1973年に醸造された日本酒の古酒を飲んでみた。

お酒のヴィンテージと言えばまずワインやウイスキーを連想しますが、実は日本酒にもヴィンテージがあるんです。密かにブームとなりつつある熟成古酒から、1973年に醸造された日本酒をご紹介。その味わいとは?

ライター:青田俊一青田俊一
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名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします!今回はなんと今から40年以上も前、1973年に醸造された日本酒の古酒をご紹介します。

1973年に醸造した日本酒の古酒

日本酒はフレッシュなほうが美味しい、そう思われている方が多いとは思いますが、実はここ数年、熟成させた古酒が密かにブームになっているのをご存知でしょうか。

古酒といえば以前こちらでも「30年に1度の奇跡」という30年熟成の日本酒をご紹介したことがありますが、今回はその30年熟成を超える古酒が沢の鶴にあるということで、今回はそちらをご紹介します。あまり知られていないかもしれませんが、沢の鶴は古酒に力を入れており、以前ご紹介した「古酒仕込み梅酒」も3年熟成の純米酒の古酒で仕込んだ梅酒でした。
 
沢の鶴 1973年醸造 古酒
で、ご紹介するのは「沢の鶴 1973年醸造 古酒」。1973年に醸造した本醸造酒を長期熟成させたものになります。1973年というと今年惜しまれながらも現役を引退したイチロー選手が生まれた年。私はまだ生まれてもいなかった年なのでこの日本酒、私よりも年上ということになります。自分の生まれる前に醸造された日本酒、ちょっとロマンを感じませんか。

そんなロマンに想いを馳せつつ、早速お楽しみの試飲タイムです。  

沢の鶴 1973年醸造 古酒の味わいは?

沢の鶴 1973年醸造 古酒
ボトルからも見て分かるとおりでしたが、グラスに注ぐとハチミツのように輝くゴールドの色合い。粘性は高めで、少しとろりとした印象です。香りには熟成感が漂います。少しクセのある香りなので、このあたりは少し好き嫌いが分かれるところかもしれません。

口当たりは見た目同様とろっとまろやか、ほんのりとした甘みと濃厚な米の旨みを感じます。アフターに少し酸味。香り同様、味も少しクセがあるので好き嫌いが分かれるところかもしれません。今回は常温で試しましたが、おそらく少し冷やしたほうがきりっとしてクセも感じにくいかと。個人的にはさらにこの味わいを膨らませたいのでぬる燗推奨ですが。照り焼きや甘煮のようなコクのある料理によく合うと思います。

これは古酒全般に言えることですが、個人的には古酒の魅力は特有の“クセ”だと思っています。単品で飲むとちょっと苦手という味のものも、料理との合わせ方によっては不思議と美味しく感じるもので、このマリアージュの奥深さが古酒の魅力ではないでしょうか。年を追うごとに味わいが深まるのもまた一興です。

この古酒の奥深き世界、家飲みでもぜひお試していただければと思います。
 

沢の鶴 1973年醸造 古酒【商品概要】

  • 産地:兵庫県
  • アルコール度数:16.5%
  • 原材料:米、米麹、醸造アルコール
  • 容器 / 容量:720ml / 瓶
  • 参考小売価格:10,000円(税別)
  • 製造元:沢の鶴
※記事の情報は2019年8月19日時点のものです。
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