吉本浩二『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊶》

吉本浩二先生の話題のコミック『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』から、家飲みが捗る3品を再現！ 吉本先生の奥様が織りなす工夫の数々に脱帽しながら、超リーズナブルな晩酌を楽しみました。家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい！」という夢を叶える連載です。

2023.03.07

泡☆盛子

人気漫画家とこづかい人たちのリアルすぎるやりくり奮闘記。

◾こんな本です

画像をクリックすると講談社コミックプラスのページにジャンプします。

『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』は、奥さん、2人のお子さんと共に一軒家で暮らす漫画家・吉本浩二先生のリアルな「おこづかい2万千円の金欠ライフ」を綴るドキュメントコミックで、境遇が似た同年代の男性読者を中心に広く人気を集めています。

毎月1日に2万千円をもらうと大好きなお菓子やレコードを買い、時には奥さんから「必要じゃないから家計からは出せません」と言われた節水シャワーヘッドに自腹を切ったりしつつ、月末まで巧みに、そして必死に乗り切っている吉本先生。

後半になってくると残金はわずか3桁。38円の缶コーヒーを手に取っては悩み、お得な1リットルサイズのコーヒーに切り替えるといった手に汗握るやりくりが展開されます。

わかる、わかりますよその感覚。未だに万年手元不如意なフリーランスの私め、一人暮らしゆえにこづかい定額制ではないものの、計画性のなさが災いして次の入金まで数百円で過ごさねばなんてこともしばしば。

きちんと家族を養い、計画的に備えも蓄えておいでであろう吉本先生と比べるのは失礼と承知していますが、いい大人なのに欲しい日用品を即買いできないもどかしさや、お買い得品を上手く買えた時の血湧き肉躍る嬉しさを勝手に共有させていただいております。

＊＊＊

『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』は単行本が5巻まで発行されていて（2023年3月現在）、そのなかには吉本先生のほかにもさまざまなタイプのこづかい定額制諸氏が登場します。それぞれの趣味や願望を鑑みつつの本気のやりくり術がとても興味深く、「そこまでやりますかー！」「なるほど！　その手があるんですねっ」などと激しく合いの手を入れながら読まずにいられません。

特に印象的だったのは、吉本先生の幼なじみ・村田さんが登場された回（VOL.2・第9話）。

オンラインで昔話に興じるうち、小学生の頃のこづかいの使い方を思い出すお二人。

初めて自分のこづかいを貯めて買ったファミコンのカセットがおもしろくて震えるほど興奮したのも、10円の駄菓子があんなにおいしかったのもどうしてなんだろう……。

「それは“制限”されていたからだよ」と言い切る村田さん。結婚後はこづかいが5万円から1万5千円に減少するも、「むしろ楽しくてさぁ〜」「“制限”というエキスがあったらこんなになんでも充実するんだって」と目を輝かせて語ります。

ちなみに村田さん、今ではお酒を飲むのは店ではなく駅構内のジャマにならない片隅のスペース（村田さん曰くの、ステーション・バー）と決めて現状を満喫しているのだそう。

制限はエキス。
人生を楽しむエキス。

けだし金言ではありませんか。 財布に残った千円札2枚だけを頼りに、入金という名の春を待ちながら震える今の私にはとても沁みるお話でした。

『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』ここを再現

◾お品書き

• そばめし
• サイゼの「エスカルゴのオーブン焼き」っぽい肴
• シャリキン

【定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフレシピ①】そばめし

吉本浩二 ／講談社『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』VOL.3・第21話より

【定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ②】サイゼリヤ「エスカルゴのオーブン焼き」っぽい肴

吉本浩二 ／講談社『定額制夫の「こづかい万歳」月額2万千円の金欠ライフ』VOL.3・第21話より

• 1現在のページ