旨味が深く、キレもあります。どちらかといえばツウ好みのお酒ですが、初心者でも王道の味わいを体験したい、という方にはおすすめです。
女児紅」(ニューアルホン)10年
紹興酒好きにも人気の銘柄
「金朱鷺黒米酒(ヘイミー)」   
西安の南、陝西省洋県で作られている黄酒(ホワンチュウ)。地域が違うので紹興酒ではありませんが、黒米を原料にして米もしっかり磨いているので雑味がなく、すっきりとしていながらフルーティーな味わいもあり、紹興酒が苦手という人でも美味しく飲めるお酒です。
金朱鷺黒米酒(ヘイミー)
ワインのような風味もある黒米で作った黄酒
門倉 紹興酒は中華料理のようなパンチの効いた料理と相性がいいお酒。中華以外でも濃いめの味付けのものと合わせるのがおすすめです。熟成が進んだまろやかなタイプなら、ワインやドライシェリーのような楽しみ方もできるので、ぜひじっくり味わってみてください。
 

この方にお聞きしました

門倉郷史(かどくら さとし)さん

中国酒を専門に扱う通販サイト「酒中旨仙」http://www.umasen.co.jp/を運営。中国酒の魅力にハマり、「現地に訪れたり、日々黄色酒を嗜む日々」好きなお酒は好きな黄酒は東湖12年。

門倉郷史(かどくら さとし)さん
※記事の情報は2019年4月27日時点の情報です。
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