よしながふみ『きのう何食べた?』の再現レシピ《肴は本を飛び出して⑥》

「小説やエッセイ、漫画に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲んでみたい」家飲み派の筆者がささやかな夢を叶える連載、今回はよしながふみ先生の人気料理漫画『きのう何食べた?』からの再現です。

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:よしながふみ『きのう何食べた?』の再現レシピ《肴は本を飛び出して⑥》

『きのう何食べた?』のシロさん&ケンジは、なぜこの料理で飲まずにいられるの!?


▪あらすじ
もはや国民的な人気を誇る料理漫画『きのう何食べた?』。お正月のドラマ特番も大好評でしたね〜。 弁護士のシロさん&美容師のケンジというゲイカップルの日常と彼らを取り巻く人間関係を巧みに描いたストーリー、そして作中に登場する魅力的な料理の数々が多くの人を惹きつけてやみません。 もちろん筆者もそのひとりです。

作者のよしながふみ先生が本作以前に描いた食漫画『愛がなくても喰ってゆけます。』(太田出版)も大好きな1冊で、四隅が擦り切れるほどに読み込みました。ご自身が本当に好きなお店だけを紹介する食べ歩き漫画ゆえに、各店の料理に対する先生の貪欲ともいえる愛情がどっばーんと溢れていて、何度読み返しても喉がごくりごくりと鳴ったものです。

その中に時折登場する自炊シーンがまたやたら美味しそうで「この方、本気の食べ手だっ……」と思っていたら、お次は自炊メインの『きのう何食べた?』がキタと。そりゃこんな食いしん坊さんが描くんだから巧い&旨いに決まってます。

前置きが長くなり失礼しました。

作中ではおもにシロさんが彼氏のケンジと食べるための食事(夕食がメイン)を作っています。

冷静な倹約家であるシロさんが作るのは、野菜多めの副菜が特徴的な定食仕立てのごはん。近所のスーパーで求めた安価な食材をうまく使いこなし、帰宅後にてきぱきと作り上げていく様子をライブ感たっぷりの描写で楽しむことができます。

段取り上手なんですよ、シロさん。そして妙に凝りすぎず、市販のめんつゆなんかも普通に使っているのがイイ!

今回のレシピなら葉物を茹でた後のお湯で春雨も茹でるとかだしの素を水で溶いて味付けに使うとか、ちょっとしたことだけれど、「ふだんから料理をしている人だからわかるコツ&手抜き法」が散りばめられているのが実用的で、広く支持される理由の1つなのかなと。

しかし、毎回、主菜+1〜3品の副菜(とご飯、汁物)という献立ながら、主役のふたりはほぼ晩酌をしないというのが、家飲みラバーにとってはもどかしいところ。 健康のために晩酌は盆暮れ正月、外食時などのスペシャルな時だけらしいのです。 ああもったいない。

今回はふたりの分まで私が飲みますからね〜!

◾ここを再現

よしながふみ 講談社 『きのう何食べた?』6巻#45より

◾お品書き

  • いかとこんにゃくのみそいため
  • 卵ときゅうりと春雨のサラダ
  • チンゲン菜のからし和え
いかとこんにゃくのみそいため ・卵ときゅうりと春雨のサラダ ・チンゲン菜のからし和え
友人カップルとの食事会で、長年の謎だった「ケンジがなぜ俺を選んだのか」が解明したシロさんが作る夕食です。本来はこの3品のほかに、鶏とねぎの吸い物、ご飯があるのですがそちらは省略させていただきました。

初チャレンジのみそいため、ケンジの好物である春雨サラダに、シロさんの秘めたるゴキゲンさが表れているようでなんだかこちらまで嬉しくなってきます。

約束通り、ふたり分のひや酒をひとりで飲みますよー。 さ、さみしくなんかないんだからねっっ。

※シロさんは丁寧に分量まで教えてくれているので、今回はそのままご紹介します。

【きのう何食べた?再現レシピ①】いかとこんにゃくのみそいため

【きのう何食べた?再現レシピ①】いかとこんにゃくのみそいため
<材料>
・イカ…1杯
・こんにゃく…1枚(ひと口大にちぎって下ゆでしておく)
・合わせ調味料(合わせておく)  
 *みそ…大さじ1  
 *みりん…大さじ2  
 *酒…大さじ1/2
・ショウガの千切り…適量 

<作り方>
① イカをさばく(シロさんが自分でさばくコツも紹介してくれていますので、ぜひ本編をご参照ください)。めんどくさいという方は筆者のように解体された状態で買ってくるのをおすすめします。

② フライパンに油(分量外)とショウガを入れて香りが出るまで炒める。

③ こんにゃくを入れて油が回ったらイカを入れる。

④ 合わせ調味料を加え、汁が煮詰まったら好みで七味か一味をふる。
⭐シロさんポイント→調味料はあらかじめ合わせておく。

よしながふみ 講談社 『きのう何食べた?』6巻#45より
◾食べてみた
イカとこんにゃくは私も初めての組み合わせでしたが、アリですねぇ。プリッとしたイカ、むちむちのこんにゃく、どちらも歯ごたえがあるのが楽しい。

使用する味噌にもよりますが(この再現ではやや甘めの米味噌を使いました)、味噌の甘みが素材の表面に染みて噛むほどに味がじんわりでてくるのがおつまみ向け。 ショウガの千切りも食感&香りでナイスアシストです。

下ごしらえさえしてしまえばあとは炒めるだけなので、再現もカンタンでした!

【きのう何食べた?再現レシピ②】卵ときゅうりと春雨のサラダ

 【きのう何食べた?再現レシピ②】卵ときゅうりと春雨のサラダ
<材料>
・春雨…50g
・玉子…2個
・キュウリ…1本(千切り)
・めんつゆ…適量
・酢…適量
・コショウ…適量
・炒りごま…適量
・塩…適量
・砂糖…適量

<作り方>
① 春雨を熱湯で2、3分茹でて冷水に取り、よく洗ってザルにあける。水気が切れたら「井」の字型に切っておく。
⭐シロさんポイント→春雨を茹でる前に、後述のチンゲン菜を茹でておくとお湯が無駄にならず、よい。

② 溶き玉子に塩を加え、多めのごま油でふわっふわの炒り玉子を作る。
⭐シロさんポイント→出来上がった炒り玉子は玉子を溶いたボウルにまた戻しておくと残った玉子液にも火が通り洗い物が減る。

③ ボウルにキュウリ、春雨、炒り玉子を入れたら調味料を加えて味をととのえる。
⭐シロさんポイント→春雨が味を吸ってしまうので調味料はけっこう入れないと味が付かない。

よしながふみ 講談社 『きのう何食べた?』6巻#45より
◾食べてみた
これまたよきおつまみです! ごま油のコクを加えたとろふわな炒り玉子が春雨やキュウリに絡んで、玉子好きにはたまりません。

シロさんポイントの通り、けっこう「やりすぎ?」くらいの味付けで食べるとちょうどいい。 特に酢と塩を効かせめにすると味の輪郭がはっきりするかと。

お酒で温度の上がった口で、ひんやりとした春雨をちゅるりと吸い込むのもなかなかオツなものです。

【きのう何食べた?再現レシピ③】チンゲン菜のからし和え

【きのう何食べた?再現レシピ③】チンゲン菜のからし和え
<材料>
・チンゲン菜…2株
・合わせ調味料(合わせておく)  
 *醤油  
 *だしの素  
 *からし  
 *水

<作り方>
① チンゲン菜は根元の泥をよく落としてたっぷりの熱湯でさっと茹でる。
⭐シロさんポイント→緑色が鮮やかになったらすぐザルにとって余熱で火を通す。アクが少ないので水には取らないこと。

② 水気を絞り、合わせ調味料を加えて和える。

よしながふみ 講談社 『きのう何食べた?』6巻#45より
◾食べてみた
ふだんは炒めて食べることが多かったチンゲン菜ですが、おひたしもいいものですね。 ハリッ、シャキッとした食感が小気味よくて、口直しのおつまみにちょうどいい。

そして後からくる辛子の風味がまた酒を呼ぶという寸法でね。 ここに細切りのハム(あえてピンクのぺらぺらのやつ)なんかを加えてもよさそうです。

***

健康に気を使うシロさんらしい献立、堪能しました!

もし自分で作るならもっと味付けが濃かったり、炒め物がかぶったりしたんだろうなという気がします。 味付けはもちろん食感の異なる3品は食べごたえも十分で、お酒も進みました。

五十路になってもスリムなふたりを目標に、時々はシロさんレシピを再現して己を律したいものです。

※記事の情報は2020年1月7日時点のものです。
 

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