【2021年注目のお酒は?】ワインソムリエ兼バイヤーが選ぶトレンド予想5選!

2021年にトレンドになりそうなお酒をバイヤーズレポートでおなじみ、名古屋の酒類卸イズミックの青田がバイヤー視点で大予想。今年飲むべきお酒とは?

ライター:青田俊一青田俊一
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あけましておめでとうございます。

2021年最初のバイヤーズレポートは例年恒例、今年注目のお酒を予測してご紹介。

昨年は激動の1年で全くもってトレンドの予測が当たらない結果になってしまいました。その前の年もまったくもって当たらなかったのですが。そんなわけで今年は心機一転、例年は私がいま飲みたいと思っているお酒をトレンドと言い張って紹介していましたが、今年は真面目に業界のトレンドを予測したいと思います。

【トレンド予想①】変化球チューハイ

まずひとつめは変化球チューハイです。

定番のレモンやグレープフルーツの缶チューハイではなく、キリンの「麹レモンサワー」のようにレモンサワーにひと手間加えたものや、キリンの「ベジバル」のように野菜などの変わり種の材料を使ったもの、「いいちこ下町のハイボール」のような本格焼酎を使ったハイボールや、昨年末にこちらでご紹介したビネガーサワーのような健康を意識したものなどなど、昨年はひと味違う変化球的な缶チューハイが続々と登場しました。

家飲み需要の高まりから、この缶チューハイの多様化の流れは今年も継続されるものと思われますので、各社から差別化を図った個性的な缶チューハイが発売されることが期待されます。今年は缶チューハイの選択肢が広がり、食卓がにぎやかな1年になりそうです。
すももサワー
駄菓子屋の味も缶チューハイに

【トレンド予想②】発酵をプラス

2つ目は発酵がキーワード。

ここ数年続く発酵食品ブーム。お酒はもちろん発酵したものにはなるのでいまさらと思われるかもしれませんが、先述のレモンサワーに麹をプラスしたキリン麹レモンサワーのようなお酒にさらに発酵の要素をプラスしたものが次のトレンドになるのではないかと思います。

おうち時間が増える昨今、やはり健康は気になるところなので、同じお酒を飲むにしても健康で美味しい飲み方を意識されるのではないでしょうか。そんなわけで発酵食品との掛け合わせは注目です。

発酵食品とのマリアージュはもちろん、ビネガーサワーのように発酵食品でお酒を割るという飲み方など、健康を意識しつつも美味しくお酒を楽しむ、そんなスタイルが今年はますます浸透するのではないでしょうか。
麹レモンサワー

【トレンド予想③】スパイスとのマリアージュ

3つめはスパイスとのマリアージュです。

近年のスパイスカレーや麻辣のブーム。昨年もスパイスカレーとラムが云々とただスパイスカレーを食べたいだけの予測をしましたが、昨今のスパイスブームはまだまだ続きそうなので、ここにお酒を合わせない手はないと思うのです。むしろ合わせるべきなのです。定番的にはスピリッツとの組み合わせだとは思うのですが、今年は醸造酒と合わせてカジュアルに楽しみたいところです。

最近ではスパイスを副原料に使ったクラフトビールが増えていたりなんかもするので、ぜひスパイスとのマリアージュを楽しんでいただきたいところ。ワインとスパイスの組み合わせなんかもいろいろあって面白いので、今年はスパイスとお酒のマリアージュもご紹介できればと思っています。
ビリヤニ
スパイス料理のブームはまだまだ継続中

【トレンド予想④】温故知新

4つめは温故知新。

昨年は新型コロナウイルスの影響で、新商品があまり発売されなかった1年でした。世相的にも新しいものというよりは少し保守的な雰囲気になりつつある今だからこそ、かつての定番を見直すいい機会なのではないかと思います。昨今の昭和レトロブームなど、昭和生まれの私からすると古臭いものが今の若い方には新鮮に映るように、かつての新たな価値を見出すきっかけの年になるのではないかと思います。

そんな中で個人的に注目したいのが本格焼酎です。特に注目なのが樽熟成です。樽で熟成させた焼酎はあまりメジャーではないかもしれませんが、ウイスキーにも引けを取らない味わい。ただ残念なことに焼酎には色が付きすぎてはいけないという法律上の制約があるので、ウイスキーほどの熟成ができないという事情があるのですが、篠崎の「朝倉」や薩摩酒造の「スリーピーオウル」のように食物繊維などを添加し、酒税法上の扱いをリキュールにすることでしっかりと熟成した焼酎を商品化するという例もあるのは嬉しい変化です。

加えて本格焼酎のハイボールはさらに新しいものが発売されそうな雰囲気ですし、ライトユーザーにも焼酎が身近になりそうです。あらためて焼酎を見直したい1年になりそうです。
朝倉
篠崎の朝倉

【トレンド予想⑤】飲んで応援

最後は「飲んで応援」。

昨年末のまとめの記事でも触れましたが、昨年は酒類業界にとっては苦難の1年でした。お酒の原料は農産物。仕込みにも時間がかかるし、売れないからと言ってつくらないわけにはいかないものです。特に日本酒の蔵元は寒仕込みのところも多いので、どれだけ仕込むべきかいま苦慮されているところだと思います。実際のところ仕込み量を絞る蔵元もあったりするので、酒米が余ってきているなんていうニュースもありました。蔵元がつまづけば農家も苦しくなり、それが来年の酒米生産に影響しさらに蔵元が苦しくなるという負のスパイラルです。

そんな状況を打破していきたいところではありますが、みんながみんなクラウドファンディングができるわけでもないし、画期的な商品開発ができるわけでもありません。技術力はあって実直なモノづくりをしているのに、それがうまく発信できないためこの危機を乗り越えることができない、なんていう蔵元も少なくはないのが現実ではないでしょうか。

そんなわけで、今年は飲むことで微々たるものでも蔵元に貢献していけたらな、と思うところです。まあ理由をつけて飲みたいだけという話もありますが。飲んで応援、皆様もぜひご協力いただけると幸いです。
アマビエ
あまびえのラベルができてしまうくらい日本酒業界は苦境
今年は本当にどう転ぶのか全く予想のつかない1年になりそうですが、とにかく楽しい家飲みをご提案できればと思っていますので、参考にしていただければ幸いです。今年もたくさん飲むぞ。

※記事の情報は2021年1月4日時点のものです。
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