意外と簡単! 日本酒がすすむ「かまぼこ」を手作りしてみた!

新鮮な魚さえ手に入れば、身近な道具や材料で作れる「かまぼこ」。コツやレシピも詳しく紹介するので、ぜひお試しください!

ライター:千鳥子千鳥子
メインビジュアル:意外と簡単! 日本酒がすすむ「かまぼこ」を手作りしてみた!
時間に余裕のある休日を利用して、普段はお店で買うようなおつまみをあえて手作りしてみようという「週末チャレンジ」企画。前回のソーセージに続き、今回挑戦するのは、プリプリの弾力がたまらない「かまぼこ」作りです。良く冷やした日本酒との至福のマリアージュをイメージしながら、レッツトライ!

参考にしたのは『かまぼこの絵本』



「絵本=子供向け」と侮るなかれ。頁をめくると、作り方だけでなく、かまぼこの歴史や種類、原料の魚についてなど、かまぼこについてのあらゆる知識が細かく丁寧に紹介されていて、読んでいるだけでも「へー!」と楽しめます。この本を読んでも分からないことは、ネット情報を頼りにします。

手作りかまぼこを成功させるための三箇条

絵本によれば、かまぼこ作りにあたって重要なポイントは3つ。同じ練り物なだけあって、前回のソーセージ作りの時と共通する部分もあります。
 

一. とびきり新鮮な魚を用意するべし
二. 0℃近くをキープしながら、魚をすり身にするべし
三. 高温で一気に蒸し上げるべし

まずは、手作りかまぼこに必要な新鮮な魚を買い求める

「とびきり新鮮な魚」を手に入れるべく向かったのは、築地場外市場。
築地場外市場

かまぼこは赤身の魚でもできるようなのですが、今回は白いかまぼこを作りたいので白身魚を探すことにします。しばらく歩いていると、品揃え豊富な魚屋を発見!
品揃え豊富な魚屋を発見
お店の方に聞くと、かまぼこには「スケトウダラ」や「タラ」、「イトヨリ」が適しているそうですが、あいにく今は旬ではないとのこと。

「ちょっと値は張るけどこれなら間違いない」と言っておすすめしてくれたのは、天然鯛。かまぼこにするのは気が引けるような高級魚です。なんと、300gの切り身で4000円…。思わず後ずさりするような値段ですが、背に腹は代えられません。ここは思い切ることにします。
天然鯛の切り身
きれいなピンク色~。今回私は鯛で作りますが、新鮮であればどんな魚でも良いようなので手に入る魚でどうぞ。

その他、かまぼこ作りに必要な道具と材料

フードプロセッサー、すり鉢、すりこ木、かまぼこ板
フードプロセッサー、すり鉢、すりこ木、かまぼこ板
昆布だし、塩、みりん、砂糖、片栗粉
昆布だし、塩、みりん、砂糖、片栗粉
使う道具も調味料もいたってシンプル。かまぼこ板は、近所のホームセンターで適当な木を13(縦)×6(横)×1(厚さ)cmに切ってもらいましたが、市販のかまぼこの板を取っておいて、再利用するのも手です。

魚を低温ですり身にするために、使う道具もあらかじめ冷凍庫で冷やしておきます。昆布だしも凍る直前くらいまでにしておいたほうが良いそう。
 
作り方の工程は、ざっくり分けると「すり身をつくる」「成形する」「蒸す」の3つ。意外と簡単そうです。

①すり身をつくる

まずは魚を0℃に近い状態にするために、ぶつ切りにして氷水に10分間さらします。こうすることで、魚のくさみも取れます。
ぶつ切りにして氷水に10分間さらします
氷水から引き上げたら、キッチンペーパーで水分をふき取り、切り身をさらに細かく切っていきます。温度が上がらないように手早く。この後フードプロセッサーを使ってすり身にするので、ある程度細かく切ればOK。すり鉢だけですリ身にする場合は、もっと細かく、みじん切りくらいにまでしたほうが良いでしょう。
水分をふき取る
さらに細かく切る

切った魚をフードプロセッサーに1分間くらいかけて、すり身にします。さらに塩を加えて、粘りが出るまでフードプロセッサーにかけます。だいたい2分くらいでしょうか。
塩を加えて、粘りがでるくらいまでフードプロセッサーにかけます
魚肉をただ加熱しただけではボソボソになりますが、2~3%の塩を加えて0℃近くですり身にすることで、筋肉を伸び縮みさせる「アクチン」と「ミオシン」という2種類のたんぱく質が溶けだして互いにくっつき合い、かまぼこ特有のプリッとした食感を生む粘りが出てくるんだそう。料理って、科学!

おお、イイ感じに粘ってきました~! 
すり身に粘りが出てきた
この粘りが出れば、もうこっちのものです。

冷やしておいた昆布だしに塩以外の調味料を加えた「調味液」を投入して、さらにフードプロセッサーで1分撹拌します。
「調味液」を加えて、さらにフードプロセッサーで1分撹拌

このままでも十分そうですが、練れば練るほど弾力が生まれるというので、ここですり身をすり鉢に移し替えて、すりこ木で練っていきます。手が疲れるまで練ると、すり身がもったりとして、ツヤも出てきました。
すり身がもったりとして、ツヤも出てきました

②板の上で成形する

できたすり身を2等分し、ハンバーグ種を作る要領で、片手に打ち付け空気を抜くようにしながら丸めます。このときすり身が手にくっつくので、手を濡らしながらやると丸めやすいです。
丸めたすり身

丸めたすり身を、水で濡らした板の上に乗せて、ある程度手でかまぼこの形を作っていき、さらにナイフなどで表面を均すように成形していきます。
ある程度手でかまぼこの形を作る
さらにナイフなどで表面を均すように成形
この成形作業、どこまでこだわるかで、その人の性格が出るような気がします。DIY好きな人にもおすすめの工程です。

成形完了~。使った板は2枚でした。すり身に対して用意した板が少し大きすぎたのか、やや盛り上がりに欠ける形ですが、美味しければそれで良し!
成形完了
この状態でラップに包み、冷蔵庫で一晩寝かせます。そうすることで、かまぼこのプリプリ度が増すんですって。

③高温で一気に蒸し上げる

お湯を沸騰させた鍋の中に蒸し器をセットし、かまぼこを並べます。やけどしない様にトングなどを使うと良いです。
蒸し器をセットし、かまぼこを並べます
フタをして強火にし、高温で20分蒸していきます。温度が低い状態で蒸すとかまぼこの弾力が失われるそうなので、火加減に要注意です。鍋に入れて7~8分を過ぎた頃から、鍋から品の良いお吸い物のような香りが…。さすが天然鯛です。期待が高まります。

20分後、かまぼこが蒸し上がりました。
蒸し上がったかまぼこ
蒸す前よりひとまわりふっくらして、見た目は美味しそう!

熱いうちに、板を上にした状態で氷水に20分さらします。
氷水に20分さらします
一晩寝かせた時間を除くと、ここまでにかかった時間は約1時間半。魚を扱うときの温度には気を使いましたが、それ以外はそんなに手間なくできました。

1本2000円の高級手づくりかまぼこ、ついに完成!

完成したかまぼこ
市販のものに比べると、表面がぼこぼこしていますが、それも手作りならでは。手で触った感じでも十分弾力があります。

早速切って盛りつけます。
かまぼこ盛り付け
むふふ…、冷酒が似合うな~! 鯛で作ったためか、断面がほんのりピンク色。ところどころ「す」が入っていますが、これもご愛嬌。

肝心の味は…?

ドキドキしながら食べてみると…。

歯ごたえがちゃんとかまぼこ! 添加物を一切使っていないため、市販のものに比べると味はあっさりめ。そのぶん鯛の風味がしっかり感じられ、これがきりっと冷えた辛口の日本酒にばっちり合う。

一切れいくらか考えながら食べるせいでしょうか、かまぼこでありながら、どこか崇高な(?)味わいすら感じます。成功と言って良いでしょう。

編集部のメンバーにも試食してもらいましたが、皆一様に「魚感がすごい」という感想でした。もしタラで作っていたら、香りももう少し淡白なものになっていたのでしょうか。魚の風味が苦手な方は、しょうが醤油をつけたり、すり身に刻んだシソを混ぜてみるのも良いかもしれません。

どんな魚を使うのも、何を混ぜるのも、手作りだからこそ楽しめる自由。ぜひ皆さまも新鮮な魚が手に入ったら、かまぼこ作りに挑戦してみてください!
 

●手作りかまぼこ(2本分)

※魚をすり身にするのに使う道具は、あらかじめ冷凍庫で冷やしておく

材料

  • 新鮮な魚の切り身 300g
  • 食塩 6g
  • ▼調味液   
  •  ・片栗粉 16g
  •  ・砂糖 12g
  •  ・みりん 2g
  •  ・昆布だし(凍る直前まで冷やす) 60g

作り方

  • 魚の切り身を適当な大きさに切り、10分ほど氷水にさらす。氷水から取り出したら、キッチンペーパーで水気をしっかり取る。
  • 切り身をさらに細かく切った後、フードプロセッサーに1分程度かける。
  • すり身に塩を加え、粘りが出るまで2分ほどフードプロセッサーにかける。さらに、昆布だしに調味料を混ぜた「調味液」を加えて1分ほど撹拌する。
  • より弾力のあるかまぼこにしたい場合は、すり身をすり鉢に移し、滑らかになるまで練り上げる。
  • できたすり身を2等分し、叩きつけるようにして空気を抜きながら手で丸める。
  • 水で濡らした板の上に丸めたすり身を1つ乗せ、手で形を整える。表面をヘラやナイフ等で滑らかにする。
  • 成形したかまぼこを、蒸気の上がる蒸し器で20分程度蒸す。
  • 蒸し上がったかまぼこを、板が上になる状態で氷水につけて、20分ほど冷やす。

※記事の情報は、2019年5月25日時点のものです。
 

これまでの「週末チャレンジ」はこちら!

・ビールがすすむソーセージを手作りしよう!
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