スロバキアの固有品種を使ったワイン「マリーナ」を飲んでみた

2000年の歴史を持つという、知られざるワイン生産国スロバキア。そんなスロバキアの固有品種からつくられたワインをご紹介。スロバキアワインの味わいとは?

ライター:青田俊一青田俊一
メインビジュアル:スロバキアの固有品種を使ったワイン「マリーナ」を飲んでみた
名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回は日本ではあまりなじみのないワイン生産国、スロバキアのワインをご紹介します。

歴史あるワイン生産国スロバキア

今回ご紹介するのはスロバキアのワイン。スロバキアのワインってあまり聞きなじみがないかもしれませんが、実は2000年以上も前からブドウ栽培がされていたという歴史のあるワイン生産国です。

以前にも、こちらでブルガリアルーマニアなど東欧のワインをご紹介してきましたが、スロバキアもそれらと同様、近年では国際品種の栽培が盛んではあるものの、聞いたことのない固有品種が多いエリアでもあります。

この聞いたことのない固有品種との出会いというのが魅力的で、ここのところ密かにはまっているわけなのですが、今回はそんなスロバキアの固有品種の魅力をお伝えしたく、とあるワイナリーをご紹介したいと思います。

ご紹介するのは「エレスコ」というワイナリー。エレスコはスロバキアの西部、スロバキア屈指のワイン産地といわれる小カルパティア地方に位置しており、設立は2009年とまだ新しいのですが、目覚ましい進化を遂げているワイナリーの一つとして注目されています。

そのエレスコワイナリーのカジュアルラインとしてつくられているのが、こちらのマリーナシリーズです。
マリーナ
マリーナシリーズは、スロバキアの詩人アンドレイ・スラドゥコヴィッチが1846年に発表した詩集「Marina」をオマージュしたワイン。「Marina」は愛する女性と祖国スロバキアへの愛にあふれた詩集で、世界一長い詩としてギネス認定されています。

愛の詩集をモチーフにしているということで、ラベルには詩の一部とそれにインスパイアされたモチーフがデザインされています。シンプルながらポップで目を惹くデザインです。

このエレスコワイナリー、新しいワイナリーということもあり、もちろん最新技術を取り入れてワインをつくっているわけですが、「自然の力も非常に重要である」という考えのもと有機農法のひとつであるバイオダイナミック農法も同時に取り入れており、ただ美味しいだけでなくサステナブルな社会に配慮したワイン生産にも注力しています。

そんなこだわりの詰まったワイナリーのつくる固有品種メインのワイン、これは飲んでみるしかないですね。そんなわけで早速、試飲といきましょう。

マリーナ ソーヴィニヨンを飲んでみた

今回ご紹介するのは5本。そのうち4本がスロバキアの固有品種を使ったワインです。

まず1本目は白ワイン、“ソーヴィニヨン・ブラン”からです。

ソーヴィニヨン・ブランといえばフランスのロワールやニュージーランドが有名ですが、エリアによって結構はっきりと違いが出る品種でもあるので、こちらはどうでしょうか。
マリーナ ソーヴィニヨン
色合いは淡くややグリーンがかったイエロー。グレープフルーツのような柑橘の香りが爽やかで、口当たりもフレッシュで瑞々しい印象です。ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランにも似ていますが、こちらはもっとライトな感じです。

すっきり飲みやすいので、普段の家庭料理にも合わせやすいと思います。個人的には白身魚の刺身とか、あっさりとした料理と合わせて食事の前半に楽しみたい1本です。

マリーナ パーラヴァを飲んでみた

お次は“パーラヴァ”という品種。

初めて聞く名前の品種ですが、ゲヴュルツトラミネールとミュラー・トゥルガウを交配させたものだそうです。
マリーナ パーラヴァ
色合いはしっかりとしたイエロー。白い花のような甘い香りにトロピカルフルーツのような香りが絡み、アロマティックな印象。たしかにどことなくゲヴュルツトラミネールの面影を感じます。先ほどのソーヴィニヨン・ブランとは打って変わって華やかな香りですが、味わいは思いのほかシャープ。しっかりとした酸味に柑橘の皮の苦み、果実味も割としっかりめで、香りの印象とは全く違う印象の味わいです。

個人的には、タイ料理のような少しスパイスの効いた料理と合わせたい1本です。

マリーナ フランコフカ・モドラ ロゼ

続いてロゼにいってみましょう。 ロゼは”フランコフカ・モドラ”という品種。こちらはオーストリアの伝統的な品種”ブラウフレンキッシュ”の別名で、東ヨーロッパ全般で広く栽培されていることから、東のピノ・ノワールなんて呼ばれ方もしている品種です。
マリーナ フランコフカ・モドラ ロゼ
色合いはしっかりとしたピンク。赤い果実のフルーティーな香りで、アセロラのようなはっきりとした酸味があります。

結構パンチのきいた酸味に少しスパイシーな印象もあるので、エビチリなどのピリ辛な中華に合わせて楽しみたい1本です。

マリーナ フランコフカ・モドラを飲んでみた

次は赤です。

こちらも品種は”フランコフカ・モドラ”です。
マリーナ フランコフカ・モドラ
色合いはやや明るめのルビーレッド。こちらも先ほどのロゼと同様に赤い果実の香りが印象的です。口当たりは軽めでチェリーのような甘酸っぱい味わい。タンニンは控えめでほんのりスパイシーな余韻があります。

軽くて飲みやすい印象なので、少し冷やしてロゼ同様、ピリ辛の中華と合わせても楽しめる1本です。

マリーナ デュナイを飲んでみた。

最後にもう1本、赤です。

こちらは“デュナイ”という品種。マスカット・ブーシェとオポルトの交配品種に、スヴァトヴァヴィリンチェという難しい名前の品種を交配させたもの。ちなみにデュナイというのはドナウ川の“ドナウ”から名付けられたそうです。
マリーナ デュナイ
色合いはやや黒みを帯びたルビーレッド。木苺のような少しワイルドな香りが特徴的で、しっかりとした酸味に山葡萄のようなタンニンの収斂味、味わいも野性味あふれる印象で個性的です。日本のヤマ・ソーヴィニヨンにも似た印象で、日本ワインをよく飲まれている方には意外となじみのある感じかもしれません。

個性が強いのでしっかりとした肉料理と合わせるのがおすすめ。個人的にはトンテキのようながっつりとした肉料理に合わせたい1本です。

どれも個性的ではあるものの、食事との相性も良いので普段の家飲みにもぴったり。いつものワインに少し飽きたかな、という方はぜひお試しいただければと思います。新しい世界がきっと広がります。

 

【商品概要】マリーナ ソーヴィニヨン

  • 原料品種:ソーヴィニヨン・ブラン
  • 生産国:スロバキア
  • アルコール度数:12.5%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,650円(税抜)
  • 輸入元:plus wine

【商品概要】マリーナ パーラヴァ

  • 原料品種:パーラヴァ
  • 生産国:スロバキア
  • アルコール度数:12%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,790円(税抜)
  • 輸入元:plus wine

【商品概要】マリーナ フランコフカ・モドラ ロゼ

  • 原料品種:フランコフカ・モドラ
  • 生産国:スロバキア
  • アルコール度数:11.5%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:2,000円(税抜)
  • 輸入元:plus wine

【商品概要】マリーナ フランコフカ・モドラ

  • 原料品種:フランコフカ・モドラ
  • 生産国:スロバキア
  • アルコール度数:12.5%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,650円(税抜)
  • 輸入元:plus wine

【商品概要】マリーナ デュナイ

  • 原料品種:デュナイ
  • 生産国:スロバキア
  • アルコール度数:12.5%
  • 容量 / 容器:750ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,790円(税抜)
  • 輸入元:plus wine
※記事の情報は2022年12月19日時点のものです。
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