愛でて味わうオイルサーディン缶詰。アレンジおつまみも紹介!

かつてはバーのごちそうだった「オイルサーディン」の缶詰。そんな古き良き酒文化に思いを馳せながら、有名ブランドのオイルサーディンを食べ比べ! オイルサーディンを使った、すぐに真似したくなるアレンジレシピもご紹介します。

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オイルサーディンの缶詰には“酒文化”が詰まっている!

オイルサーディン
缶の蓋をパカッと開けると、黄金色のオイルのなかに礼儀正しく並ぶイワシ…。この芸術性すら感じさせる美しい佇まいが、どれだけ多くの愛酒家たちを清く正しいお酒時間へ誘ってきたことでしょう。

とりわけバーがサラリーマンの社交場として賑わっていた昭和30年代頃、オイルサーディンとコンビーフの缶詰はバ一カウンターの一番のごちそうで、みんな襟を正して味わっていたそうです。

いまや家飲みでも人気の魚系缶詰といえば、安い!うまい!栄養満点!の「サバ缶」の一人勝ち状態。しかしオイルサーディンの缶詰を開けてみてください。そこには他の缶詰からはなかなか得られない、酒文化の香りが今も変わらず詰まっているのです。

ところで「オイルサーディン」って?

イワシ
「オイルサーディン」は小型のイワシの頭と内臓を取り除いて塩漬けにし、香辛料などとともにオイルで煮たものです。

オイルサーディン自体がどこで生まれた料理なのかははっきりしませんが、実は日本で最初に作られた缶詰はオイルサーディン。明治時代に長崎の松田雅典(まつだ がてん)さんがフランスから持ち込まれた牛肉の缶詰を見て、「缶詰」という新しい保存食スタイルに感動、イワシの油漬け缶詰を作ろう!と思い立ったんだそうです。

オイルサーディンの缶詰、常備するならどれ?

そんな松田雅典さんの努力によって生まれたオイルサーディンの缶詰。家にストックしておいて、そこに好きなお酒があればもうそれだけで十分。ぜひ令和の家飲みにも取り入れてみようではありませんか!

ということで、有名ブランド7商品を編集部員で食べ比べ。家に常備するならどれかを探ります。
オイルサーディン7品
①はごろも&キングオスカー オイルサーディン
②ニッスイ オイル・サーディン
③千葉直送サービス オイルサーディン(銚子湾マイワシ油漬け)
④K&K缶つま 日本近海獲り オイルサーディン
⑤明治屋 日本近海育ちのオイルサーディン
⑥竹中罐詰 天の橋立 オイルサーディン
⑦竹中罐詰 サンフェース印 オイルサーディン(業務用)

オイルサーディン缶詰①|はごろも&キングオスカー オイルサーディン

はごろも&キングオスカー オイルサーディン
■DATA
原産国:ポーランド
原材料:いわし、大豆油、食塩
固形量:75g 内容総量:105g
価格:346円(税込)
内容尾数(編集部調べ):9尾
編集部員A

編集部員A

はごろもフーズが販売する「キングオスカー」ブランドのオイルサーディンです。キングオスカーはノルウェーとスウェーデンの統一王・キングオスカーⅡ世のことで、その国王も認めたおいしさってことで、この名前を冠しているそうです。

編集部員E

編集部員E

すごくきれいにイワシが並んでますね。さすがキングから認められただけある。

 編集部員R

編集部員R

私オイルサーディンって初めて食べるんですけど、結構味付けが控えめなんですね。

編集部員A

編集部員A

そうなんです。オイルサーディン自体は、そのままだと薄めの味です。だからバーなんかでは、少し醤油をたらしたりレモンスライスをのせたりして出されることが多いです。

編集部員H

編集部員H

私もオイルサーディンというものを初めて食べましたけど、思ったより脂っこくなくておいしいです。

編集部員E

編集部員E

ウイスキーハイボールに良く合うね。おいしい。白ワインに合わせるには、ちょっと魚の匂いが気になるかな。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★★★☆
おいしさ   ★★★☆☆
おすすめのお酒:ウイスキー、ビール

オイルサーディン缶詰②|ニッスイ オイル・サーディン

ニッスイ オイル・サーディン
■DATA
原産国:日本
原材料:いわし(国産、植物油脂、食塩、野菜エキス、月桂樹/調味料(アミノ酸)
固形量:75g 内容総量:110g
価格:306円(税込)
内容尾数(編集部調べ):12尾
編集部員A

編集部員A

次はニッスイのオイルサーディンです。今回集めた中で一番安価でした。

編集部員H

編集部員H

たしかに価格が見た目に表れている感じが…。さっきのキングオスカーみたいに缶を開けたときの高揚感はあまりないです。

編集部員E

編集部員E

味もさっき食べたのとは全然違うね。これはローリエの香りがすごくする。

 編集部員R

編集部員R

ちゃんと味付けされていて、塩味が効いてます。おいしい。

編集部員J

編集部員J

ローリエの香りのおかげで生臭さもなくて、白ワインにも合いますよ。

編集部員H

編集部員H

お醤油とかかけなくても、そのままでおいしいオイルサーディンですね。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★☆☆☆☆
おいしさ   ★★★★☆
おすすめのお酒:白ワイン、ウイスキー

オイルサーディン缶詰③|千葉直送サービス オイルサーディン(銚子湾マイワシ油漬け)

千葉直送サービス オイルサーディン(銚子湾マイワシ油漬け)
■DATA
原産国:日本
原材料:まいわし(銚子港)、なたね油、ローリエエキス、食塩
固形量:70g 内容総量:100g
価格:410円(税込)
内容尾数(編集部調べ):2尾
編集部員A

編集部員A

次は大きめサイズのイワシが2尾入ったこちら。千葉県銚子産のマイワシを使っているそうです。

編集部員H

編集部員H

この大きさだと見た目はオイルサーディンっていうよりサバ缶っぽいですね。

編集部員J

編集部員J

これだけの大きさがあると、イワシそのもののおいしさがダイレクトに感じられますね。魚食べてるって感じがします。

編集部員E

編集部員E

ローリエの香りもさり気なく効いていて、良いですね。好き。

 編集部員R

編集部員R

塩味は控えめで、その点はキングオスカーに似ています。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★☆☆☆
おいしさ   ★★★★★
おすすめのお酒:白ワイン、赤ワイン、焼酎

オイルサーディン缶詰④|K&K缶つま 日本近海獲り オイルサーディン

K&K缶つま 日本近海獲り オイルサーディン
■DATA
原産国:日本
原材料:いわし(国産)、オリーブ油、食塩
固形量:75g 内容総量:105g
価格:540円(税込)
内容尾数(編集部調べ):8尾
編集部員A

編集部員A

次はK&K「缶つま」シリーズのオイルサーディンです。日本近海で獲れた新鮮ないわしを使用、とのこと。

編集部員H

編集部員H

お箸で取った時にまったく身が崩れない! すごく引き締まってます。

編集部員E

編集部員E

良いオリーブオイルの香りがする! オイルのおいしさで勝負しているのが分かる。

 編集部員R

編集部員R

オリーブオイルが魚をまるっと包み込んで、生臭さも消してくれている感じがします。

編集部員H

編集部員H

それにすごく白ワインに合いますね

編集部員J

編集部員J

確かにオリーブオイルの存在感が強い。僕としてはもう少し魚の味も感じたいかも。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★★☆☆
おいしさ   ★★★☆☆
おすすめのお酒:白ワイン

オイルサーディン缶詰⑤|明治屋 日本近海育ちのオイルサーディン

明治屋 日本近海育ちのオイルサーディン
■DATA
原産国:日本(製造は竹中罐詰)
原材料:いわし(国産)、綿実油、食塩、香辛料(月桂樹の葉)
固形量:70g 内容総量:105g
価格:594円(税込)
内容尾数(編集部調べ):12尾
編集部員A

編集部員A

次は輸入食品や高級食材を販売するスーパー「明治屋」のオイルサーディンです。製造は、この後に登場する老舗缶詰メーカー「竹中罐詰」が行っています。

 編集部員R

編集部員R

594円、結構お値段するんですねー。さすが明治屋。イワシの姿も美しいです。

編集部員E

編集部員E

あれ、昆布入ってる?

編集部員A

編集部員A

それはローリエですね。オイルは綿実油(めんじつゆ)っていうワタの種子を原料としたものを使っているそうです。

 編集部員R

編集部員R

塩味がうっすらで、とても繊細な味

編集部員J

編集部員J

イワシの身もふっくら柔らかい。骨なんか一切感じません。

編集部員H

編集部員H

油も染み込みすぎてないから、さらっと食べられていいですね。日本酒とか焼酎とか、和酒にも合う上品な味です。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★★★☆
おいしさ   ★★★★☆
おすすめのお酒:日本酒、焼酎、白ワイン

オイルサーディン缶詰⑥|竹中罐詰 天の橋立 オイルサーディン

竹中罐詰 天の橋立 オイルサーディン
■DATA
原産国:日本 原材料:いわし(国産)、綿実油、食塩、月桂樹の葉
固形量:65g 内容総量:105g
価格:572円(税込)
内容尾数(編集部調べ):14尾
編集部員A

編集部員A

続いて、オイルサーディン好きが憧れる、竹中罐詰の「天の橋立」ブランドです。

編集部員H

編集部員H

なんて美しい!! キラキラと輝くイワシが一糸乱れずに整列していて、まるで宝箱の中を見ているみたいです。

編集部員A

編集部員A

なんと、イワシの下処理から缶に詰めるまでの工程を手作業で行っているそうです。まさに神業ですよね。

 編集部員R

編集部員R

本当にすごいですね。よくイワシにひとつも傷をつけないで詰められますよね。

編集部員E

編集部員E

さっきの「明治屋」のと比べると、こっちのほうがイワシの味がしっかりする。

編集部員J

編集部員J

確かに。小さめのイワシなのに味は力強い。ウイスキーハイボールやビールによく合います


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★★★★
おいしさ   ★★★★★
おすすめのお酒:ウイスキー、ビール

オイルサーディン缶詰⑦|竹中罐詰 サンフェース印 オイルサーディン

竹中罐詰 サンフェース印 オイルサーディン
■DATA
原産国:日本 原材料:いわし(国産)、綿実油、食塩、月桂樹の葉
固形量:65g 内容総量:105g
価格:644円(税込 ※通販で購入、配送料別)
内容尾数(編集部調べ):14尾
編集部員A

編集部員A

最後は“オイルサーディンの至宝”とも呼ばれている、竹中罐詰「サンフェース印」のオイルサーディンです。飲食店向けの商品で一般向けにはあまり売られていないんですけど、ネット通販でゲットしました。

 編集部員R

編集部員R

イワシの並び方も美しいですけど、缶のデザインがレトロでいいですね。

編集部員A

編集部員A

昔からあるブランドで、缶詰つまみでも有名な銀座のバー「ロックフィッシュ」でもこれが使われています。

編集部員E

編集部員E

プロが贔屓にしているだけあって、確かにおいしい。身の食感がしっかりめで、「天の橋立」より魚感がさらに強い

編集部員H

編集部員H

食べた後に残る風味が、なぜかコンビーフに似ているような。

編集部員J

編集部員J

家に常備するにはちょっと高級すぎますね。これはやはりバーとかで、プロが作ったウイスキーハイボールと一緒に味わいたいかも。


【みんなの評価】
芸術的美しさ ★★★★☆
おいしさ   ★★★★★
おすすめのお酒:ウイスキー、ビール

私が常備したいオイルサーディン缶詰はこれ!

編集部員E

編集部員E

もともとイワシが大好きなので、家にストックするなら魚食べてる!って感じがした千葉直送サービスの「銚子湾マイワシ油漬け」かな。

 編集部員R

編集部員R

私は濃い味が好きなので、「ニッスイ」に軍配が上がりました。そのまま食べてもおいしいし、値段も安いし。

編集部員J

編集部員J

僕は「明治屋」のオイルサーディンかな。見た目も美しいし、身もふっくら繊細な味わいで。トータルでのバランスが一番良かったです。

編集部員H

編集部員H

私は竹中罐詰の「天の橋立」ですね。味ももちろんなんですが、この美しい佇まいに惚れ惚れしました。缶を開けるたびに目の保養になりそうです。

真似したい! あの人の簡単オイルサーディン缶詰レシピ

オイルサーディンの缶詰は、そのままでももちろんおいしいですが、ほとんどのものがあっさりとした塩味なので、色々とアレンジも楽しめます。

そこで、オイルサーディンに魅了されたあの食いしん坊や酒のプロが披露する超簡単なアレンジレシピを再現。中には缶のまま直火にかけるレシピもありますが、かーなーり油がはねます。くれぐれもご注意の上、調理してください。
 

①銀座・ロックフィッシュの「オイルサーディン山椒焼き」

①銀座・ロックフィッシュの「オイルサーディン山椒焼き」
「サンフェース印」の試食コメントの中でも触れましたが、銀座の「ロックフィッシュ」は店主が作る缶詰つまみが絶品なことでも知られる人気バー。そこの代表的なメニューが「オイルサーディン山椒焼き」です。火を入れて香ばしくなったイワシに爽やかな山椒がピリリと効いて、これだけでウイスキーハイボールが2~3杯イケます。

【作り方】
①オイルサーディンの油をきって、酒と醤油を小さじ1ずつ加える
②胡椒をふり、実山椒をのせ、オリーブオイルをまわしかける
③缶のままごく弱火で4~5分、ふつふつするまで火にかける(※油はね注意!)
 

②高峰秀子さんの「あつあつサーディン」

②高峰秀子さんの「あつあつサーディン」
次は名女優・高峰秀子さんによるエッセイレシピ『台所のオーケストラ』で紹介されていたこちら。シャキシャキの生玉ねぎとレモンのおかげで、オイルサーディンをさっぱり無限に食べられます。ハイボールや白ワインはもちろん、日本酒にも合うオツな味。

【作り方】
①缶詰のフタを開けて、缶ごとオイルサーディンをごく弱火にかける(※油はね注意)
②オイルサーディンがあたたまってきたら、酒と醤油をひとたらしし、ふつふつと煮えたら火からおろす
③みじん切りにした玉ねぎをたっぷりのせ、刻んだパセリを散らし、レモン汁をかける

▼高峰秀子さん『台所のオーケストラ』の再現レシピはこちらにも!

③平松洋子さんの「いわしバター」

③平松洋子さんの「いわしバター」
最後は、冷えた白ワインに合わせて食べたいこちら! エッセイストの平松洋子さんが、あるファッション誌に連載している『小さな料理 大きな味』というエッセイの中で紹介していた「いわしバター」。イワシ、バター、レモンが出会うと、こうも洒落た味になるとは…と驚くはずです。平松さんはこれを瓶に詰めて冷蔵庫に常備し、「バゲットの断面にぎゅーっと塗りこめて」かぶりついているそう。

【作り方】
①油をきったオイルサーディンをボウルで荒く潰し、レモン汁をかける
②やわらかくしておいたバター40gを①にふんわり合わせる感じで混ぜ、塩こしょうで味を調える
③容器に入れ、冷蔵庫で冷やし固める。

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このように、愛でて良し!そのまま食べて良し!手を加えて良し!の「オイルサーディン」缶詰。ぜひお気に入りを見つけて、家にいくつかストックしてみてはいかが?

※記事の情報は2021年11月29日時点のものです。


【参考文献】
間口一就 『銀座ロックフィッシュ直伝 誰でもカンタン らくらくつまみ』世界文化社
高峰秀子『高峰秀子のレシピ―「台所のオーケストラ」より』ハースト婦人画報社
平松洋子『小さな料理 大きな味(GINZA 2020年5月号)』マガジンハウス
「日本植物油協会」HP
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