アルコール自体にカロリーはある?〈老けない人は何を飲んでいる?④〉

糖質オフのお酒なら太らない? いやいやアルコールだけ飲んだとしても太る? 本当のところはどっちなの?

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ビール大瓶の「アルコール」は約175kcal。それだけなら太りにくいかも

お酒は、楽しい気分になったり、会話がはずんだり、食べ物をさらにおいしく感じさせたり、心やカラダに潤いをあたえてくれます。

お酒のことを「アルコール」ともいいますが、化学的にいえばアルコールは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置き換えた形の化合物の総称のこと。お酒に含まれるアルコールは、この化合物のなかの「エタノール」です。

ところで、アルコール(エタノール)は「エンプティカロリー」といわれていることを、どこかで聞いたことがないでしょうか。エンプティカロリー、つまりカロリーがないということです。アルコールには炭水化物、脂質、たんぱく質といったカラダに必要な栄養素が含まれないため、そう呼ばれるようになりました。

これを聞いて、お酒は太らないの?と思った方がいらっしゃるかもしれません。実は、アルコールも食べ物と同じでカロリーはあります。アルコール(エタノール)のカロリーは、1gあたり約7kcalです。

では、具体的にアルコールのカロリーを算出してみましょう。お酒(エタノール)の濃さは、度数(%)で表記されています。たとえば、アルコール分5%と記載されていれば、100ml中のなかのエタノールの容積(ml)をあらわしています。

アルコール度数5%のビール大瓶1本(633ml)に含まれているエタノールの重さは、エタノールの密度が0.789なので、概算式で5×633×0.789÷100=約25g。カロリーは7kcal×25g=約175kcal。これがビール大瓶に含まれる「アルコールの」カロリーです。ビールにはこのほかに糖質も含まれています(大瓶1本で約70〜80kcal程度)が、ここではあくまでアルコールだけに注目します。

このようにアルコールにもカロリーがありますから、炭水化物、脂質、たんぱく質が含まれる食べ物と同じように、太る原因となる可能性があります。ただし、適量のアルコール、たとえば前述のビール大瓶1本程度であれば、アルコールだけでは太らない可能性が高いと考えられます。その理由は、アルコールの代謝の仕組みにあります。アルコールがどのように代謝されていくのか、過程をみていきましょう。

飲み過ぎればアルコールそのものから体脂肪が作られる

アルコールは気体になりやすい性質があるため、その一部は代謝を受けずに呼気や尿からそのまま排泄されます。残りのアルコールの大部分は肝臓で代謝され、カラダにとって有害なアセトアルデヒドに変わり、摂取したアルコール全体の約30%のエネルギーは、この時に使われています。そしてアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水酵素により酢酸となります。酢酸は、クエン酸回路というエネルギーをつくる回路で、二酸化炭素と水に分解され、アルコールは無毒化されます。この過程において、アルコール全体の約70%のエネルギーが消費されます。つまり、適量のお酒であれば、肝臓でのアルコール代謝が円滑にすすみ、アルコールのエネルギーはすべて使われると考えられているのです。

ところが、適量を超えた多量の飲酒になると、アルコール代謝が効率よく働かず、アルコールの代謝過程で生成された酢酸は、二酸化炭素と水に分解されずに、中性脂肪がつくられるように代謝の過程が変わってしまいます。そうなれば、血中に中性脂肪があふれ、体脂肪となっていく可能性が高くなります。

ましてお酒を飲むときは、揚げモノなどの美味しいおつまみも一緒に食べますので、お酒は食欲を増進させ、おつまみは飲酒を増進させ、体脂肪蓄積への果てしないスパイラルに陥ってしまいます。

これから忘年会シーズンの突入です。食べすぎ、飲みすぎに注意して健やかにお過ごしください。


※記事の情報は2017年11月9日時点のものです。
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