2018.03.06
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イタリア男子に学ぶ、モテる家飲み(1)

イタリア男子に学ぶ、モテる家飲み(1)

いかにもモテそうなイタリア男子に、モテる家飲み術を伝授してもらいたい! NHK-Eテレの「旅するイタリア語」に出演中のマッテオさんにお願いして、イケタリアン(イケてるイタリア人)によるイタリア流おもてなしを体験させていただきました。

イケタリアン(イケてるイタリア人)におもてなし術を学びたい

ご存知の方も多いだろうが「ちょい不良(ワル)」という言葉は、イタリア人の着こなしを形容するものとして生まれた。オジサンでもダサくない。それどころか遊びと渋みが同居する独特のセンスを醸し出す。そんな格好良さをカジュアルに表現したのがこの言葉だ。それを日本語で「粋」と言い換えてもいいだろう。そしてこの「イタリア流粋」の感覚は、ファッションにとどまらず、ワインや食事や余暇の過ごし方、言わばイタリア人のライフスタイルに行き渡っている。

 

そんな素敵なセンスを、この「家飲み」にも取り入れよう。そう思った矢先、筆者が監修を担当するNHK-Eテレの「旅するイタリア語」に出演中のマッテオさんと、渋谷の某スタジオの廊下で顔を合わせた。バイオリニストの古澤巌さんと南イタリアの魅力をたっぷり紹介してくれている、「イケタリアン」(イケてるイタリア人)だ。冬でも短めのパンツルック、足首丸出し。ピアスに、ブレスレットに、ティアドロップのサングラス。ワーオ、ちょい不良の塊が来た。おじさんである筆者の心もトキメイテしまった。早速取材をお願いすると、「Volentieri!(よろこんで)」と快諾。そんな気安さも格好良いのである。

さて「一緒にランチでも楽しもうよ」と、イタリア語の学校で料理教室も行うマッテオさん、今日は自ら腕を振るってくれます。もちろん、おいしい料理とワインを楽しみに伺うのですが、この取材のポイントは「イタリア流粋」の秘密を探ること。そこで外せないのが「女子目線」。一体、何が格好いいのか、女性の感性で指摘してもらう必要があると私は考えたのです。そこで助っ人として、この春大学を卒業するピカピカの社会人一年生リサさんに協力をお願いしました。フレッシュな彼女にイタリア流のおもてなしを体験してもらうことにします。

さて実を言うと、この日私は、待ち合わせに遅刻してしまいました。一人だけ現場で合流。恐る恐る階段を上がっていくと、部屋から漏れ聞こえてくるのは何と笑い声。この日はリサさんのほかに、カメラ担当のK女史も同行してくれていたのですが、このKさんのカメラで個人的な撮影会が催され、すでに3人で盛り上がっていたのです。初対面なのに、すっかりこの和みよう。真面目に詫びる私を「どうってことないよ」と笑い飛ばし、遊びに興じるマッテオさん。そんなところがもうイカしてます。

まずはサラダで女子のハートを掴みます

ではいよいよ、調理開始。この日のランチには3品を用意してくれました。まずは前菜の「イカとセロリのブラックオリーブ・サラダ」。材料は次の通り。

◆材料(4人分)

・イカ…… 2杯

・ニンジン……1本

・セロリ……1茎

・黒オリーブ(種なし)……100g

・イタリアン・パセリ……1パック

・レモン……1/2個

・ニンニク……1かけ

・エクストラ・バージン・オリーブオイル……適量

・塩、コショウ……適量

まずはイカをきれいに洗います。この日は時間短縮のため、切り身のイカを買ってきましたが、丸ごと捌くときには身は輪切りに。下足の部分は細かめに、食べやすい大きさに切ってください。下の写真をご参考に。

マッテオ「イカは好きですか?」

リサ「はい。父がよく釣りに行くので、魚介類は何でもよく食べます」

マッテオ「イタリアでは、このサラダ、タコで作るよ」

リサ「ああ、タコでも合いそう」

マッテオ「イタリアでは、タコは丸ごと買ってくるよ。生きてるやつ。日本ではだいたいタコは茹でて、切った形で売ってるでしょ。それ、このサラダにはよくない。だからイカで作るの」

リサ「なるほど。イタリアでタコ・バーションも食べてみたくなったな」

 

イカを介して、このように会話が弾んでいます。相手の好みを気遣いつつ、さりげなく興味深い日伊比較の話に持ち込むマッテオさん。いい感じに女子のハートを掴んでいますね。

モテ料理は、健康への気配りと”見せ場”が大事!

さて、イカの処理ができたら、塩をしたお湯で茹でます。

そうして茹で上がったイカをザルに上げて、冷まします。

続いて、イカを冷ましている間に、セロリを切ります。ひと口大が適当。続いて、黒オリーブを細かく輪切りに。

 

リサ「オリーブは家でも食べるけど、よく余るんですよ。この使い方いいですね」

マッテオ「オリーブに塩味が入っているから、ほとんど塩は使わなくていい。だから、健康にもいいね」

リサ「ぜひ、家でもやってみたい」

 

自分でも作ってみたいと思わせるところ、モテ料理には大事です。シンプルだけど、見た目よく、体にも優しいなんて。そりゃ、作りたくなるでしょ。

 

さて、切った野菜はイカと一緒にボウルにまとめておきます。こんな具合に。

さらにマッテオさん、おもむろにニンジンを取り出し、ピーラーで皮をむきます。と思いきや、そのまま身の部分もピーラーでスライスしていき、ボウルの中へ。

 

リサ「わあ、彩りがこんなにおしゃれ。美味しそう。もう食べたいです(笑)」

マッテオ「セロリの緑とオリーブの黒、ほかに明るい色がほしいと思ってね。色を組み合わせるのは、服だけじゃないよ」

色への感性が豊かなイタリア人ならではの発想。まるで絵を描いているようです。まだ途中なのに、ついフライングして食べたいと思わせるこのテクニック、いただきたい。

 

さあ続いて、ドレッシング作り。まずはイタリアンパセリをみじん切りに。

器を用意して、パセリ、ニンニク1かけ(香りが付いたら取り出します)、オリーブオイル、塩ひとつまみを一緒に入れます。すると、こんな感じに。

最後にレモンを絞ります。このとき、再びマッテオさんのひと工夫。何と、彼の手にあるのは「茶こし」です。これでレモンの種を受けるというわけ。

 

リサ「レモンはちゃんと絞るんですね」

マッテオ「イタリアでは、レモン汁は売ってません(笑)。日本ではレモン汁が瓶に入って売ってるけど。生を絞る方が断然おいしい」

リサ「そうかあ。わあ、香りが広がって、さわやか(笑)。なんだか、見ていて楽しい」

ドレッシング作り一つにも見せ場を用意するわけですね。大雑把さと繊細さと。それがお客を引きつけるのです。

 

さあ、いよいよ料理は仕上げの段階に。ボウルに入っているイカと野菜に、このドレッシングを加えます。まずはざっくり混ぜて、こんな感じに。

最後に、軽く塩とコショウで味を整えながら、もう一度全体にドレッシングが行き渡るよう混ぜ合わせたら、出来上がりです。

料理と相性の良いワインを調べておくことも重要!

イタリアの食事には、ワインが欠かせません。料理に相性の良いワインをあらかじめ調べておくことも、イタリア流のおもてなしには重要です。マッテオさん、今日はこの前菜に軽めの辛口白ワインをセレクトしてくれました。

 

マッテオ「イカなど魚介類には、やっぱり白だね。今日は北イタリア産のピノ・グリージョを用意したよ」

イカを使っているけれど、あくまでも「サラダ」なので、白ワインの中でも新鮮さを損なわない程度の軽い辛口がいい。イタリアの白の場合、味わいのきめ細かさでは北部のワインの方が優れています。繊細な料理に合う白ワインを熟知しているところも、気が利いていて、さすがですね。

さあ、ではお待ちかね。Alla salute!(健康を祝して)、ランチの始まり。

リサ「最初のひと口で、もう元気が出ます。見た目繊細だけど、食べてみると野菜の味が力強い。全体に薄味だけど、オリーブがきいていて、ワインにぴったりの塩加減だと思います。もう、どんどん食べれちゃう」

 

単なるサラダ作りも、イタリア人の手にかかればエンターテイメントに。それを実感した一品目でした。「明るい、楽しい、元気が出る」、そんな空気を作り出すイタリア流おもてなしは、お客を招いた家飲みの参考にしたいですね。さて、すっかりマッテオ・ワールドに引き込まれていましたが、これは単なるジャブに過ぎませんでした。次回、さらにパンチのある料理が登場。お楽しみに!

 

※記事の情報は2018年3月6日時点のものです。

京藤好男

京藤好男

東京外国語大学イタリア語学科卒業。1995年ヴェネツィア大学留学。イタリア文学専攻。その滞在期間中、ヴェネト州のヴェローナ、ピエモンテ州のランゲ、トスカーナ州のモンタルチーノなど、ワイン名産地の人々と親交を持ち、イタリア・ワインに親しむ。現在、慶應義塾大学など複数の大学で講師を務めるほか、2006-2008年にNHKラジオ『イタリア語講座』、2007年にNHK『テレビイタリア語会話』で講師を務めるなど、様々なメディアで講師活動をしつつ、ワインを始めとするイタリア文化の普及に努めている。著書に『指せば通じる旅のらくらく会話 イタリア』、『文法から学べるイタリア語』(共にナツメ社)、『中級へのイタリア語文法』(三修社)など多数。

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