歩いて楽しむ酒⑧ スタイリッシュなバーボン 赤い封蝋『メーカーズマーク』

小栗旬さんの「はじめてのクラフトバーボン」のコマーシャルでおなじみの『メーカーズマーク』。赤い封蝋が流れ落ちるキャップシールのバーボンで覚えている方も多いことでしょう。ケンタッキーのバーボンウイスキー蒸溜所巡りの最後は、スタイリッシュなメーカーズマーク蒸溜所です

メインビジュアル:歩いて楽しむ酒⑧ スタイリッシュなバーボン 赤い封蝋『メーカーズマーク』
歩いて楽しむバーボンの最終回は『メーカーズマーク』の蒸溜所。手入れの行き届いた庭園にあるコンパクトな蒸溜所は歩いて見学することができます。使い込まれた木桶の発酵槽や樽の中にフレンチオークの板を入れて独特の香味を狙う工夫は魅力的でしたが、なんと言っても最後のテイスティングをセミナースタイルで丁寧に説明してくれたのが感動モノでした。
 

公園のような蒸溜所

ロレットの谷にあるメーカーズマーク蒸溜所まではジムビーム蒸溜所から車で1時間弱、バーボンフェスティバルの会場であるバーズタウンを挟んで、ほぼ反対側に位置しています。蒸溜所が集中する一帯とあって、途中、団地のようなバーボンの大きな貯蔵庫をいくつも目にしました。  

ジムビーム蒸溜所では規模の大きさとエネルギッシュな雰囲気に魅了されましたが、メーカーズマーク蒸溜所は対照的に緑豊かな公園のように落ち着いた雰囲気が魅力です。場内には小さな湖があり、ライムストーン・ウォーター(石灰岩層を潜り抜けて湧く水)が湧き出ています。これが『メーカーズマーク』の仕込み水に使われています。案内にしたがって中に入っていくと高級キャンプ場の管理棟のようなゲストハウスが見えてきました。
ジムビーム蒸溜所からまでメーカーズマーク蒸溜所まで約50㎞
ジムビーム蒸溜所からまでメーカーズマーク蒸溜所まで約50㎞
案内もキャップシールと同じシンボルカラーの赤で統一
案内もキャップシールと同じシンボルカラーの赤で統一
駐車場はスロープの向こう側。場内は長閑なリゾート施設を思わせる
駐車場はスロープの向こう側。場内は長閑なリゾート施設を思わせる
木々の間にゲストハウスがあり、ここで見学ツアーを申し込む
木々の間にゲストハウスがあり、ここで見学ツアーを申し込む

まろやかな味を生む冬小麦と木桶の発酵槽

私たちの回のツアーガイドは初老の男性。スタートするときに「写真は撮って構わないが、ツアーに遅れないように気をつけてくれ。写真はツアーが終ってから戻っていくらで撮れるから」と言ったと思うと、「さあ行くよ」とどんどん進んで行きます。

ゲストハウスを出るとすぐ裏手には蒸溜棟がありました。ここで原料の穀物を糖化、発酵させ、蒸溜する工程がおこなわれます。『メーカーズマーク』の特徴は、原料の一部に冬小麦を使っていること。多くのバーボンはモルトとライ麦とコーンを使いますが、ここではライ麦ではなく冬小麦を使うのです。ふくらみのあるまろやかな味わいを生むために、試行錯誤の末にたどり着いたメーカーズマーク独自所配合です。

発酵槽は今では珍しくなった木桶です。木桶には乳酸菌をはじめさまざまな微生物が棲みついており、その作用で発酵液に複雑な味わいを与えると言われます。また、密閉タンクや発酵槽に蓋をして雑菌汚染から守る蒸溜所が多いなかで、メーカーズマークは蓋をせずオープンなスタイルで発酵を進めます。健全な酵母の発酵力を信頼し、できるだけ自然に近い状態で酒づくりをするという方針なのでしょう。
背の高くなったところにビアスティル(連続式蒸溜器)がある
背の高くなったところにビアスティル(連続式蒸溜器)がある
見学者は木桶発酵槽でのすぐ側で発酵液を見られる。ツアーガイドは発酵液を汲んで試飲させてくれた
見学者は木桶発酵槽でのすぐ側で発酵液を見られる。ツアーガイドは発酵液を汲んで試飲させてくれた
空の発酵槽。ステンレスタンクと異なり木桶にはさまざまな微生物が棲みつき、発酵液は複雑な菌叢となる
空の発酵槽。ステンレスタンクと異なり木桶にはさまざまな微生物が棲みつき、発酵液は複雑な菌叢となる
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