週末北欧部 chika『かもめニッキ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊴》

北欧を愛するchikaさんが綴るコミックエッセイ『かもめニッキ』から、アメリカのジャンクフード「バッファローウィング」を再現(北欧料理じゃないのはご愛敬…)! 大胆にかぶりつきながら、ビールと一緒に楽しみました。家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:週末北欧部 chika『かもめニッキ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊴》

北欧好きが昂じて現地の寿司職人を目指した女性が夢を叶える前向き日記。

◾こんな本です

  ※画像をクリックすると講談社コミックプラスのページにジャンプします。

『かもめニッキ』は、「週末北欧部」というアカウント名で北欧への愛を綴ったSNSの投稿やウェブ連載が大人気のchikaさんが送る、実録コミックエッセイです。

 chikaさんは小学生の頃に英会話スクールでサンタさんへの手紙を書いたことをきっかけにフィンランドの存在を知り、大学時代に初めて現地を訪れます。その時に感じた「ここに住みたい!」という気持ちは年々強くなり、32歳にしてみごと移住の夢を叶えました。

『かもめニッキ』は、「フィンランドで暮らすために寿司職人になろう」と決心したchikaさんが、東京で激務の会社員として働きつつ寿司学校に通ったり寿司店で修行をしたりして少しずつ夢の実現に近づいている日々をリアルタイムで描いた絵日記をまとめたもの。chikaさんは赤い帽子をかぶったカモメのキャラで登場し、いつもお目目が ◠ ◠ こんな風に笑っているのがかわいくて癒されます。

ここに至るまでは、転職や中国への赴任、突然の入院など、側から見ればとても大変な人生の転換期を経てきたchikaさんですが、常に楽しみながらポジティブに乗り越える様子が読み手まで励ましてくれる、とても素敵な日記なのです。

中でも私が「すごい!」と思ったのが、chikaさんが激動の1年を振り返った日のお話。

海外赴任後、長年続けて得意とする営業職から人事部へ異動して、あまりにも違いすぎる業務内容に戸惑った日々のことも、愚痴や弱音を添えることなく「何年経っても新人になれるのっていいなと思った」と振り返るchikaさん。

しんどいことも決して環境や他人にせいにすることなく、自分の中でいい方向に昇華させていくchikaさんの、「何が起こってもすべてに意味があるんだなァ」という呟きに重みを感じます。

chikaさんを知るまで北欧に興味を持つきっかけすらなかった私ですが、SNSや著書を追いかけるうちにだんだん魅力を感じるようになってきました。

ニシンのマリネやトナカイ(!)まで、名物料理が揃うフィンランドビュッフェや最古のマーケットで味わえる具だくさんなシーフードスープ、国民的カクテルの「ロンケロ」や味の想像がつかない「サルミアッキウォッカ」といった食べ物&飲み物、そして、水辺のサマーコテージで好きなように過ごしたり、真冬に湖畔のサウナで温まった後に凍った湖に飛び込んだりというフィンランド人が好きな“お楽しみ”。これは惹かれますわね〜。

あー、いつかフィンランドに行ってみたい。

幼い頃のchikaさんが夢みた気持ちを、この本を通して自分でも抱いてしまった方は多いのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。

『かもめニッキ』ここを再現

chikaさんの周りには日本人もフィンランド人も心温かくいい人ばかりが集まっていて、東京在住時は仲のいいご友人がお隣のマンションに住み、日々交流をしていたそう。

『かもめニッキ』にはその様子も度々登場します。

ある日、昔から作りたいと思い続けていたアメリカのジャンクフード「バッファローウィング」に挑戦することを決めたchikaさんは、ご友人にビールの用意を頼んで「バッファローウィング祭り」を開催。

chika /講談社『かもめニッキ』より
“明らかに2人分の量を超えている…”というボリュームのバッファローウィングをペロリと完食されました。

chika /講談社『かもめニッキ』より
これがとてもおいしそうで、ぜひ真似したい! と再現チャレンジ。

え、北欧関係ないやん!? ですって?(うん、それ、自分でもちょっと気になったんですけどね)

北欧ネタは、ぜひchikaさんの本でご堪能いただけたらと〜。

バッファローウィングとは?

1964年、アメリカ北部・ニューヨーク州にあるバッファロー市で誕生した料理。

『アンカーバー』というレストランバーのテレサさんが、閉店間際に訪れた腹ペコな若者たちのために思いつきで作ったメニューがヒットし、アメリカ全土に広まったという。

王道のスタイルは、カリッと揚げた手羽(ウィング)にタバスコと酢を混ぜた酸っぱ辛いソースを絡め、セロリやにんじんの野菜スティックを付け合わせにする。そこにブルーチーズのソースを添え、ウィングや野菜につけて食べるのが「バッファローウィング」なのだ。

(参考資料 『パンツを脱ぐ勇気』児玉教仁/ダイヤモンド社)←chikaさんの影響で私も読んでみましたがこれも面白い本でした!

chikaさんの日記には材料がサラリと書かれているだけなので、ネットでレシピを検索したら日本語だけでもかなりの数がヒット。そして、それぞれに材料も分量も異なること異なること。どれを選べばいいのかわからなかったので適当にレシピをミックスして作ってみました。

バッファローウィングのレシピ

<材料>
鶏の手羽元、手羽先(どちらかだけでも)
塩コショウ
小麦粉
揚げ油
セロリやにんじん(生のままスティック状にカット)

▼(A)ウィングに絡める酸っぱ辛いソース
・ケチャップ
・タバスコ
・溶かしバター
・酢

▼(B)ディップ用ソース
・ブルーチーズ
・牛乳

詳しい作り方の前に、まずは大まかな作業手順を。

① AとBのソースをそれぞれ作る。
② 野菜スティックを用意する。
③ 手羽を揚げている間に、皿や野菜スティック、酒などをテーブルに用意しておく。
④ 手羽が揚がったらソースに絡める。
⑤ すぐに皿に盛り、熱々を食べる。

揚げている間にソースを作ろうとしたらかなりバタバタになってしまったので、熱々をじっくり楽しむためにも事前の用意が大切だと実感しました。ご参考になれば幸いです。

なお、本場では鶏の「手羽中」を使うという説が多かったのですが、chikaさん同様に日本でも入手しやすい手羽先と手羽元を使っています。

<作り方> 
① 大きめのボウル(耐熱性のもの)にAの材料を入れてよく混ぜる。タバスコは少しずつ加えて好みの辛さにしてください。
② 鍋に牛乳とカットしたブルーチーズを入れて弱火で加熱する。チーズが溶けたら器に移しておく。
③ 手羽先、手羽元に塩コショウを振り、全体に薄く小麦粉をまぶす。※食品用ポリ袋の中でやると洗い物が出なくて便利です。
④ 160度に熱した油で③を揚げる。片面5分ずつくらいが目安。
⑤ 揚げたてを①のボウルに入れて全体にソースを絡める。
 
バッファローウィング

食べてみました!

バッファローウィングは素手で食べるのが本式らしいので、アチチと言いながら喰らいつきます。まずはそのまま。タバスコが鼻にツーンとくる酸っぱ辛いソースがジューシーな鶏肉にたっぷりと絡み、ガツンとしたうまさにやられます。ビールだビールだビールがいるぞ! chikaさんに倣って用意しておいたバドワイザーをゴクゴクゴクリ。アメリカンな薄いビールがめちゃ合いますね〜。

しかし、手も口の周りも一撃で真っ赤でベトベトですわ。お召し上がりの際は、濡らしたおしぼりかタオルをお忘れなく。紙ナプキンやティッシュでは多分追いつきません。
バッファローウィング 手羽先
バッファローウィング 手羽元
ブルーチーズソースにつけてみると、ミルキーさとブルーチーズのクセが味に深みを加えてくれます。これも間違いなくうまーーい! こっくり&がっつり味の合間に、生野菜の清涼感がなんとも嬉しい。組み合わせの妙に感嘆しつつ、どんどん骨を積み上げていきました。そうそう、付け合わせにはもうひとつ「大根の酢漬け」(レシピ外)も作りました。chikaさんがご友人に「これは韓国のヤンニョムチキン用では?」とつっこまれている一品です。さっぱりしてよいつまみになりましたので、気になる方はこちらもぜひおためしを。「チキンム」という料理名で調べるとレシピがたくさん紹介されていますよ。

そして、ビールのほかに用意したお酒は、chikaさんが大好きだというフィンランドのカクテル「ロンケロ」。
フィンランドのカクテル「ロンケロ」
ジンをグレープフルーツジュースとトニックウォーターで割った「フィンランドの酎ハイ的なカクテル」なのだそう。

本場ではレシピもいろいろあるのでしょうが、簡易版は家庭でも簡単にできちゃいました。配合はchikaさんの『マイフィンランドルーティン』に載っています。

爽やかで甘さ控えめなので、クイクイ飲めるのが最高っ。フィンランドの人たちはサウナの後に好んで飲むのだそう。それはさぞかしおいしいでしょうね。

もちろん、パンチの効いたバッファローウィングにもバッチリ合いました。

おまけ

chikaさんの欄外のひと言も見逃せず、余った(というかわざと余らせた)ブルーチーズソースでリゾットも作りました。これでまた飲めた〜。
ブルーチーズソースリゾット

***

北欧本の紹介なのにアメリカ料理でよかったかしらと悩んだことも忘れるほど、大ヒットなおつまみでした。

私はひとりで作ってひとりでペロリと完食しましたが、chikaさんのようにお友達や仲間とわいわい食べたらもっと楽しかっただろうなぁと静かに涙をぬぐった次第です。

皆様方におかれましては、口の周りが真っ赤でも気にしないような親しい人たちとの家飲みにバッファローウィング祭りを再現されるとさぞかし素敵な時間になることと存じます。ぜひー!

※記事の情報は2023年1月10日時点のものです。
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