2019年注目のお酒はこれ。バイヤーが独断と偏見で選ぶトレンド予想5選!

2019年にトレンドになるかもしれないお酒をバイヤーズレポートでおなじみ、名古屋の酒類卸イズミックの青田が独断と偏見で大予想。今年飲みたいお酒とは?

ライター:青田俊一青田俊一
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あけましておめでとうございます。
2019年最初のバイヤーズレポートは、今年も恒例、独断と偏見で選んだ今年注目のお酒をご紹介。ちなみに2018年の記事は、「2018年 酒 トレンド」のキーワードでグーグル検索1位だったということで、2019年も検索1位を目指すべく調子に乗って私がいま飲みたいと思っているお酒をトレンド予想としてご紹介したいと思います。

オーガニックワイン

オーガニックワイン
まずひとつめは「オーガニックワイン」です。
今年はラグビーのワールドカップ、来年はオリンピックと大きなスポーツの大会が日本で開催され、多くの方が来日されることになるわけですが、そんな中で注目したいのがオーガニック食品です。オーガニック食品のマーケットは日本はまだまだ後進国、一般的なイメージでは一部の敏感な層の方がお好きなものと捉えられているような気がしなくもないですが、世界的に見るとすでに一般的なものとなっており、良し悪しは別として日本と海外との意識の差に大きな隔たりがあるのも事実です。そんな日本に海外から多くの方が来日されるわけですから、外食業界を筆頭にオーガニックの需要が高まるのは当然なこと、なので国内の食品各社も数年前からいろいろと取り組みを始めています。となれば日本に流通するオーガニックワインの種類が増えるのも必然。私は個人的にオーガニック至上主義とかそういうあれな感じではないのですが、流通するワインの種類そのものが増えるのは大変喜ばしい限り。昔はオーガニックワインというとちょっとあれな味のものも多かったですが、流通量の増加に伴ってか、品質の安定したものも多くなってきています。2月の関税撤廃の流れもあるので、スペインあたりからコスパの良いオーガニックワインが入ってくるのではないかと期待しています。

クセの強い日本酒

熟成古酒
お次は「クセの強い日本酒」、アバウトでなんだかよく分からないお題でいってみます。
昨今の日本酒のトレンドはフルーティで飲みやすい味わいが主流でしたが、日本酒の世界もいまは“多様性”の時代。各蔵元がそれぞれの個性を打ち出してきています。中でもやはり気になるのは熟成古酒。昨年開催された「熟成古酒ルネッサンス」も盛況だったようで今年も注目度大です。何よりの魅力はその味わいの深さ、昨今なにかとブームになりがちなチーズとの相性は面白いところなので、マリアージュはぜひ試して欲しいところ。

「クセの強い日本酒」といえばもうひとつはずせないのが「生もと・山廃」系。本来は生もとと山廃はひとくくりにしたくはないのですが、話すと長くなってしまうので今回はひとくくりで。「生もと・山廃」系もまた蔵元によって味わいが大きく異なる個性的な酒質。「速醸もと」にはない、いい意味で計算できない味わいが魅力です。自分好みの味わいを生み出す蔵元を見つけるのもまた楽しみのひとつです。 ちなみに造りの自然さという部分においては、先述した「オーガニックワイン」にも少し通ずるところがあるような気もしなくもないので、オーガニックワインがお好きという方にはぜひお試しいただきたいです。
「クセの強い日本酒」は味わい的には飲みなれていない方にはちょっと抵抗があるかもしれません。が、飲んでいると不思議とクセになってしまう、そんな味わいの日本酒、くると思います。

プレミアムテキーラ

アガヴェの取材で使った画像ください
お次は「プレミアムテキーラ」です。
昨年もトレンドと言ってましたが、結果そうでもなかったです、すみません。まるでくるくる詐欺です。とはいえ次にくる外食業態は「モダンメキシカン」とも言われるようにメキシコ料理に注目が集まる中、テキーラが注目されないわけがない、ということで今年こそプレミアムテキーラ要注目です。

念のためプレミアムテキーラとは何かというと、明確な定義ではないのですが主原料のアガベを100%で造ったテキーラのこと。アガベに他の原料を混ぜて造った“ミクストテキーラ”と区別してそう呼ばれています。ウェーイ的にショットで飲むイメージが強いテキーラですが、プレミアムテキーラはじっくりとロックで味わって飲むのが一般的です。今年はバイヤーズレポートでもテキーラを深堀りしていく予定ですので、お楽しみに。
ちなみに個人的に今年はテキーラマエストロの資格を取得したいと思っています、なんかモテそうなので。

クラフトスピリッツ

クラフトスピリッツ
お次は「クラフトスピリッツ」です。
クラフトジンのブームから見て取れるように、これはもう今年のトレンドになると言うよりブーム真っ只中と言ったほうが正解かもしれません。

日本はいま空前のウイスキーブーム、新たなにウイスキー製造に参入するメーカーも続々と現れています。しかしこのウイスキー製造、ものすごくお金がかかるんです。蒸留しても最低3年は製品にできませんので、その間はお金を回収することができません。熟成させる樽も世界的に不足気味、大量に蒸留したからといっていくらでも熟成にまわせるというわけではありません。まれに足りないならどんどん造ればいいじゃんとおっしゃられる方にお会いしますが、ことはそんなに簡単ではないのです。なのでメーカーとしても蒸留器を遊ばせておくわけにはいきません。そこで目を着けたのがスピリッツの製造です。今はボタニカルで個性を出しやすいクラフトジンが主流となっていますが、その他のスピリッツもじわじわ注目されてきています。

そんなクラフトスピリッツの中でもっとも注目したいのは「ラム」です。数年前にモヒートのブームがあったものの、4大スピリッツの中ではここのところ最も影の薄い存在になってしまったような気がするラム。個人的には1番好きなスピリッツなのですが、飲みに行っても取り扱い数が圧倒的に少ないのも事実。国内でにも滋賀県のナインリーブズのようなありがたい存在がありますが、もっとネクストがあってもいいと思うのです。クラフトスピリッツブーム真っ只中の今だからこそ、ぜひもっときて欲しいカテゴリーです。

もうひとつ気になる存在が「アブサン」。アブサンは厳密にはリキュールに分類されるので、クラフトリキュールと表現したほうが正しいかもしれませんが、蒸留して造るのでこの際細かいことは気にしないことにします。昨年、岐阜県の辰己蒸留所、鹿児島県の佐多宗二商店から相次ぎリリースされ話題となりましたが、どちらもあっという間に入手困難な状態に。11月に東京で開催されたウイスキーフェスティバルでも辰己蒸留所のアブサンが限定販売されていましたが、一瞬で完売だった模様で、その注目度の高さが窺えます。成分の認可の都合で製造のハードルが高いという噂も聞きますが、新たな参入にも期待したいところです。まあこちらも個人的に飲みたいだけなのですが。

そんなわけで今年もクラフトスピリッツの動きから目が離せません。

ワールドブレンデッドウイスキー

ワールドウイスキー
最後は「ワールドブレンデッドウイスキー」です。
「ワールドブレンデッドウイスキー」とはなんぞや、と思われるかもしれませんが、ざっくり言うと世界各国から集めてきた原酒を国内でブレンドしたウイスキーのことです。おそらく最初にこの名称を使われたのはイチローズモルトではないかと思います。ウイスキーファンの方は邪道に感じるかもしれませんが、世界に誇る日本のブレンド技術を駆使してできたウイスキーということで個人的には興味のあるところです。

ご存知の通り、国産ウイスキーはいま深刻な原酒不足に陥っています。しかしながら国内のウイスキーの需要は高まるばかり。先述のようにクラフトウイスキー製造の流れもありますが、まだまだ需要を補うには至りません。そこで活用したいのが世界に誇る日本のブレンド技術があります。他のウイスキー生産国とは異なり、蒸留所間での原酒の売買が行われてこなかった日本では、様々な個性の原酒を製造する技術とそれを独自にブレンドする技術が磨かれてきました。結果として一昨年に世界一に輝いたキリンビールの田中城太氏などに各社から素晴らしいブレンダーが輩出されることとなりました。そのブレンド技術を使わない手はないので、今年は大手を中心に海外の原酒を国内でブレンドした所謂「ワールドブレンデッドウイスキー」をリリースしてくるのではないかと予想しています。ただし国内で特徴のない原酒をただただ混ぜただけのコスト優先型ウイスキーと明確な線引きをしないと、カテゴリーそのものが陳腐化する恐れもありますので、業界関係者としてはこのあたりは丁寧に説明していく必要はあるのかなと思います。と、いろいろと課題も多そうですが、ある意味で革新的なウイスキーが新たに流通するの歓迎したいところ、楽しみに待ちたいと思います。

と、なんだか珍しく真面目モードでなお話になってしまいましたが、今年も真面目なコラムやおもしろ商品の発掘など幅広く商品をご紹介していきますので、家飲みのご参考にしていただければ幸いです。
 
※記事の情報は2019年1月14日時点のものです。
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